9月14日に岡山・玉野光南高と倉敷工業高卓球部のOBが「萩原卓己先生へ感謝を伝える会」を開催。両校で監督として卓球部を指導し、昨年度をもって教員を定年退職した萩原さんの長年の取り組みを労った。
岡山出身の萩原さんは東山高、中央大と進学し、インターハイで学校対抗と男子ダブルスの二冠、大学時代に全日学男子ダブルスで優勝するなど選手として活躍。大学卒業後は故郷で公立高校の教員となり、玉野光南高と倉敷工業高でそれぞれ19年にわたって卓球部を指導。玉野光南高時代には高校選抜学校対抗3位、インターハイ学校対抗ベスト8といった成績を残すなど、全国で活躍するチーム、選手を育成してきた。
萩原卓己さん
会には県内外から約100名の教え子が参加。終始あたたかな雰囲気で会は進み、思い出話に花を咲かせた。萩原さんは定年退職後も再任用として教育に尽力しており、今後も「生涯卓球人」として現場での指導にも携わっていくという。以下は会での萩原さんからの挨拶。
「玉野光南で19年、倉敷工業で19年、38年間の長きにわたり卓球部の監督を務めてまいりました。その間、多くの生徒と出会いがありました。ある時は共に悔し涙を流し、そして数多の感動も共有してきました。
この仕事はまるで麻薬のようにさえ感じます。私はドラマや映画を見ても涙することがあります。しかし、生徒の作り出す試合での驚異的な粘り強さなどは、まさに台本・筋書きのないドラマだと思います。どんな名作でさえもそれには遠く及びません。激戦中に自然に涙がこみ上げることさえもしばしばあります。この本物の感動を1度経験してしまうと、指導中は99%が嫌なことでも、なぜか我慢ができるものなんです。
教育公務員では財を成すことは出来ません。あなたの財産は何かと聞かれれば、間違いなく多くの教え子たちとの思い出だと断言できます。一人一人が努力を積み重ね、3年間で大きく成長していきます。その姿をいちばん間近で目の当たりにできる瞬間は、まさに教師冥利に尽きます。どれほどの大金を持っていたとしても、それは決してお金で買うことのできない唯一無二の瞬間なんです。だからこそ教え子たちと思い出こそが私にとってはかけがえのない財産なんです」(萩原さん)
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