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中国リポート

中国男子は王楚欽と樊振東の五輪単出場が確実に。馬龍は五輪3連覇ならずも、団体戦出場が濃厚

3月17日に閉幕した『シンガポールスマッシュ2024』。男子シングルス2回戦で馬龍(中国)がフランチスカ(ドイツ)に2−3で敗れ、ベスト32で大会を終えた。

中国が世界ランキングポイントに、主要な国際大会の成績に応じたボーナスポイントを加算した独自のポイントランキングでパリ五輪代表選考レースを行っていることはすでに述べたが、馬龍は世界ランキングポイント(該当の8大会に入らず)、3位以上の選手に与えられるボーナスポイント、ともに獲得することができなかった。

シンガポールスマッシュではベスト32で大会を終えた馬龍(写真提供:WTT)

この結果によって、中国男子は選考ポイントランキング1位の王楚欽と2位の樊振東のパリ五輪シングルス出場がほぼ確実となった。シンガポールスマッシュ終了後の上位5選手のランキングは下記のとおり。「WRP:2024年5月7日時点で有効な世界ランキングポイント」「SBP:国際大会でのシングルスのボーナスポイント」「TBP:国際大会での団体戦のボーナスポイント」を示している。

1位 王楚欽  21920
[WRP:7370 SBP:10250 TBP:4300]
2位 樊振東  17057
[WRP:4857 SBP:7500 TBP:4700]
3位 馬龍   9665
[WRP:3065 SBP:3500 TBP:3100]
4位 梁靖崑  7145
[WRP:3345 SBP:3000 TBP:800]
5位 林高遠  2445
[WRP:1945 SBP:500 TBP:0]

2位の樊振東と3位の馬龍のポイント差は7392ポイント。男子の残りの選考期間の2大会、『WTTチャンピオンズ仁川』と『男子ワールドカップ』で馬龍が優勝したとしても、獲得できる世界ランキングポイントは最大2270ポイント、ボーナスポイントは最大4000ポイント(WTTチャンピオンズ1000+男子ワールドカップ3000)、合計6270ポイントに留まる。逆転することはできず、王楚欽と樊振東の2位以内が確定したことになる。そのため、女子で行われた選考方法の改定が、男子では行われなかったのだろう。

シンガポールスマッシュ優勝の王楚欽。世界ランキングも1位に返り咲く(写真提供:WTT)

選考レースの初戦となる2023年5月の世界卓球ダーバン大会(個人戦)では樊振東が優勝。スタートダッシュをかけて、一時は2位以下に大差をつけていた中国男子の五輪代表選考レース。しかし、今年1月の『WTT男子ファイナルズ2023』決勝で王楚欽が樊振東を4−0で破り、王楚欽(14852ポイント)が樊振東(14809ポイント)を逆転。王楚欽がシンガポールスマッシュで優勝し、樊振東が後輩の林詩棟に敗れてベスト32に終わったことで、王楚欽が樊振東を突き放した。

釜山大会ではエースとして存在感を示した樊振東。パリでは初の金メダル獲得に挑む

最終的な中国卓球協会からのエントリー、中国オリンピック委員会からの承認が終わるまでは確定ではないが、馬龍の五輪シングルス3連覇という前人未到の偉業への挑戦は叶わなかった。ここ一番での勝負強さ、戦術のうまさは健在だが、釜山大会・男子準決勝3番の李尚洙戦、シンガポールスマッシュでのフランチスカ戦のように対海外選手の敗戦も少しずつ増えている。李尚洙戦では何度もブロックでフォアサイドを抜かれ、さすがに時の流れを感じずにはいられなかった。

それでも馬龍は、すでにオリンピックで女子の王楠に並ぶ5枚の金メダルを獲得。パリ五輪の男子団体で金メダルを獲得できれば、史上初となる6枚目の金メダルだ。このもうひとつの偉業が達成されれば、球史に残る「絶対王者」の現役引退に花を添えるものになるだろう。

馬龍に続く団体3番手の候補は、梁靖崑と林高遠。梁靖崑は最新の世界ランキングでは3位となり、対外国選手では馬龍を上回る強さを発揮しているが、勝利後の「不適切」パフォーマンスや女性スキャンダルなどで自ら活躍の場を狭めている。林高遠はダブルスでは強いが、外国選手に敗れることが多い。ここ1年ほどの男子ダブルスの派遣ペアも、馬龍/王楚欽、もしくは樊振東/王楚欽のペアリングがほとんどで、団体3番手のNo.1候補はやはり馬龍だ。

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