埼玉県の正智深谷高の指導者の平亮太さん。
常に全国大会で上位に入る強豪校でありながら、
エリート集団とは言えない。
全国から有望な中学生を集めると言うよりも、
高校での猛練習で選手を鍛え、強くしていくタイプの指導者と言える。
そんな指導者・平亮太は現役の埼工大深谷高2年の時にインターハイ優勝。
高校3年の世界選手権で日本代表に抜擢された。
現役引退後に指導者の道を歩み、2006年から正智深谷の監督を務めている。
現役時代、そして指導者の時代の今も、用具選びには哲学を持ち、
常に自ら試打も行い、選手たちに合う用具を選ぶ。
今回は、「なぜ正智深谷の選手がXIOMを使うのか」というテーマで話を聞いてみた。
●ーー現在、正智深谷では『オメガ Ⅶツアー i 』を使っていますね。
平亮太 はい。うちの香取位圭と坂﨑愛華は以前、『オメガ Ⅶ(セブン)ツアー i 50』を使っていたんですが『オメガ Ⅶツアー i 48』に変えました。『ツアー i 50』でも本人たちは硬さを感じないのですが、プレーを見ているともう少し弧線を描いたほうが良いと思ったので、『ツアー i 48』に変えました。
実は『オメガ Ⅶツアー i』を1年以上前に打たせてもらい、なんとかうちの選手に使用させてもらえないかとXIOM(エクシオン)にお願いして、川北帆香(現中央大)と香取の二人だけに使わせました。ただ、当時は大量生産もできなかったので、1枚のラバーを2カ月間我慢して使ったんですよ。
●ーー『オメガ Ⅶツアー i 』の特徴とはなんでしょうか?
平 一言で言えば、トータルバランスに優れている、最高峰のラバーですね。私の中で良いラバーの定義というものがあります。それは自分の打球感と飛んでいくボールが一致していることです。たとえば、自分は「コート深くに良いボールが飛んでいった」という感覚があるのに、実際に打ったボールは浅く入ってしまったとか、選手の感覚と実際のボールのズレがある用具は好ましくありません。
選手自身が強く打った、回転をかけたという感覚がある時には、その感覚と打ったボールが一致することが大事。その感覚が『オメガ Ⅶツアー i 』にはあります。
●ーーなぜ『テナジー』にいかないで、この『オメガ Ⅶツアー i 』に惹かれたのでしょうか?
平 もちろん『テナジー』は良いラバーですね。特に私にとってはあの『テナジー』の軽さが魅力で、ドイツ製ラバーは全体的に重さが問題でした。また女子選手では『テナジー』だと飛びすぎてしまう。飛びすぎてしまうために回転をかけることが難しい。
●ーー現在男子の支持を受ける『テナジー』が女子選手で使う人が男子ほど多くないのはそういう理由なんでしょうか。
平 うち(正智深谷)の選手はエリート選手として高校に入ってくるような選手ではないです。入学してからトレーニングを相当積んで体を鍛えていくので、ボールを飛ばすことはできるんです。でも男子ほどのパワーはない。だから、しっかり回転をかけることを重視して、ラバーを選びます。うちの選手はXIOMのラバーだと回転をかける感覚を身につけやすいんですよ。男子のように力があれば『テナジー』を使い、ボールをしっかり食い込ませて回転をかけられる。ですが、女子はラバーにボールを食い込ませて回転をかける力はない。『テナジー』では球離れが速すぎます。『オメガ Ⅶツアー i 』は女子でも男子でもしっかり飛ばすことができます。特に、女子には『オメガ Ⅶツアー i 48』が筋力的にも一番合っていると思うし、男子には『オメガ Ⅶツアー i 50』が合っていると思います。
●ーー名前からして『オメガ Ⅶツアー i 』は『オメガ Ⅶツアー』(スポンジ硬度55度)に近いのですか?
