卓球王国 2024年10月21日 発売
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謎めきの変化系表ソフト。試打・歴史・選手&指導者コメントでニッチなラバーを解明する

卓球王国最新号(2024年6月号)のグッズ特集は2本立てで、1つは「ビギナー向け用具のキホン」。春から卓球を始めるアナタに向けて、知っておきたい用具の知識やオススメアイテムを紹介する。

そしてもう一方の企画は「謎めきの変化系表ソフト」。かなりニッチなジャンルで、単独で特集をするのは創刊以来、初めてのことだ。

変化系表ソフトラバーの表面。一般的な表ソフトと比べ、粒が高めのものが多い

粒が表面にある「表ソフトラバー」の1ジャンルである「変化系表ソフトラバー」。表ソフトの中でも、性能のバランスに優れた「回転系」や「スピード系」が主流だが、「変化系」は少数派ながらも存在感を示し続けている。いや、少数派だからこそ、その謎めいた性質で異彩を放っていると言えよう。

特集では、最初に「変化系表ソフトとはなにか?」を紹介。要は、「一般的な表ソフトと粒高の中間的なラバー」なのだが、実は定義が曖昧。粒高と表ソフトの区分のように、明確な数値規定があるわけではない。

変化系表が生まれた時期については、国内の卓球メーカー各社や、偉関晴光・絹子夫妻、羽佳純子さん、その他中国出身の方々に話を聞いた。明確な起源を断定することはできなかったものの、鄧亜萍(中国)の使用ラバーが判明し、大まかな歴史は把握できた。

変化系表『アタック8』を使用して活躍した福原愛(左)と、粒高系ラバーを使用していたと言われた鄧亜萍(中国/92・96年五輪女王)

ざっと以下のような内容を、特集内で紹介している。様々なラバーが試作された50年代の日本や、その後、表ソフトの製造時の不良品から粒高が生まれたという中国で、現在の「変化系表」に該当するラバーが存在していた可能性はあるが定かではない。日本では、TSP『カールP2』が1978年に粒高として発売されて、後に定められた粒形状規定によって結果的に変化系表という立ち位置になった例として、最古の商品だった可能性が高い。明らかに「半粒」効果を狙った商品としては、85年発売バタフライ『マグニチュード』が、今回確認された中では最古のアイテムだ。

また特集では、変化系表を使用する現役選手である、安藤みなみ、出雲美空、内藤雅明、橋本帆乃香のコメントを掲載。さらに一時期は変化系に該当する表ソフトを使用し、現在は指導者の藤沼亜衣さん(元五輪代表)や、王子サービスの開発者で数多くの粒高&変化系表の日本代表を育てた伝説的指導者・作馬六郎さんにも話をうかがった。

売れ筋アイテムから意外な商品まで、多くのラバーを試打していただいた

ページの後半では、各社の主要な変化系表ソフトを、変化ラバーの使い手である小野寺咲和コーチ(大正大OG)、そしてバック表速攻の堀優美コーチ(専修大OG)のお二人に試打していただいた。ファースト卓球スクールのコーチであるお二人の試打コメントは、打法やスタイルの違いによる使用感の差も浮き彫りとなり、とても興味深いものとなった。

堀優美コーチは、「どの表ソフトで打ってもナックルになる」という快速バックハンドが武器。小野寺コーチのボールを受けた感想に加え、自身も試打に参加していただいた

ちなみに堀コーチは、高校・大学で安藤みなみ選手の1学年上の先輩、ダブルスのパートナーでもあった。小野寺コーチが『アタック8 L粒』を試打した際に、ボールを受けて一言、「安藤って感じ(笑)」。まさに安藤選手が使っているラバーだから出てきたコメントだ。「変化」という要素に注目が集まりがちなジャンルのラバーだが、「変化に頼るだけでなく攻撃していってこそ生きる」など、ラバーごとに「使い方」をコメントしてもらっているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 

最後に小野寺コーチからコメント。「変化系表は、『変化が出るから良い』というだけでなく、「バックでチャンスメイクのために使う」ということを忘れないようにしてください。今回の試打ではさまざまなタイプのラバーがありました。今回の記事が皆様のお役に立つことができましたら幸いです。表ソフトや粒高、異質でお悩みの方、もっと上達したい方はぜひ、ファースト卓球スクールにお越しください。お待ちしております!」

これまでも卓球王国企画の粒高や変化系表などの試打に登場してもらっていた小野寺コーチ。スペシャリストのコメントは必見だ!

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