卓球王国 2024年4月22日 発売
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松平賢二

歴史が変わった日

 

この日の朝。 僕にはいつもの空が神秘的に見えた。

 

 

何か強いものを感じた。

今日は絶対にいける!と。

 

朝、隼に会うと以外にもリラックスした顔をしていた。

「朝10時から試合なんて5年ぶりくらいじゃなかいかな~」

と笑ながら話す。

 

準決勝の馬龍戦の前だった。

隼はスタートこそ悪かったが最後の追い上げは凄く、馬龍に迫るものがあった。

そして何より諦めていない隼がそこにはいた。

いつもなら点数が離れている状態でポイントを取っても吠えない。

だがこの試合は常に自分を鼓舞している。

絶対王者に向かっていく姿勢、食らいついている姿、それは見ていて明らかだった。

だから見ている人の心を動かすことが出来るのだろう。

そしてそんな試合後の隼と昼食へ向かう途中、歩きながら話していた。

いつもの負けた後の隼とは対象的でどこかスッキリとした顔で言った。

「やっと緊張がほぐれた。4ゲーム目を取ったあたりからやっとオリンピックが始まったな!って感じ。」

僕は単純に最初の3ゲームは緊張してたんだな。 と思っていましたが 話を聞いているとこれは馬龍戦のことだけで言っているのではなかった。

初戦から馬龍戦の3ゲームまでずっと緊張したままで思い通りのプレーが出来ていなかったのだ。

この発言にはさすがに驚いた。

地に足がついてない状態であれだけのプレーをしていたのか……

恐ろしい。

これがオリンピックなのか…

今まで全日本選手権を8回も優勝し、オリンピックも今回で3度目の選手があれだけ試合をしてもまだ緊張している。

今の僕には想像がつかなかった。

「じゃあ最初の3ゲームはただの緊張か?相手のボールの威力に慣れるのに時間がかかったの?」 と僕は尋ねた。

ここでも想像をしない言葉が返ってきた。

「いや、馬龍のボールの威力はワールドツアーや世界選手権に比べてかなり弱かったよ。だから逆にそのイメージを無くして調整するのに時間がかかった。やっぱりオリンピックは相手も緊張してたね。全然やれるよ。」

やはり今の僕には想像できる訳もなく……

ただそのときの隼の顔は自信に満ち溢れていた。

 

そして迎えたメダル決定戦。

試合前の練習ではリラックスした表情。

隣で決勝戦前の馬龍と張継科が二人で練習しているのに驚き

「賢二、写メ撮っといてよ。笑 ブログ用に使えるじゃん。笑 オリンピック決勝戦前にお互いで練習する二人!みたいなね。笑」

と笑っていた。

練習でのプレーもキレが良くいつも通り立ったように見えた。

 

そしてついに試合が始まった。

隼は最初からとばした。

いつもは相手の様子を伺いながらスタートする隼が果敢に攻める。

とにかく足の動きが良い。

ストップレシーブにしろバックハンドにしろいつもより少しだけタイミング早く攻めているように見えた。

そして目の覚めるような回り込みドライブが何度も見られた。

最高のスタートだった。

 

 

しかしさすがのサムソノフ。

すんなりとは勝たせてくれない。

2ゲーム目までストップばかりだったサムソノフがフリックレシーブで攻めてきた。

そして得意のブロック、バックハンドにつなげて得点を重ねる。

これによって少しずつ隼の攻撃も精細を欠く。

そして今まで完璧に処理していたストップへの対応も遅れてきた。

ゲームカウント2-1の9-5でリードのところから9-10まで挽回されたときはかなり嫌な流れだった。

しかし勝負所がわかっている隼はこのゲームをすんなりと渡さない。

10-10、11-11、12-12……

激しい攻防が続く。

 

いつもなら 「隼がんばれ~」 「隼ここから~」 と声を飛ばす僕もこのときだけは何も言わない方がいいと思った。

むしろ言えない状況だった。

どんな場面でもガヤガヤ賑わって騒ぐブラジルの観客ですらも息をのんだ。

それくらいただならぬ雰囲気だった。

そしてこのゲーム、強気の攻めと我慢をした隼に軍配が上がった。

最後の1球は守る展開での長いラリー。

粘りに粘って最後は隼の魂が乗り移ったかのようにフィッシュボールが台の隅をかすめた。

このポイントがこの試合の全てだったと僕は思う。

 

最終ゲーム、再び隼が強気の攻めに出た。

ラストスパートだった。

どれだけ点差が開いても自分を鼓舞し続けた。

「1点を取るのにはすごく長く感じ、点数を取られるのはアッという間に感じた。」 という。

だから一瞬たりとも気が抜けないと。

その言葉通り隼のプレーは時折、神懸かっていた。

 

そしてラスト1球。

投げあげサーブからの回り込みドライブがサムソノフのミドルを攻める。

サムソノフのブロックがオーバーする…

 

歴史は変わった。

 

「ここで負けたら一生後悔するし、死にたくなる。だからメダルは必ず獲る。」

隼が今までの苦しみから解き放たれたかのようにフロアに倒れた。

 

今までは何をしても「何年ぶり、何十年ぶり」という言葉がついてきたが今回は 「日本卓球界初」 と報じられる。

本当に素晴らしいことだ。

「ここで負けたら一生後悔するし、死にたくなる。だからメダルは必ず獲る。」

その極限までの執念を見せてもらったよ。

 

おめでとう。隼。

 

これを気に日本卓球界は更に発展し歴史を変えていくだろう。

そして僕も今度はその歴史を変える一人でありたい。

 

 

 

とライター気取りでブログを書いてみた松平です。

長かったですね~文章。( ・∇・)//笑

自分で書いてて寝そうでしたよ。笑

調子にのってそれっぽく書いてみたのですが僕の伝えたいこと、伝わりましたかね?笑

 

なんかな~

やっぱり調子にのりすぎたかな~

でもどうしてもこの記事だけはふざけて書けなかったです。

僕の感じたものをそのまま現すにはこの書き方がベストなのかな~と。

本当に長々とすみませんでした。笑

なかなかブログを更新出来ない鬱憤もたまっていたのかもしれません(T-T)笑

なにはともあれ 隼、本当におめでとう!! 最高だ!!

 

またブログ再開しまーす(^^)/

 

 

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