東京2025デフリンピックは男女シングルス決勝までが行われ、男子はカイナート、女子はスン・ボーヤオが金メダルを獲得した。
【男子シングルス】
●準決勝
カイナート(スロバキア) 4-0 チャベス(フィリピン)
ワン・コン(中国) 4-0 ティエン・ジーピン(中国)
●決勝
カイナート 4-1 ワン・コン

優勝:カイナート

準優勝:ワン・コン

3位:チャベス

3位:ティエン・ジーピン
前回王者のカイナート(スロバキア語ではケイナス)と、2013・2017年大会王者のワン・コンの対戦となった男子決勝は、独特のタイミングのスイングから鋭いドライブを連発したカイナートが4-1で勝利。観客席のスロバキア選手団からの大声援もバックに2連覇を達成した。
カイナートは1977年生まれの48歳。ドイツ生まれのスロバキア人で、聴覚に障がいがあるもののジュニア時代から健常者とともにプレー。健常者のドイツ代表としてヨーロッパユース団体で優勝を果たし、2000年のヨーロッパ選手権では男子ダブルス3位に入賞した。2007年から国籍をスロバキアに移し、2012年の世界選手権団体戦では丹羽孝希にも勝利。デフリンピックには2017年大会から出場するようになり、同大会の男子シングルスでは銅メダルに終わったが、次の2022年大会で初優勝を果たして今大会でも栄冠に輝いた。
2009年に横浜で開催された世界選手権をはじめ、これまで20回ほど日本に来ているそうだが「(今大会は)横浜での世界選手権に負けないくらい、すばらしい体育館、すばらしい雰囲気の中でプレーさせてもらっている。非常にレベルの高い大会だ」とコメント。日本勢が準々決勝で敗れ、決勝時には観客席もさみしくなってしまったが、「多くの人にプレーで夢を与えることができたら、特に子どもたちに夢を与えられたらうれしい。多くの人に会場に足を運んでもらってプレーを見てほしい」と呼びかけた。

見事2連覇を果たしたカイナート

観客席からの大声援に「緊張した時、ナーバスになった時もみんなの姿が力になった」とカイナート
【女子シングルス】
●準決勝
スン・ボーヤオ(中国) 4-0 ザビノフスカ(ウクライナ)
シ・セ(中国) 4-3 ワン・ジウ(中国)
●決勝
スン・ボーヤオ 4-3 シ・セ
女子シングルス決勝は女子ダブルスを制したパートナー対決となり、スン・ボーヤオが最終ゲームでマッチポイントを握られながらもフルゲームジュースで逆転勝利して初優勝。と、書くとさぞ白熱した、すばらしい決勝だったのだろうと思うが、実際はクエスチョンマークの残る試合内容だった。
同じようなミスを繰り返したかと思えば、点差が離れるとサービスミスをしたり、レシーブを浮かせたり、お互いが表情をうかがって、まるで点数を調整しているような展開で試合が進行。シ・セにいたってはフォアサイドに打たれたボールを追いもせずに何本も見送り続けるなど、他国の選手との対戦では見られなかったような、少し不可解なプレーが続出した。
最終ゲームは40歳のシ・セがチャンピオンシップポイントを握り、2005年大会以来20年ぶりの優勝に1本に迫ったが、ここでも気の抜けたサービスミス。そのままスン・ボーヤオが逆転して優勝を決めたが、内容としては少々残念な決勝だった。

決勝を戦ったスン・ボーヤオ(左)とシ・セ
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