横浜で衝撃が走った。
世界ランク1位・林詩棟(リン・シドン/中国)を破ったのは、ドイツのチウ・ダン。
試合後、喜びと安堵の入り混じった表情で振り返った。「もちろん、とても嬉しい。そして正直ほっとしています。第5ゲームで9–4とリードしながら9–9に追いつかれた場面は危なかったですが、最後まで集中して勝ち切ることができました」と試合直後の心境を語った。
試合は立ち上がりこそ0–6と出遅れたが、第1ゲーム終盤から調子を取り戻し、流れを引き寄せた。「相手は特別なことをしてきたわけではなく、堅実なプレーを続けていただけ。序盤は自分のミスが多かった。でも中盤からは流れを見つけて、戦える感触が出てきた」。第4ゲームではサーブを変える大胆な戦術変更で流れを変え、最終ゲームへ持ち込んだ。
昨年のマカオ決勝、そして福岡での対戦ではストレート負けを喫していたが、「特別なリベンジの炎があったわけではない。ただ世界トップと対戦できるのは大きなチャンスで、自分を試す場だと思って臨みました」と語る。
また、普段プレーするヨーロッパとアジアのプレースタイルの違いを聞かれると、こう語った。
「私たちは年間を通じてアジア、ヨーロッパ問わず様々なスタイルの選手と対戦します。それぞれが独自の特徴を持っているので、全てのタイプに対応できるよう、自分のやり方を見つけることが大事。必要なときはプレーを変える柔軟性も求められます」。
日本でのプレー経験は豊富で、明治大学や専修大学での練習経験もあるという。観客の応援については「相手にもファンはいたけど、自分の名前を呼んでくれる声援は大きな力になる」と笑顔を見せた。
日本への印象を問われると「人々の敬意と優しさ、そして大会運営の完璧さ。来るたびに素晴らしいと感じる」と答えた。
林詩棟を破ったことで、今大会の優勝争いは一気に混戦模様となった。勢いに乗るチウ・ダンが、このまま頂点まで駆け上がるか注目だ。

世界ランク1位を破ったチウ・ダン。久しぶりのビッグヴィクトリーとなった

終盤追い上げたが、2回戦で沈んだ林詩棟