卓球市場は徐々にコロナ禍前の状態に戻りつつあるという声も聞こえる。大会などが以前のように盛んに開催されるようになった結果かもしれない。
ところが、卓球愛好者を悩ませているのが、卓球用品の価格だ。コロナ禍、そしてロシアのウクライナ侵攻と世界的な出来事が卓球用品の価格に大きな影響を与えている。この3年間、インフレ率が数%ずつ上昇し、ラバーやラケットはヨーロッパや中国からの輸入が多く、エネルギーコストと輸送コストが卓球メーカーを直撃している。
そしてそれに追い打ちをかけているのが為替相場だ。2011年の円相場はUSドルに対して年平均で1ドル79円だったのだが、この1周間は156円前後になっている。極端ではあるが、2011年と2024年では2倍近く円が安くなっている。
そもそも「卓球はお金をかけずに手軽に始められるスポーツ」だったのが、いつの間にか「ラバーラケット、ウエア、シューズを揃えるのに数万円を要するスポーツ」になってしまった。
1980年代後半に、テレビで「ネクラなスポーツ」な嘲笑され、日本卓球協会は「リッチで、ライトで、ファッショナブルなスポーツへ」向かわせようとしていたが、用品だけが「リッチ(rich)」になってしまったのは皮肉だ。
別冊卓球グッズでは為替の推移を示しながら、高価格の仕組みと、「メイド・イン・ジャパン」にこだわってきたメーカーとのギャップを紹介する。
別冊卓球グッズ2024
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