平 いいえ、『オメガ Ⅶツアー i 』にもっとも感覚が近いのは『オメガ Ⅶ プロ』です。『オメガ Ⅶ プロ』の感覚をパワーアップしたのが『オメガ Ⅶツアー i 』ですね。硬度が近いということも要因のひとつだと思います。『オメガ Ⅶツアー i 』が使いきれない人は『オメガ Ⅶ プロ』が良いかもしれません。
うちのチームでも『オメガ Ⅶツアー i 』を全員に使わせたいのですが、今は使いこなせる二人だけに使わせて、あとの選手には『オメガ Ⅶ プロ』を使わせています。
●ーー『オメガ Ⅶツアー i 48』と『オメガ Ⅶツアー i 50』だとスポンジ硬度が2度違うだけだと思いますが、その差を選手はわかるんですか?
平 『ツアー i 48』と『ツアー i 50』は明らかにわかります。私は力のある人なら『ツアー i 50』を薦めますね。最近のラバーのスポンジ硬度は、昔の同じ硬度と違う気がしますね。昔は50度というと相当硬いイメージがありましたが、今は50度くらいのラバーも増えてきましたね。
●ーー正智深谷の選手だとラバーの寿命はどのくらいですか? どのくらいで貼り替えますか?
平 うちの選手で週平均40時間ボールを打ちますが、3週間くらいで貼り替えます。
●ーーそうするとさっき2カ月間我慢したというのは相当ですね。
平 もうラバーの表面がツルツルになりかけでした(笑)。ただそれは去年の話で、ちょうどコロナ禍で大会がなくなっていたので練習時間も減っていたし、ラバーにとってはそれが幸いでした。
●ーー最初に選手が『オメガ Ⅶツアー i 』を使った時にはどういうリアクションだったんですか?
平 お世辞でもなんでもなく「このラバーは何でも入ります」が選手からのひと言(こと)目のコメントでした。
●ーーさきほどラバーの重さに触れていましたが、この『オメガ Ⅶツアー i 』はどうなんでしょう。
平 今までのドイツラバーよりは軽いですね。その中でも入学したての選手には『オメガ Ⅶ プロ』の軟らかめ(軽め)のものを使わせます。
●ーー正智深谷は他にはどういうラバーを使っていますか?
平 『オメガ Ⅶ プロ』が多くて、あとはミズノの『Q5』を使っている選手もいます。カットマンはXIOMの『オメガ Ⅶ チャイナ 光』ですが、『オメガ Ⅶ チャイナ』は重くて攻撃選手には難しい。力がないと振り切れません。当然『オメガ Ⅶ プロ』よりも弾みが小さいのでボールのスピードも落ちます。
『オメガ Ⅶ プロ』はスポンジ硬度も47.5度でバランスに優れたラバーだし、使いやすい。このラバーは以前のXIOMのラバーとは少し違う。改良が重ねられて、私が良いと思う感覚に最も近いラバーですね。男子である程度力のある選手ならスポンジ硬度55度の『オメガ Ⅶ ハイパー』でも良いでしょうね。高校女子では『オメガ Ⅶ プロ』が合っています。高校女子でうちくらいのレベルの選手に良いということは、男子でもトップ選手に行く過程で『オメガ Ⅶ プロ』は使いやすいと感じるのではないですか。
●ーー平さんはかなり用具を気にかける指導者だと思いますが、用具を変えることによって選手のプレーは相当に変わるものですか?
平 もちろんです。それは男子でも女子でも用具を変えることでプレーが安定することはよくあります。またレベルが上ったら、用具もレベルアップするべきでしょうね。筋力などの力も付き、スイングスピードが速くなるわけだから、それに合ったラバー、自分の力を引き出すラバーに変えるべきです。
たいら・りょうた ● 1971年9月7日生まれ、鹿児島県出身。朝日中から埼工大深谷高に進み、2年の時にインターハイ優勝。高校3年時に89年世界選手権に出場。早稲田大を経て実業団のびわこ銀行、SC(スーパーサーキット)で選手として活躍した。05年に正智深谷高に赴任し、翌年から男女卓球部監督。女子卓球部はインターハイで3位5回、ベスト8に3回の入賞歴を誇る
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