2大会連続の決勝進出を目指してドイツとの準決勝に挑んだ日本男子。ドイツとの死闘に敗れ、惜しくも決勝進出はならず。韓国との銅メダル決定戦に挑むこととなった。
●男子準決勝
【ドイツ 3-2 日本】
○ボル/フランチスカ 2、3、-9、-8、7 丹羽/水谷
オフチャロフ 7、-11、-5、-9 張本○
○ボル -7、11、7、7 水谷
フランチスカ 5、9、-5、-9、-9 張本○
○オフチャロフ 9、7、8 丹羽
まずは1番のダブルス、水谷隼と丹羽孝希の左腕ペア、スウェーデン戦で起用され勝利した張本智和と丹羽のペア、どちらを起用するか注目されたが、オーダーに記されたのは水谷/丹羽。対するドイツのダブルスは不動のボル/フランチスカ。
1、2ゲーム目はドイツペアが2点、3点で圧倒。丹羽/水谷のバックへボールを集め、2人を一カ所に重ねて空いたフォアへ。バック前へのストップを繰り返して左腕ペアの動きを完璧に封じる。丹羽/水谷は次のボールへの入りが一歩遅れている印象で、得点パターンをなかなか見出せない。
それでも日本が誇るダブルスの名手2人、3ゲーム目からは対応し始める。苦しみながらもしのいでポイントを重ね、2ゲーム目まではブロックに回ることが多かったが、このゲームからはミスが出ても積極的にカウンターを狙っていく。引き合いで得点する場面もあり、競り合いながらも3、4ゲームを連取。ドイツの完勝ペースから一転、日本ペアが最終ゲームまで持ち込んだ。
最終ゲーム、序盤はボルの好プレーなどもあり、ドイツペアが5-1とリードでチェンジエンド。しかし、日本ペアも大きなラリーを制しての得点や、水谷のバックストレートへのカウンターなどで一時は追いつくも、再びドイツペアがリードして10-7。最後は丹羽のチキータをフランチスカがフォアドライブで打ち抜き、ドイツが大きな先制点をあげた。
ダブルスを落とし、2番で敗れると非常に苦しくなる日本だが、1ゲーム目は今大会好調のオフチャロフがパワーで張本を圧倒。張本の速さにも対応し、打ち合い次々に得点を重ねる。2ゲーム目も序盤はオフチャロフが打ち合いでの強さを見せて6-1とリードするも、張本がストレートを突きながらオフチャロフを崩していく。YGサービスでも流れを変え、ジュースにもつれ込むも最後は張本がチキータで得点をあげてゲームカウントをタイに戻す。
3ゲーム目からは張本がサービス・レシーブでオフチャロフの展開に持ち込ませず。積極的に攻めるだけでなく、ストップで先手を封じ、時にはオフチャロフに持ち上げさてカウンターを狙うなど、押し引きを使い分けながら得点。4ゲーム目はオフチャロフも我慢の攻めで食らいついたが張本が逃げ切り3-1で勝利。頼もしき18歳がエースの仕事を果たし、1-1で3番につないだ。
3番はこれまで幾度もビッグゲームで対戦してきた水谷とボル。両者ストップ対ストップから仕掛けていく展開になるが、水谷が積極的にフォアで攻め、バックストレートへのカウンターも決まり、キレのある動きで1ゲーム目を奪う。続くゲームはボルが緩急をつけながら水谷の積極性をかわし、ジュースで鮮やかなカウンターを決めるなど、勝負どころでファインプレーが飛び出しゲームカウントは1-1。
3ゲーム目は水谷が7-5とリードしながらも、狙い澄ましたカウンターや回転量のあるドライブでミスを誘うなどボルの読みが冴えた。4ゲーム目もボルがうまくミスを誘い、ここぞの場面はしっかり決めて10-7。最後は引き合いを制したボル、今日2勝目をあげて拳を握りしめた。
決勝進出に王手をかけたドイツはフランチスカが1ゲーム目から強烈な両ハンドを張本に浴びせ、11-5で先制。2ゲーム目の序盤もフランチスカの豪打が火を噴いたが、張本がストップで強打を封じながら攻め込んで追い上げるも、バックドライブがコートを外れてフランチスカが2ゲームを連取した。しかし、2ゲーム目の中盤からフォア前へのストップでフランチスカの勢いを止めつつあった張本。3ゲーム目を理想的な展開で取り返すと4ゲーム目も競り合いながら逃げ切って勝負は最終ゲームへ。
ストップでかわしながら攻め込む張本、あまいボールを逃さず攻めにかかるフランチスカ、最終ゲーム序盤は張本がリードも、フランチスカが追いつき9-7と逆転。敗戦まであと2点に追い込まれた張本だが、ここで心身ともに成長したプレーを見せて4本連取で逆転勝利。2018年世界選手権団体戦では2敗を喫して日本男子のメダル獲得もストップ。それから3年、「今は自分がエースだと自覚している」という言葉通り、窮地に立たされたチームを張本が救った。
ラストの丹羽対オフチャロフは男子シングルス4回戦の再戦。オフチャロフに打ち合いに持ち込まれ敗れた丹羽、この試合では前陣に張り付いてカウンターを仕掛けていく。1ゲーム目序盤は回り込んでのカウンターも炸裂したが、オフチャロフのパワーに次第に押されていく。一度攻められると怒濤の連打で押され、丹羽が先手を取ってもパワーで盛り返される苦しい展開が続き、2ゲームを奪われ、3ゲーム目、オフチャロフが10-6とマッチポイント。ここから10-8まで追い上げた丹羽だったが、最後はオフチャロフが放ったドライブがエッジをかすめてゲームセット。日本、3時間半に及ぶ死闘の末、ドイツのパワーの前に屈した。
5年前、リオ五輪準決勝のリベンジを果たしたドイツは決勝で中国に挑む。敗れた日本も、まだメダル獲得が断たれたわけではない。試合後にラストで敗れた丹羽は「まだ切り替えられない」と語ったが、韓国との銅メダル決定戦に勝利し、笑顔で大会を終えてほしい。
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