昨年も実施した南部コジャイケ市Coyhaiqueに隣接する(40㌔離れた場所)エル・ブランコ村にある寄宿校舎の施設を使って10日間の合宿指導を行いました。18才以下8才迄が参加しました。チリ最南端で当地との友好都市プンタ・アレーナス市(Punta Arenas)からも車でアルゼンチンを経由し3日間掛けて合宿に参加したグループ(親が運転し選手3人)また富士山にそっくりなオソルノ火山の近くOsorno市からコーチ2名と選手3人も、陸路・水路を駆使し車で20時間かけての参加です。飛行機が飛んでいない場所なので仕方ありませんが、厳しい移動条件にも関わらず参加してくれる心意気が嬉しいです。 今回の合宿は夏休み中で寄宿舎が使えました。通学上の悪条件の対策で普段遠くから通う生徒を月~金曜日の昼食迄保護し、金曜日の昼食後帰宅し月曜日に戻る運営で現在32名が寄宿生活しているとのことでした。
僕の指導は全国への巡回指導が中心ですが、合宿指導の初日は4時間前後指導者を含め参加者全員に①合宿の目的 ②卓球上達の基本的な考え方 ③世界標準レベルを理解する方法を毎回伝えています。中南米の100%近い選手が卓球専用ノートを持っていませんが、僕の指導時はラケットとノートをセットにして参加する事を徹底します。納得・感動した事や練習で習得したことを自分の言葉で記録する事が大切だからです。そして選手が目指す目標を先ず参加者全員に目標を書いて貰います。“10年後にチャンピオンになりたい”とか“少しでも強くなりたい”等の設定期間が長すぎたり、具体性に欠け可能性の甘い設定には、例えば2年前後以内の期間内で「?年の何の大会で優勝する」等を明確に書くことを指導します。「目標が書けない、言えない人」には、「地域、州、国、南米大会等々のチャンピオンになる」等の参考例から具体的な目標を設定させます。ボールを打つ事だけに関心が有り、努力しないで勝てると勘違いしている人が多いからです。目標設定後に何故その事が必要か?を説明します。指導信条である「チャンピオンへの道」を説明し、卓球の向上は「技術」だけではない事を伝えます。
会社勤めをしていた時に学んだ品質管理:QC(Quality Control)手法の“魚の骨”を使った方法。目標を設定する時に「人、物、金」の要因を分析しますが、この方法を応用し自分が決めた目標に向かって歩く道を“チャンピン道路”と呼び、その訓練の中で「心・技・体・智」が如何に大切かを説明します。並行して“PDCAサイクル”を常に回す事が大切かも伝えます。PDCAサイクルのPlan(計画 / Do(行動・実行) / Check(評価・確認)/ Act(改善・処置)の4つのステップを順次行い、最後のAを次のPDCAサイクルにつなげます。反省・改善・課題を見つけ自分の目標設定を常に見直し将来の向上に向け実践する事を伝えます。
一方、ボールを打つ基本技術が身に着いていなければ、応用技術、自分の戦型に合った応用練習や得点に結びつけたシステム練習も出来ない事を伝えます。卓球競技に大きなルール変更が無い限り100年前からも今後100年先も“勝利の仕方”は変わらないので、如何に基本が大切かを伝えます。この考え方をベースに「現時点で何が必要か」を熟慮し練習計画を組みます。ボールを打つだけの練習より、考え方を継続して貰うことに全力投球します。勿論、考え方の理屈が分かった上で、実際の訓練をしっかりやり込まなければ元の黙阿弥です!
気の遠くなる活動ですが、“種をしっかり蒔いて根付く事!”を期待して指導しています。
各自のノートに熱心に記入している選手達
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