11月23〜30日、ルーマニアのクルジュ=ナポカで行われた「ITTF 世界ユース選手権 2025」は、全日程を終了した。最終日の30日には、U19・U15男女シングルスの準決勝と決勝が行われた。
日本勢は、U19シングルスで川上流星、吉山和希の両選手が準決勝でともに中国選手を破って決勝進出。日本選手同士が火花を散らした決勝戦では、ゲームカウント2-2から川上が2ゲームを連取し、世界の頂点に立った。16歳1カ月という若さでのU19制覇は異例の快挙。強烈な変化のサービスと、コースの読みにくいカウンターショット、時にはしっかり粘るプレーも織り交ぜ、総合力の高さでビッグタイトルを手にした。
準優勝の吉山も見事なプレーを披露。非常に打球点の早い両ハンドの連続ドライブを武器に決勝まで盤石の勝ち上がりを見せ、世界のトップで戦えるポテンシャルがあることを証明した。
U19女子では、小塩悠菜が準決勝を戦い、中国の縦歌曼に1-4で敗れた。各ゲームとも競り合い、勝利するチャンスも見えた試合内容だったが、5ゲーム目のジュースでは、会心のスマッシュでポイントしたはずのプレーがボールインでレットになるなど、不運もあっての惜敗だった。
U15女子は、村松心菜が準決勝で板垣心春(ドイツ)と対戦。序盤は攻撃力に勝る村松が主導権を握ったが、バック表ソフトで器用にラリーをつなぐ板垣が次第に盛り返し、勝負の行方は最終ゲームへ。最後は、板垣のバックサービスでレシーブを崩された村松が無念の敗北となった。
ちなみに板垣は、かつて名門・青森山田高で指揮を執り、現在はドイツ・ブンデスリーガの「ケーニヒス・ホーフェン」で監督を務める板垣孝司さんの長女。ルーツは日本だが、ドイツ国籍を取得している。決勝で中国選手を破って優勝し、U15世界ユース女王となった板垣の今後の活躍からも目が離せない。
30日の日本選手を中心とした主な記録は以下の通り。(PHOTO:WTT)
〈U19男子シングルス〉
●準決勝
◯川上流星
11-8、11-7、6-11、11-7、3-11、7-11、11-5
温瑞博(中国)
◯吉山和希
11-8、11-9、11-7、10-12、11-9
李和宸(中国)
●決勝
◯川上流星
7-11、11-7、11-13、11-9、11-7、11-7
吉山和希

サービス力に目を見張るものがある川上。準決勝、決勝でもエースを量産した

ガッツを全面に出して戦い抜いた吉山。王座には手が届かなかったが、素晴らしいパフォーマンスだった

優勝の瞬間、両手を高々と上げて勝利に酔いしれた川上。16歳の少年が、大仕事をやってのけた

決勝終了後、互いの健闘を称えて抱き合った川上(奥)と吉山。美しいシーンだった
〈U19女子シングルス〉
●準決勝
小塩悠菜
5-11、8-11、11-13、11-9、10-12
縦歌曼(中国)◯
優勝:覃予萱(中国)

裏面の安定したストロークとフォア表ソフトのスマッシュで大健闘した小塩

U19女子シングルスを制した覃予萱。決勝は安定感で縦歌曼を上回った
〈U15男子シングルス〉
優勝:于海洋(中国)

U15男子シングルスは、于海洋が頂点に。機敏な動きとガッツが印象的な選手
〈U15女子シングルス〉
●準決勝
村松心菜
10-12、11-6、15-13、6-11、4-11、11-7、7-11
板垣心春(ドイツ)◯
●決勝
◯板垣心春(ドイツ)
12-10、11-9、7-11、9-11、13-11、11-7
祝启慧(中国)

団体、混合複、女子複、女子単4種目でフル回転した中学1年の村松。気力を振り絞って戦ったが、板垣に一歩及ばず

U15女子シングルスを制した板垣。優勝後のインタビューでは「信じられないです」と、驚きを語った
この大会の模様は、12月22日発売の卓球王国2026年2月号にも掲載されます。お楽しみに。
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