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宮崎新専務理事「登録人口は倍になってもおかしくないし、35万人が100万人になってもおかしくない」

6月19日に公益財団法人日本卓球協会はJTTAスポーツ団体ガバナンスコードに基づき、組織を大きく変えた。

会長には日清紡ホールディングス会長の河田正也氏が就いた。河田氏は自身も卓球好きのプレーヤー。長く日本卓球協会の会長は経済界から卓球の経験のない人が会長職をつないできたが、「自らラケットを握る卓球好きの会長」の登場はひさしぶりのことだ。

 

日本卓球協会の新会長、「卓球大好きな」河田正也氏

 

実務のトップである専務理事に宮崎義仁氏が就任した。

宮崎氏は1959年長崎県出身。中学より卓球を始め、長崎県鎮西高校、近畿大学、実業団では和歌山銀行で活躍した。1985年世界選手権では初出場でベスト8に進出し、卓球が初めてオリンピックの正式競技となった1988年ソウル大会に出場し、日本の卓球界を牽引した。

2001年にナショナルチーム男子監督に就任し、その後、2012年ロンドン五輪までチームを率い、監督を勇退後に、強化本部長に就いた。強化本部長として、NT 、JNT、HNTを統括し、その間に日本は2016年リオ五輪、2021年東京五輪と実績を積み上げ、競技レベルを上げてきた。またテレビ解説でも軽妙な語り口が好評を博した。

 

1985年世界選手権イエテボリ大会での宮﨑義仁氏。強烈なバックハンドのアップダウンサービスを武器に世界で活躍した

 

今回の人事改選で星野一朗氏から専務理事を受け継いだ宮崎氏は就任直後の取材でこう語っている。

「専務理事の任期の中で取り組みたいことは日本肢体不自由者卓球協会、日本知的障がい者卓球連盟、日本ろうあ者卓球協会の選手たちの環境整備です。現在、NTの選手たちは協会派遣であれば自己負担金なし、賞金は100%もらえるようになっていますが、同じ日の丸をつけていても3つの協会(連盟)の選手たちは海外遠征する際には自己負担金がありますし、NTと同等の扱いは難しいのが現状です。

まず、分かれている3団体をひとつにまとめていくのが私の役割だと考えていて、その組織再編をしていくことは相当にハードルが高いのはわかっていますが、成し遂げたい」

日本では2019年以降、国際大会が開催されていない。日本の卓球ファンは世界選手権などの開始あを待ち望んでいるが、まずはWTT(ワールドテーブルテニス・以前のワールドツアーの後継のツアー・イベント)開催になるのか。

「来年の秋に向けて現在新会長の河田会長に相談しながら進めています。体制が整えば、加盟団体、テレビ東京、WTTジャパンと一緒になってキックオフミーティングを行いたい」

「(世界選手権の)候補地を9月の理事会で募っていきます。10年に一度、世界選手権を日本で開催しますというのを協会のミッションと考えて、それをアクションに変えていきたい。候補地があれば毎回でも良いから立候補していきたい」(宮﨑)。

日本卓球協会の登録人口は2019年度に35万人を越えていたが、コロナ禍で26万人まで落ち込んだ。しかし、2021年度(2022年3月まで)の登録人口は30万人まで戻している。協会の登録人口を増やしていくことにも新専務理事は意欲的だ。

「元の大会数に戻し、戻したうえでもっとみなさんが楽しめるイベントを考えていけば、登録人口は倍になってもおかしくないし、35万人が100万人になってもおかしくない。協会の登録会員になれば、トップ選手を近くで見られるとか、イベントに参加できる、大会のチケットが優先的に安く買えますとか、特典をつけることがあってよい」

前専務理事の星野氏は現役時代カットマンだった。凄まじいまでの事務処理能力を持つハードワーカーとして日本卓球協会を牽引していた。そして、JOC(日本オリンピック委員会)専務理事の要職につきながら、今回の人事改選では日本卓球協会の副会長に就任した。

新専務理事の宮崎氏は「攻めの人」だ。自らアイデアを出しながら突き進むタイプ。時に「攻め過ぎか」と周りをヒヤヒヤさせることもあるが、その実行力には定評がある。

大きな組織の日本卓球協会を変えることは至難の業だ。しかし、多少リスクがあったとしても、強いリーダーシップで改革する時期に来ている。新専務理事には、その牽引力を期待したい。

 

新専務理事の宮崎義仁氏

 

最新の卓球王国8月号でのロングインタビュー

 

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