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Tリーグ

林昀儒が期待通りの活躍見せるも、立ちはだかった侯英超

木下マイスター東京 32 岡山リベッツ
3勝0敗 1勝2敗
1 大島祐哉 6-11 7-11 上田仁
田添健汰 森薗政崇
2 水谷隼 11-6 11-4 11-8 町飛鳥
3 侯 英超 11-7 11-10 11-9 森薗政崇
4 大島祐哉 8-11 4-11 5-11 林昀儒
5 侯 英超 11-8 林昀儒

 
前回、上田、町、吉田、森薗の青森山田カルテットで勝利を収めており、1勝1敗で地元岡山でのホームマッチを迎えた岡山リベッツ。
相手は開幕戦でVM(ヴィクトリーマッチ)の激戦の末に敗れた木下マイスター東京、ここ岡山武道館で迎え討つ。
詰めかけた観客はほぼ満員の1249人。木下マイスター側は張本、丹羽がいなく、逆に岡山リベッツにはスーパーエース林昀儒が今期初合流しているだけに、なんとか勝利を掴み、白星先行と行きたいところだろう。
トップのダブルスは1ゲーム目から岡山リベッツの上田/森薗が5-0とスタートダッシュに成功。木下マイスター東京の大島/田添ペアのフォア前にボールを集め、長いボールもフォア側を中心に攻めていく。途中、展開を変えようと大島がチキータで押し返そうとするが、ラリーに持ち込んでも上田/森薗のほうが戦術が的確でミスがなかった。
特に上田はよくボールが見えている。強打でミドルを突かれても反応し、カウンターで打ち返す。最後は森薗が必殺のチキータで相手のフォアを抜いた。岡山リベッツが誇るゴールデンペアが貫禄勝ちで先制だ。

木下ペアは台上の穴を突かれた


 

「今日はコンビネーションが良かった」と森薗


 
勢いそのままいきたいところだが、2番は木下の大黒柱の水谷が冷静なプレーで取り返す。水谷は町に攻め込まれてもロビングと反撃で主導権を握らせず、レシーブの長短の変化で町の一発を封じていった。
中盤は町がリスクを冒した早い攻めを見せたが、そこに追いつく足が水谷にはある。サービス・レシーブ・ラリー、水谷がゲームを掌握した。

町が打ってもなかなか決まらず


前陣でも中陣でも関係なし。さすがオールラウンダー水谷


 
3番は今期は未だ負けなしの侯英超が森薗を斬り倒す。侯英超のバックの表ソフトの変化カットはまさに難攻不落。森薗も必死のプレーで打開策を見つけようとしたが、侯英超のフォアに回しても、カウンター気味のカーブロングで返され、勝負所ではアップダウンサービスからの3球目攻撃で畳み掛けられた。

アップダウンサービスからのドライブも強烈


 
森薗はあの手この手で揺さぶりをかけたが、追い詰めても最後の1本が取れなかった。
侯英超はカットだけではなく、ツッツキの変化もわかりづらい。高く浮いてもそれがミスなのか、誘い球なのかもわからない。

長いラリーは不利と、速攻戦術で迫った森薗


 

この高く上がったボールに誰もが苦戦する


 
1-2と追い詰められた岡山だが、ここで登場したのが林昀儒。T2ダイヤモンドで優勝し、一躍世界からマークされた今まさに旬な男だ。力みのないスイングから放たれる華麗な両ハンドは観客席から感嘆の声が漏れるほど。
林昀儒の強さは打たれも押されないところだろう。世界トップクラスの大島のフォアドライブにも押されずに、前陣で押し返す。攻めの強い選手は多いが、守りの強さがあるからこそ、攻める手数も増えていく。観客の期待通りのプレーで4番を取り、VMに持ち込んだ。

大島は先手をとっても、林昀儒にさばかれる


衝撃のプレーで大島を退けた林昀儒


 
VMは観客の予想通り、林昀儒vs侯英超。
カット型をやや苦手としている林昀儒を狙い打つ形だろう。今年の世界卓球ではギオニス(ギリシャ)に敗れている林昀儒。しかし、岡山としては林昀儒で負けたら仕方がない。
序盤はカット打ちにミスがあったが、サービスエースで点を重ね、無理をせずにドライブで侯英超を台から下げさせる。7-4とリードし、林昀儒に流れが傾いたが、ベテランの侯英超も黙ってはいない。無理矢理フォア側をバックでまわり、表ソフトで変化をつけ、台の下から浮き上がるような誘い球で揺さぶる。
じりじりと追い詰めて、7-7と追いつくところはさすがのゲームセンス。侯英超は無理に攻撃で攻めることはせずに、ゆっくりと飛ぶカットで林昀儒にあえて打たせていく。
8-9で侯英超が逆転し、そこから流れを離さなかった。
侯英超、なんという頼れる鉄人だろう。誰がこのカットを攻略できるのか。

 
3番で対戦した森薗は「自分の予想以上にカットの変化がすごかった。ベンチで見ている時は『もっとこうすれば良いのに』と思っていたけど、みんなうまくできない理由がわかった。変化のすごさを体感しました」と脱帽。
敗れた林昀儒も「カットマンには自信がなくて、チャンスはあったが戦術がうまくいかなかった。でもたくさんの方が応援してくれてすごくうれしいです。明日の試合に向けて頑張りたい」とコメント。落胆した様子はなく、ホームでの試合を楽しんでいるように見えた。
 
これで3連勝、土つかずの邱建新監督は
「丹羽・張本が欠場の中、それも今日、林昀儒がいても勝つことができてうれしい。作戦通り、最初からVMを準備していた。水谷はこの会場では目が見づらいので侯英超で準備していた」とコメントした。
一方でホーム開幕戦に敗れた白神監督は悔しさをにじませながらも収穫ありと、明日への抱負を語った。
「予想通りの展開で、最後は誰を使うのか迷いましたが、お客さんも見たいだろうし、林昀儒で負けたら仕方がないと思って出しました。最後は相手が上手(うわて)でしたね。ホーム開幕戦は緊張があったけど、なんとかVMマッチまでいけて勝ち点1を取れたことは良かったと思います。
林昀儒はレベルが2~3ランク上だったので、4番は負けそうではなかったが、VMはやられてしまいました。正直、向こうが丹羽・張本を含めたベストメンバーで来てくれたほうが対策も練られるので良かった。ラストは100%の確率で侯英超選手が来ると思ってて、この前やった町を出そうかと悩みましたが、やはり林昀儒を出して負けたら仕方がないと思って出しました。
1200人もお客さんが来てくれて、ホームで開幕戦で林昀儒も出られたので、本当は勝ちたかったが良い試合はできたと思います。中盤に向けてギアを入れ直したい。
うちはダブルスは絶対に取らなくちゃいけない。オーダー的には水谷選手に森薗か林昀儒を当てたい。水谷選手がダブルスに出てくると思って、森薗を3番に置いて当てに行ったけど、それが外れてしまいました。
どうにか侯英超選手を攻略したい。林昀儒はポテンシャルが高く、対応力も高いので次はチャンスがあると思います。ファイナルを進出することを目標にしてやっていますし、明日のT.T彩たま戦は勝ちたいですね」
ホームの大声援は最初から最後まで途切れない。
明日は観客へ勝利をプレゼントできるか?!

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