9月9~14日にかけて、中国・マカオで開催された『WTTチャンピオンズ マカオ2025』。男女シングルスが行われた今大会を制したのは、男子が王楚欽、女子が孫穎莎という、中国が誇る2大エースだった。
〈男子シングルス〉
優勝:王楚欽(中国)
準優勝:カルデラノ(ブラジル)
3位:リンド(デンマーク)、張禹珍(韓国)
ほとばしる気迫で優勝を勝ち取った王楚欽。WTTチャンピオンズ 横浜2025で張本智和に敗れ準優勝に終わった悔しさをぶつけるかのようなプレーぶりだった
王楚欽は1回戦の松島輝空(日本)、2回戦のグロート(デンマーク)に対してはそれぞれ1ゲームずつを落としたが、準々決勝から決勝までの3試合はすべて4-0という完璧な勝利。林昀儒(タイペイ)、張禹珍(韓国)、カルデラノ(ブラジル)という実力者たちを次々にねじ伏せた。8月に行われた『WTTチャンピオンズ 横浜2025』の決勝で張本智和(日本)に敗れた屈辱を払拭したいという思いからか、自らが世界最強だということを誇示するかのような、鬼神のごとき戦いぶりだった。
怪物カルデラノ(右)も今大会の王楚欽の充実ぶりにはお手上げ。決勝後、両雄はガッチリと握手した
準優勝のカルデラノは、持ち前のパワーと創造力豊かなプレーで力強く勝ち上がり、決勝も序盤は互角以上のプレーを見せていたが、第1〜第3ゲームをいずれも接戦で落とし、4ゲーム目は力尽きた。驚きのパフォーマンスを見せたのが、デンマークの変則左腕・リンド。準々決勝で世界ランキング1位の林詩棟(中国)にカウンターの雨あられを浴びせて劇的勝利。準決勝ではカルデラノに完敗だったが、今大会の見せ場のひとつを作った。
林詩棟(中国)を準々決勝で破って喜びを爆発させたリンド。今大会の台風の目となった
張本智和、戸上隼輔、松島輝空、篠塚大登の4選手が出場した日本男子は残念ながら全員が1回戦敗退。この悔しさを糧として、今後の奮起を期待したいところだ。
松島は優勝した王楚欽と1回戦で当たる不運なドローながら1ゲームを奪い、内容的にも十分張り合えていた
〈女子シングルス〉
優勝:孫穎莎(中国)
準優勝:王曼昱(中国)
3位:蒯曼(中国)、陳幸同(中国)
対外的に強いのはもちろん、同士討ちでもなかなか負けない孫穎莎。まだまだこの絶対女王の時代は続きそうだ
孫穎莎は、1回戦から決勝までの5試合でストレート勝ちが1試合もなかったが、要所でのギアチェンジで相手を置き去りにする試合巧者ぶりを存分に発揮。準決勝では、実力急上昇中の若手・蒯曼(中国)の挑戦を圧倒的な攻撃力で退け、まだまだ後輩に隙を見せるわけにはいかないという、トップランナーとしての矜持を見せた。決勝は、8月の『ヨーロッパスマッシュ2025』に続いて最大のライバル・王曼昱(中国)との頂上決戦。ゲームカウント2-3と追い込まれながらも、ここ1本の集中力で逆転に成功し、見事優勝を勝ち取った。
2回戦では早田の攻めに苦しんだ王曼昱だが、さすがの修正能力を見せた。決勝では孫穎莎にも肉薄
ベスト4は中国が独占。孫穎莎、王曼昱、陳幸同、蒯曼という世界ランキングの1位から4位までが順当に勝ち上がった大会だったが、その中で輝きを放ったのがプエルトリコの異才、A・ディアス。2回戦で世界ランキング5位の王芸迪(中国)を真っ向から打ち合って破り、準々決勝でも孫穎莎に対して意表をついたカットブロックなどを混ぜたテクニカルなプレーで1ゲームを奪う健闘。今後のさらなる飛躍が期待される内容だった。
今大会絶好調だったA・ディアス。パワーとテクニックを兼ね備えていて愛嬌もあり、非常に魅力的な選手だ
日本女子は、張本美和、伊藤美誠、早田ひなの3選手が2回戦敗退。張本は大藤沙月との日本勢対決に敗れ、伊藤は蒯曼に1-3で敗れ、早田は王曼昱とのフルゲームの熱戦を展開しながらの惜敗だった。ただ1人、準々決勝まで勝ち上がった大藤は、伊藤に同じく蒯曼に敗北。今回は残念ながら、どの選手も中国越えを果たせなかった。
日本女子でただ一人、準々決勝の舞台に立った大藤だが、蒯曼の厳しい攻めに対応しきれなかった
写真提供=WTT
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