●Tリーグ2024-2025シーズン・女子開幕戦
〈木下アビエル神奈川 3−1 日本生命レッドエルフ〉
◯長﨑美柚/張本美和 9、8 笹尾明日香/麻生麗名
◯張本美和 6、7、5 赤江夏星
◯平野美宇 −10、9、7、4 竹谷美涼
木原美悠 −9、2、7、−7、−9 笹尾明日香◯
Tリーグ女子も2024-2025シーズンがスタート!
早田ひな、平野美宇、張本美和というパリ五輪・日本女子代表が揃い踏みした代々木第二体育館は、超満員の3,176名の観客の熱気にあふれた。観客席に上がると「少し空気が薄いのでは?」と感じてしまうほど。
パリ五輪で左腕を負傷した早田ひなは、まだ復帰時期は未定。残念ながら開幕戦のベンチ入りはならなかったが、試合前に行われたTリーグ特別賞の表彰に登場。観客から万雷の拍手を浴び、「パリオリンピックでは皆さんの応援は本当に心強く、つらい場面での支えになりました。今日から始まるTリーグ、また国際大会に参加する選手みんなを大きな応援で後押ししていただけるとうれしいです」とコメントした。
試合は1番のダブルスが大きなポイントとなった。木下アビエル神奈川は、意外にも長﨑/張本ペアを起用。試合後、百戦錬磨の村上恭和・日本生命レッドエルフ監督をして、「木下さんのダブルスは3つのペアがありますけど、一番予想していないペアリングだった。張本はビクトリーマッチで使うため、ダブルスでの起用はないと読んでいた」と言わしめた。
昨季のプレーオフファイナルでダブルスながらMVPを受賞した日本生命の笹尾/麻生は、ラリー戦では抜群の強さを見せたが、木下の長﨑/張本は1ゲーム目の9−9から長﨑がチキータを連発して11−9で先取するなど、サービス・レシーブで先手を取り、ストレート勝ち。チームに大きな1勝をもたらす。
2番の張本対赤江は、1ゲーム目のラブオールから張本が赤江のバックへのロングサービスを読み切り、バックドライブでのレシーブから両ハンドのパワードライブ連打で得点。8月13日にパリから帰国後、数日は時差調整に悩まされながらも、15日午後には練習を再開したという張本。「ラブオールでのロングサービスは『もしかしたら』というのは試合前からあった。しっかり準備はしてきたので、1球目から良いプレーができた」と語り、さすがの集中力を見せた。
一方の赤江は、随所に威力あるバックハンドドライブを見せるも、右腕には厚いテーピングが巻かれ、持ち味の破壊力満点のフォアドライブ連打を見せられなかった。今季の日本生命の不沈のカギを握る存在、第2戦以降に期待したい。
そして3番、パリ五輪女子団体銀メダリストの平野美宇と、ほぼ時を同じくしてインターハイで1年生女王となった竹谷美涼(みすず)が激突。1ゲーム目、快速両ハンドドライブで8−2とリードした平野に対し、「ここで終わってはいけないという気持ちがあった」という竹谷が7連続得点で追いつき、11−10と逆転。会場をどよめかせる。
平野が得意とするバック対バックの展開で、竹谷のプレーが想像以上に素晴らしく、平野が失点するパターンが多かった。2ゲーム目の中盤以降、平野はうまく緩急をつけながら、竹谷のフォアにうまくボールを散らし、冷静なプレーで逆転勝ち。しかし、試合後は「中国選手に対して、今日の1ゲーム目みたいなプレーをしていたらチャンスがない。勝ったけど反省も必要な試合」と課題を口にした。
平野の勝利で、木下の勝利が確定した女子開幕戦。しかし、日本生命は4番・笹尾明日香が木原美悠にゲームオール11−9で勝利し、1勝をもぎとった。
1ゲーム目からフォア裏ソフト・バック表ソフトのラバーをたびたび反転させ、新たなスタイルへの模索を感じさせた木原に対し、同じく右シェーク・バック表ソフトの笹尾は一歩も引かない打撃戦を展開。ゲームカウント1−2の4ゲーム目、2-4から一気呵成(かせい)の8点連取でこのゲームを取り返し、最終ゲームも9−9から2点を連取して勝利を手にした。
超満員の観客を魅了した、真夏の大熱戦。試合後、勝利した木下の中澤鋭監督は「日本生命さんは早田選手がいない中でも戦力が落ちず、紙一重の試合内容でした。パリから帰ってきた美宇と美和はあまり良い状態ではなかったですが、その中で勝ち切れたのは良かった。今季は若手や木下アカデミーの選手も起用し、選手を成長させながら優勝を目指したい」と語った。
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