『2021卓球NIPPONドリームマッチ』の2日目は女子団体が行われ、仮想ドイツとして男女混成で選抜されたメンバーと伊藤美誠(スターツ)、石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)の五輪日本代表が対戦した。
オーダーはトップがダブルス、2番でシングルスのエース対決が実現される東京五輪の団体戦と同じ1複、4単で行われ、女子日本代表が5-0と快勝した。
トップのダブルスは石川・平野と宋恵佳(中国電力)・長﨑美柚(日本生命)が対戦。日本代表ペアは久しぶりの試合ということで序盤は硬さが見られてミスが多かったが、徐々に立て直して4ゲーム目以降はコンビネーションが良くなり、持ち味である連続攻撃で得点を重ねた。ポイント間にサービス、レシーブやコース取りなど戦術を話し合うシーンが見られ、本戦に向けて一つひとつ確認しながら試合を進めていた。
「久しぶりに有観客での試合だったので、最初はすごく緊張感があったんですけど、こういう環境で試合をさせてもらったことにまず感謝ですし、自分自身もこの緊張感で戦えて、ダブルスの最初のほうは少し緊張したり、場に慣れていなかったけど、ダブルスの後半からシングルスは練習してきたことが出せたかなと思います。すごく良い経験をさせてもらえたなと思いました」と平野。
石川は「ダブルスはどのゲームも苦しい展開のシーソーゲームでしたけど、苦しいパターンを何とか自分たちのパターンに変えて、最後は切り替えて良いプレーができたのはすごく良かったです。このような緊張感の中で良いプレーができたのは、実戦経験がなかなかなかったのですごく良い経験でした。
WTTが終わってからも練習はたくさんやってきましたし、その中でサービス・レシーブをお互い意識して練習してきて、今日は競り合った中でもいろいろなサービスを使っていったし、切り替えも早くなって、そこはWTTよりもお互いに良くなっているんじゃないかと思います」と振り返った。
2番の伊藤は高校生カットマンで全日本ジュニアベスト16の原田春輝(希望が丘高)と対戦。カット打ちを得意とする伊藤はサービスで崩してスマッシュを決めるなど原田を翻弄。ジュースになった3ゲーム目も慌てず、原田をストレートで下し、好調を感じさせた。
3番の平野はダブルスで試合をしたことで緊張がほぐれ、この試合では持ち前の両ハンド攻撃が炸裂。長﨑の出来は悪くなかったが、平野のプレーが上回った。
「久しぶりの試合だったんですけど、この数ヶ月で成長できているなと実感できたので、それはすごく良かったと思います。あとは相手選手は今日のために来ていただいたので、3人の選手の方には感謝しながらプレーしました。
成長を実感できたのは、まずはラリーの時に自分のタイミングでしっかり打つのを練習してきて、長﨑選手はパワーがありますけど、一本ずつ自分のタイミングでプレーできました。あとはサービス・3球目も考えながら一球ずつできて、焦る場面がなかったのは良かったと思います。ラリーが続いてもしっかり足が崩れず、連続して打てたので、もっともっと強化していきたいと思います」と試合後に話した。
試合は3-0で女子日本代表が勝利を決めたが、壮行試合ということでラストまで行われた。4番に登場した伊藤は1ゲーム目こそ宋の巧みな台上技術にリードを許したが、8-10からレシーブで2本連取して逆転勝ちすると、2ゲーム目からは相手のプレーに慣れてゲームを支配。順応力の高さを見せた。
「良くなくても何とか獲ることで自分のペースにもっていけたのはよかった。1ゲーム目もしっかり自分の卓球、いろいろやるけどミスをしないという目指していく卓球を(五輪でも)1ゲーム目からしていきたいとは思います」と本番への手応えをつかんだ。
ラストは石川が原田と対戦。強いドライブと前に落とす弱いドライブを使い分けたカット攻略。原田のフォアドライブの逆襲に手を焼いたが、後半ではカウンターブロックで得点するなど相手のプレーを見切った。
「男子選手はやっぱり試合でやるとボールの威力がすごいのを感じましたし、その中でもサービス・レシーブを工夫できたのは良かったと思います」とコメント。
仮想ドイツチームに快勝した女子日本代表だが、本番の五輪ではドイツのほかに韓国、香港、シンガポール、チャイニーズタイペイなどメダル獲得のライバルは多い。そして、その上に中国が待ち構える。
キャプテンの石川は最後にこう話した。「チームとしても5ー0で勝ててすごく良かったと思います。今日のような経験ができて良いところ、悪いところが見つかったので、あと三週間調整していきたい」
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