【エッセイ=西村友紀子】
ホカバを目指す卓球キッズの親御さんのことを、私は卓球母(たっきゅうぼ)と呼んでいます。卓球母は一般のママとは似て非なる感覚を持つ生き物。そのぶっ飛んだ行動を卓球母のひとりである私の体験を通してご紹介します。
私は高校生スタートの卓球レディース。学生時代、小学生スタートのライバルに勝てなかった悔しさから、我が子が小学生になると卓球教室へ週に3回以上も通わせることに。そんなある日、子どもの卓球シューズを買い替えようと、子どもに靴のサイズを聞いたら「24」と言われてズッコケました。
私の靴のサイズは23cm。おいおい、しれっと母のサイズを抜かすんじゃないよ。卓球を始めた頃は、学校の上履きで使う白のバレエシューズを履かせてたのに。ホカバ予選にそのバレエシューズで出場させたら、コーチが「それでは滑るから」と、持ってきたレンタルシューズを履かせてくれたのに。その後、卓球シューズを新調したら、2年くらい買い替える必要が無くて成長の心配をしたのに。テレビをつけると、張本智和選手のお母さんが、底に穴の開いた張本選手の卓球シューズの写真を見せて、その努力のあとに涙してたのに。思わず私も2年使用した息子の卓球シューズの底を確認して、まったくすり減っていないことに涙したのに。「フットワークさぼってるやろ。靴がボロボロになるまで動き回れ」と怒鳴ったのに。それまではこちらが選ぶ卓球シューズをすんなりと受け入れたのに。途中から「お母さんが選ぶシューズはデザインが嫌」といって、自分で卓球シューズを選ぶようになったのに。自分で選ぶようになったら、価格に糸目をつけないからコスパのイロハを教えてやったのに。最近は、卓球シューズをすぐに壊すから、「大切に履け」と注意したら「ボロボロになるまで動き回れ」と言ってなかった? と鋭いツッコミを入れてきて、こちとらボロが出たのに。
はぁー24cmか。。。感慨深い。
気づけば靴のサイズだけでなく、ウエアのサイズも私と同じになり、子どもの卓球ウエアを間違って自分のタンスにしまうことも増えた。先日は「卓球の短パンがない」と騒いでいたから、自分の短パンを貸してやった。子どもは「お母さんの嫌や~」と駄々をこねたけど、「大丈夫、サイズ一緒やから」といって無理やりはかせた。すると「ほらー、やっぱりでかい」と息子。
見ると、短パンがぶかぶか。あれ、おかしいな。ボトムスのサイズは違ったのか? ダイエット広告の禁じ手であるBefore、AfterのAfterの写真のように、息子は私の短パンのウエスト部分を広げている。ゴムがバカになった短パンのウエスト周りをもてあますかのように。
WATASHINOONAKAMOSEICHOU( ゚Д゚)
息子のサイズが私の短パンに追いつくのはいつの日か。ビールやら、ビールのつまみやらの肥やしのおかげで、卓球母はこの先も自分と子どもの成長を楽しみに生きられる。嬉しい。いや、嬉しくない。下半身痩せの有識者求む。
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