女子団体1回戦の韓国対ポーランド戦、3番でバヨルを接戦の末に破り、チームの勝利を決めた韓国の17歳・申裕斌(シン・ユビン)。
彼女のプレーを見ていると、五輪の大舞台で戦っているのに、ピリピリした感じがあまりない。女子シングルス2回戦で倪夏蓮(ルクセンブルク)と熱戦を展開した時も、苦しい場面でも時に笑顔を浮かべながらプレーし、最後には勝ってしまう。
戦場で生まれ育ち、自然に危険を回避する術(すべ)を身につけていながら、そこが怖いところだと感じていない。例えるなら、コートでの彼女はそんな雰囲気。韓国女子の先輩、同じシェーク両ハンド型の梁夏銀が競れば競るほど表情が険しくなり、大事なところでなかなか勝ち星に恵まれなかったのとは対照的だ。3歳からラケットを握るようになり、5歳から本格的に卓球を始めてここまでスクスク伸びてきた。
気合バリバリのファイターより、一番怖いのはこういうタイプの選手かもしれない。身長は見るたびに伸び、長いリーチを生かしたしなやかな両ハンドドライブは、これからまだまだパワーを増すだろう。あとは本人の胸の内に、どれほどの「大志」が潜んでいるのか。
一時期の日本のように、特に女子では中国からの帰化選手が主力となっている韓国女子。それだけに申裕斌に寄せられる期待は大きい。ポーランド戦でも関係者席には韓国卓球協会の柳承敏会長や、韓国チームの金擇洙総監督が陣取り、熱い視線を送っていた。韓国女子は、続く準々決勝で前回大会銀メダルのドイツと対戦する。
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