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東京五輪

1回戦は完勝の中国女子。鉄壁となった布陣と後味の悪さ

今日14時30分からの女子団体1回戦、3連覇中の中国がオーストリアと対戦。3試合とも一方的なスコアでオール3−0のストレート勝ち。3点先取の団体戦にも関わらず、試合が終わるのに1時間もかからなかった。

団体メンバーの3番手だった劉詩ウェンが、王曼昱に交代となったのはすでにお伝えしたとおり。オーストリア戦ではその王曼昱が1番孫穎莎とのダブルス、そして3番シングルスに出場した。

1番で完勝した孫穎莎(左)/王曼昱のダブルス

19年世界選手権優勝の王曼昱/孫穎莎は、中国女子では現在最強のペアだろう。陳夢、孫穎莎、劉詩ウェンという本来のエントリーだと、若い孫穎莎は他のふたりとダブルスを組んだ経験が少なく、孫穎莎の単2点に陳夢と劉詩ウェンの単複というオーダーに固定されやすかった。また、陳夢と劉詩ウェンのダブルスも、国内で繰り返されたエキシビションマッチで安定した成績を残していたとは言い難い。

劉詩ウェンが王曼昱にスイッチしたことで、新たに五輪女王となった陳夢の単2点に、世界選手権優勝ペアの孫穎莎/王曼昱の単複という、鉄壁の布陣が完成した。孫穎莎を単2点で使いたければ、陳夢/王曼昱ペアを起用してもいいだろう。

それにしても、この劉詩ウェンから王曼昱へのスイッチには、少々後味の悪い部分がある。一昨日、男子シングルス決勝が行われていた時、劉詩ウェンは中国チームのコーチ陣やチームメイトとともに、至って普通の様子で試合を見ていた。そして昨日、中国チームの会場練習の際には、劉詩ウェンの姿はすでにコートにはなく、陳夢/王曼昱ペアがダブルス練習を行っていた。

一昨日の男子シングルス決勝を見守る劉詩ウェン(写真中央)

少なくとも、偶発的なアクシデントという雰囲気ではない。混合ダブルスでの結果や劉詩ウェンの調子次第で、王曼昱へのスイッチは規定路線だったかのようだ。ちなみに中国は2020年2月のドイツオープンで、陳夢/王曼昱のダブルスをエントリーさせて優勝している。Pカードの王曼昱と陳夢のペアを、「もしもの場合の備え」としてテストしたと言われればそれまでだが。

劉詩ウェンの心身の状態については、本人と中国チームのみぞ知る。選手のエントリーについて、協会が完全にコントロールしている中国ならではだが、恐らく最後となるであろう小さな世界女王のオリンピックは、何とも残念な形で幕を閉じた。

試合後も余裕の表情。オーストリアと集合写真も撮っていた中国

東京五輪速報

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