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日本の宝「早田ひな」への誹謗中傷を許さず。感情論に流されず、試合の本質を論じたい

昨日8月29日、五輪メダリストの早田ひな(日本生命)が自身のSNSで、WTTチャンピオンズ横浜・張本美和戦の最終ゲーム、2-4の局面で取った「メディカルタイムアウト(MTO)」についてコメントを発表した。

要点はこうだ。7月に痛めていた左腕が試合中に再発する可能性があったため、2回戦の張本美和戦の前に日本卓球協会ナショナル女子チームの中澤鋭監督に相談し、ルールに基づいてMTOを使う了解を得ていた。その際には協会スタッフ立ち会いのもと、所属チームの岡雄介トレーナーによる処置を受けていたことを説明した。

試合は早田が逆転勝ちを収めた。しかし試合後のミックスゾーン(取材エリア)で張本美和は涙ながらに「納得できない。公平ではない。疑問を感じた」と訴え、翌日には兄・張本智和も「許せない」と発言。背景事情が伝わらないまま、感情的なコメントだけがネット上で拡散し、早田ひなへの誹謗中傷に発展した経緯がある。

早田はルール違反を犯したわけではなく、戦術目的でMTOを用いたわけでもない。ただし、張本サイドには試合中に十分な説明がなされなかったため、フラストレーションが募り、心理的動揺がプレーに影響したことは否めないだろう。

早田が事前に協会へ確認し了承を得ていた以上、あの試合はアンフェアではなかった。むしろ、試合後のミックスゾーンでその点を説明すべきだったかもしれない。説明不足のまま張本側の感情的な発言だけが切り取られ、拡散されたのは残念である。

日本人同士の対戦であっても、選手たちは真剣勝負に人生を懸けている。パリ五輪でも左腕の故障を抱えながら日本のために戦った早田ひなという「日本の宝」に、心ない中傷が向けられることは、看過できない。(今野)

以下は、SNSでの早田のメッセージの全文である。

◇◇

いつも温かい応援ありがとうございます。

この度は、WTTチャンピオンズ横浜でのメディカルタイムアウトに関して、皆様にご心配をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。また、日本卓球協会への確認に時間を要したため、ご説明が遅れてしまいましたことにつきましても、深くお詫び申し上げます。

様々なご意見を頂戴しておりますので、今回の経緯についてご説明させてください。

今年7月の試合で、プレー中に骨が動き痛みと共に急にラケットが正しく握れなくなる症状を経験しておりました。このような症状に備え、8月9日(土曜日)の2回戦の試合の前に、万一の際にWTTで新しく制定されたメディカルタイムアウト(MTO)を使用したい旨、また、その際に症状を熟知している所属チームの岡雄介トレーナーに処置(関節や筋肉の調整)を依頼することについて、事前に日本卓球協会のナショナルチーム女子中澤鋭監督に相談し、WTTで新設されたメディカルタイムアウトに加え、テクニカルタイムアウト、ウォーターブレイクについても「問題ない」旨のお返事をいただいておりました。

目に見える怪我ではなかったため判断が難しいからこそ事前に承認も得ておりました。とは言え、第三者の方々から見て中立性に疑問が生じる可能性があるというご意見はもっともだと感じております。このため、日本選手同士の対戦ではコーチをおかないという不文律の慣習を踏まえ、対戦相手の方に配慮し、日本卓球協会のスタッフにも1名、処置中に立ち会ってもらい、痛みや症状の確認と処置のみが行われ、戦術などのアドバイスがなかったことを確認してもらっておりました。

私としては、WTTの新ルールであるメディカルタイムアウトで処置を受け、試合を継続したいという切実な思いからの判断であったことはご理解いただけますと幸いです。様々なご意見があることは承知しておりますが、今回の件に関して、誹謗中傷のコメントはどうかお控えいただきたく、切にお願い申し上げます。いつも温かい応援をくださる皆様への感謝を胸に今後はより慎重な判断と対応に努め、これからも皆様に応援していただけるよう、頑張ってまいります。今後とも、応援のほどよろしくお願いいたします。

2025年8月29日

早田ひな

◇◇

WTTチャンピオンズ横浜の2回戦で対戦する早田ひなと張本美和

 

タイムアウトの時間も含め、詳しい説明もなく、待っている状態となった張本美和。フラストレーションが高まるのは理解できる

 

WTT側が認め、事前に確認をしていたので、MTOで岡雄介トレーナーが処置をした

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