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吉村真晴「新しいプレースタイルを自分が切り開いていく」」。全日本初優勝のインタビュー

 

 

<卓球王国2012年4月号より>

ALL JAPAN CHAMPION INTERVIEW  YOSHIMURA, Maharu

吉村真晴 


野田学園高・山口

「自分みたいなプレーをする選手が
日本にいるかと言ったらいないでしょう。世界にもいないと思う。
新しいプレースタイルを自分が切り開いていく」

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誰がこの18歳の若手の優勝を予測しただろうか。
強豪を次々と倒し、決勝では王者・水谷隼を堂々たるプレーで下した吉村真晴。
最終日のフィナーレで床に倒れ込み、
歓喜の拳を宙に突き出した若者に、日本男子の新しい風を感じた。
勢いという言葉だけでは片付けられない、吉村真晴の強さと才能とは一体何なのか。

インタビュー=今野昇
写真=渡辺友・高橋和幸・江藤義典・渡辺塁

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最終ゲーム、リードした10ー9でバックドライブを決めるという
イメージ作りをしてきた

優勝直後からの取材攻勢。急きょ行われた祝勝会を終え、合宿参加のために山口から東京に戻った吉村真晴。一躍、時の人となったが、自然体でのインタビュー。そこに漂う大物の雰囲気と、個性的なコメント。


ーー 全日本が終わって10日ほど経ちました。優勝の実感、チャンピオンという実感は少し沸きましたか?
吉村 実感は少しありますね。みんなの期待というか、いろんな人に支えられていたんだと感じるし、今まで以上に期待されるんだろうと思います。

ーー 全日本優勝というのは狙った人しか獲れないタイトルだと思っていたけど、吉村君は大会前に優勝を意識していたのかな。
吉村 自分の中では優勝は全然考えてなくて、一番の勝負は(張)一博さんとの試合だった。2年間ランクに入れなくて苦い思いをしていたので、組み合わせを見た時からまず一博さんに勝って、と橋津(文彦)先生と話をしてました。今まで2年連続で最終ゲームの競り合いで負けていたので、3︱3になった最終ゲーム、リードした10︱9でバックドライブを決めるというイメージ作りをしてきた。去年までは自分に足りない技術があって、それを徹底的に練習して全日本で試すという形だったけど、今回はやりこまないで感覚を確認する形の調整でした。

ーー それはこの1年間で力をつけたという自信があったから?
吉村 そうですね。自信はありましたね。一博さんには勝てないとか、誰々には絶対勝てないという気持ちはなかったし、自分のプレーをすれば誰にでも勝てるチャンスはあると試合前から思っていた。ただ、優勝は考えてなかった。一博さんに勝ったらベスト4が見えるし、準決勝からの勝負だと思っていました。

ーー 全日本選手権に入ってからの調子はどうだったんだろう。
吉村 卓球台の感覚に慣れてなくて……。でも、いつも全日本の時には最初調子が上がらないので、今年もこんなもんかと思いました。石川(佳純)さんとミックスを組ませてもらって、ああいう優勝がかからなくても注目されている緊張感を味わった経験は、シングルスでも生きた。石川さんと組ませてもらったことに感謝してます。

ーーシングルス初戦の森薗戦では3ー3の7ー9でリードされて、危なかった。
吉村 森薗(政崇)とは昔から勝ったり負けたりで、やりたくなかった。あいつも実力があってしっかり上がってきて、ホントに負けると思ってました。緊張もしていたし、相手は向かってくる。そういった追い込まれた中で勝てたので流れに乗れた。

ーー次にランク決定の張一博戦。
吉村 絶好調ではなかったけど、最低限自分のやるべきプレーができた。今回は相手に打たせたりとか、余裕のあるプレーができたし、最後の最後でロングサービスを出してカウンターを狙ったりとか、両ハンドを振っていくことができた。

ーー 6回戦の久保田戦、準々決勝の森本戦も快勝だった。
吉村 その2試合は正直自信がありました。一博さんに勝ったので、ここで負けるわけにはいかないと思いました。

ーー準決勝は松平健太選手との試合。
吉村 準決勝前に優勝は意識してないけど、丹羽が来たらどうだったかわからない。彼は自分の中ではライバル。あいつがどう見てるかわからないけど。自分が優勝できるような試合であいつには負けているし、 やりたかった気持ちもあるけど、丹羽が来なかったのはラッキーですね。健太さんにも勝ったことがなくて、選考会でやった時には自分の調子が良くて、自分から打っていって負けた。全日本では自分から打ち込まないで、カウンターを狙ったりして、余裕のある試合ができた。

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