今日12月21日、広東省広州市長隆で開幕を迎えた中国卓球クラブ超級リーグ。すでに参戦する男女9チームの顔ぶれも発表されている。そのメンバー構成についてはまた後ほどお伝えするとして、男子で注目されるのが、2018-2019シーズンの男子王者・天津市チームが登録されていないこと。前季王者が「轉讓(譲渡)」、いわゆるチームの身売りを余儀なくされたのだ。
地元で行われた95年世界選手権天津大会の英雄・馬文革を監督に迎え、2012−2013シーズンから超級リーグに参戦した天津市チーム。リーグ内では中堅から下位での低空飛行を続けていたが、健康食品メーカーで一時は超級リーグの冠スポンサーでもあった健権集団をスポンサーに迎え、2018−2019シーズンに林高遠や方博といった大物選手を補強。健権集団のマルチ商法や虚偽広告が問題視され、シーズン途中でスポンサーを脱退するというアクシデントに見舞われながら、プレーオフを勝ち抜いて初優勝を飾った。
しかし、2019−2020シーズンは「東京五輪の準備のため」という理由で中断。今年の9月に国家体育総局の卓球・バドミントン管理センターは「10月に超級リーグを開幕する」と各クラブに通知したが、どのクラブもわずか1カ月で参戦の準備などできるはずもなく、結局リーグの開幕は12月下旬までずれ込んだ。天津市チームの馬文革監督はスポンサー探しに奔走したものの、大企業の予算計画はすでに固まっており、選手たちの年俸や出場給、勝利給などを支払える大型スポンサーを見つけるのは困難だった。
これまでもクラブの予算の不足分は、自らのポケットマネーから補填(ほてん)していたという馬文革。2018−2019シーズンの優勝によって、陰ながらの努力がようやく報われたのだが、ついに超級リーグへの参戦権を譲渡するほか道はなくなった。チームのエースである林高遠や、馬特は参戦権を引き継いだ仙頭(スワトウ)明潤のメンバーとなり、方博は本来の所属先である山東魯能に復帰する。
「こうするより他に方法はなかった。長年重ねてきた努力が突然消失してしまって、空虚な思いにとらわれている」。地元紙の『天津日報』に自らの胸の内を明かした馬文革。しかし、「今は少しゆっくりして、先の状況を見ていきたい。まだ超級リーグに復帰できるチャンスがあることを願っているよ」とも語っている。国家チームを引退後はドイツ・ブンデスリーガの強豪クラブを渡り歩き、41歳まで現役でプレーした馬文革。不屈のプロ根性で、まだまだ天津市チームの超級リーグ復帰をあきらめてはいない。
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