卓球王国 2025年10月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
トピックス

アジア選手権(団体戦)準決勝、日本男子は中国との歴史的デッドヒートに無念の敗北……。女子は決勝進出を決める

10月11日よりインド・ブバネーシュワルで開催されている「ITTF-ATTU第28回アジア選手権」。団体戦のみで争われる今大会、日本チームは男女とも14日に準決勝を迎えた。女子はシンガポールに順当勝ちしたが、男子は中国と5試合すべてがフルゲームとなる大激闘の末、あと一歩で勝利を逃した。(上写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)
14日の主な記録と内容は以下の通り。

●男子 準決勝
〈香港 3-2 チャイニーズタイペイ〉

〈日本 2-3 中国〉
◯張本 12-10、11-13、13-11、9-11、11-9 梁靖崑
◯松島 8-11、11-4、12-10、9-11、11-7 王楚欽
×篠塚 14-12、2-11、5-11、12-10、6-11 林詩棟
×張本 11-8、1-11、9-11、15-13、8-11 王楚欽
×松島 11-8、11-13、13-11、4-11、3-11 梁靖崑

中国との準決勝トップで梁靖崑を下し、エースとしての役目を果たした張本(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

日本男子は、ほぼ現時点のフルメンバーを揃えた中国と対戦。トップでは、エースの張本智和が自信と気合いに満ちた戦いぶりで梁靖崑を追い込み、ゲームカウント2-1とリード。その後、4ゲーム目を奪われ5ゲーム目も9本まで追いすがられたが、最後は意外性のある下回転系のYGサービスでエースを取り、まず日本が1点を先制した。

中国戦2番、松島は過去1度も勝ったことがなかった王楚欽から勝利をもぎ取り、王者中国を土俵際まで追い詰めた(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

2番では、18歳の若き全日本王者・松島輝空が世界王者の王楚欽と激突。1ゲーム目こそ失ったものの、2ゲーム目は出足から松島の強打が次々と決まり、1-1に。その後、ジュースとなった3ゲーム目を松島が取り、4ゲーム目は王が意地を見せて取り返し、勝負は最終第5ゲームへ突入した。松島はこのゲームの中盤から抜け出して7-3まで点差を広げると、最後は王がミスを連発し、11-7で松島が勝利。松島にとっては、これが対王楚欽の初勝利となった。日本は2-0とリードし、決勝進出まであと1試合と迫る。

中国戦3番に起用され、見事な戦いぶりを見せた篠塚。離されても食らいつくその姿勢が、林詩棟にプレッシャーを与えていた(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

3番には篠塚大登を起用した日本。対する中国は世界ランキング2位の林詩棟が登場した。第1ゲームは篠塚が終盤の競り合いを制して先制したが、第2・3ゲームは林のペースとなって逆転を許す。しかし、篠塚も粘り強い戦いぶりで林に食らいつき、4ゲーム目を12-10で取って勝負を最終第5ゲームへ持ち込む。だが、反撃もここまで。最後は林が地力を見せて篠塚の追撃を振り切り、マッチカウントは2-1となった。

0-2という絶体絶命の状態で登場し、篠塚のファインプレーにも遭いながら屈しなかった林詩棟。メンタル面での強さを見せた(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

4番は張本が再び登場し、中国・王楚欽とのエース対決。今大会、非常に充実したプレー内容の張本は王に対してもまったくひるむことなく立ち向かい、第1ゲームを先取。第2・第3ゲームは奪われたものの、第4ゲームでは15-13のデッドヒートを制して最終ゲームへ突入した。第5ゲームは張本が6-3までリードしていたが、ジリジリと差を詰める王に7-7と追いつかれ、最後は8-8から3本を連取されて無念の惜敗となった。

2番で松島に敗れたショックもあったと思われるが、最後は踏ん張って張本を沈めた王楚欽。中国のエース、世界王者としてのプライドを守った(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

ラストを託されたのは松島。相手の中国・梁靖崑は、つい2週間前の「中国スマッシュ2025」で倒している相手で、勝機は十分だった。1ゲーム目は松島が先取し、2ゲーム目も10-6とリードして圧勝ペースかと思われたが、そこから梁靖崑が逆転。3ゲーム目は松島がジュースで制したものの、4ゲーム目からは梁靖崑の徹底した粘りのラリーに松島が耐えきれなくなり、最終ゲームは3-5から怒涛の6本連取を許して力尽きた。

ラストの松島戦は第3ゲームまでかなり押され気味の展開だったが、後半は粘る戦術を徹底して逆転に成功した梁靖崑。その集中力と勝負強さは見事だった(写真は「2025年世界選手権ドーハ大会」時のもの)

勝てば、国際大会においては1997年のアジアチームカップ以来、28年ぶりとなる日本男子チームの中国撃破という快挙だったが、あとほんのわずかの差で、大魚を逃す形となった。だが、日本男子チームの力が中国に肉薄していることは十分に示せた、立派な戦いぶりだった。

●女子 準決勝
〈中国 3-0 韓国〉

〈日本 3-0 シンガポール〉
◯張本 11-4、9-11、11-5、15-13 舒麟茜
◯橋本 11-7、11-7、11-7 曾尖
◯大藤 11-5、11-3、11-9 黎明映

日本女子はシンガポールにストレートで快勝した。トップでは張本美和がシンガポールの19歳・舒麟茜の攻撃的なプレーにやや手を焼いたものの勝利。2番では今大会初登場の橋本帆乃香が自在なカットプレーで相手エースの曾尖を完封。3番の大藤沙月も黎明映を3-0で退け、順当に決勝へ駒を進めた。

今大会初登場ではつらつとしたプレーを見せた橋本。決勝の中国戦での起用があるのか、注目される(写真は「WTTチャンピオンズ横浜 2025」時のもの)

決勝は15日に行われる。女子(日本対中国)が日本時間18時30分開始、男子(中国対香港)が日本時間21時開始予定となっている。

関連する記事