卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

佳純が締めた! VM突入も、木下アビエルが6連勝

木下アビエル神奈川 32 日本ペイントマレッツ
1 長﨑美紬 11-9 13-11 馮天薇
木原美悠 李皓晴
2 浜本由惟 7-11 12-14 3-11 加藤美優
3 石川佳純 11-6 9-11 11-4 11-8 松平志穂
4 袁雪嬌 8-11 7-11 6-11 馮天薇
5 石川佳純 11-6 加藤美優

Tリーグ女子、師走の大トリを飾るに相応しい2時間18分の熱戦。
ラスト石川佳純の勝利で、6連勝を決めたのは木下アビエル神奈川!!
試合後、日本ペイントマレッツの三原孝博監督が「ダブルスの勝敗がチームの明暗を分けるとつくづく感じた一戦でした」と語ったように、今日も木下のストロングポイントは、長﨑美柚と木原美悠の「みゆうダブルス」だった。長﨑のチキータと木原の変化の激しいサービスで、最後まで主導権を譲らなかった。馮天薇・李皓晴のダブルス練習の不足を差し引いても、若いふたりのサービス・レシーブの「進化」は断然光っている。「相手ペアはすごく強い選手同士でしたけど、自分たちふたりで力を合わせて2-0で勝つことができました。良い年越しになりました」(木原)。

サービス・レシーブで確実に主導権を握った長﨑(左)・木原のダブルス


これで木下の圧勝かと思われたこの一戦だが、日本ペイントマレッツも猛烈な頑張りを見せる。2番に出場した加藤は「具合が悪くて3日練習できなくて、今日は負けるなと思っていた」と試合後に語ったが、緩急を自在に操る天性のセンスは健在。浜本をストレートで下した。

加藤、エースの貫禄を見せて2番で勝利


マレッツ応援団の声援も熱かった!


そして3番、石川佳純対松平志穂。今日の松平は強かった。得意のしゃがみ込みサービスからの多彩な両ハンド攻撃で石川を追いつめた。石川も松平のサービスに、ややナーバスになっていたが、ゲームカウント1−1の3ゲーム目は中盤で一気に連続得点。「女王の逆鱗に触れた」という内容で、最後は石川が貫禄を見せる。

松平のしゃがみ込みサービスからの速攻は健在だった


4番の袁雪嬌と馮天薇の一戦は、ともに中国スーパーリーグでは黒龍江中州電纜永剛に所属するチームメイト同士。「私たちは同じスーパーリーグで戦っているので、お互いをよく知っているし、戦術も熟知している」という馮天薇のコメントどおり、馮天薇は袁雪嬌のロングサービスを確実に回り込んで攻めるなど、サービス・レシーブで優位に立った。明日朝には再びスーパーリーグ参戦のため、中国にとんぼ返りする両選手。32歳になった馮天薇のタフさには驚かされるが、「やっぱり疲れますね」とは本人の弁。

袁雪嬌戦の終盤はカウンターが冴えた馮天薇(左)。試合後はベンチで笑顔


これで勝負の決着はビクトリーマッチ、石川佳純対加藤美優の一戦に委ねられた。「かとみゆ!かとみゆ!」と「かすみ!かすみ!」という両チーム応援団からの声援が錯綜する中、6−2とスタートダッシュをかけた石川。加藤も食い下がるが、7−5、8−6と石川がリードを保つ。「あと1点、2点で追いつけるところでうまく点を取られる。そういうところで実力差が出てくる」(加藤)。2番の松平戦に続き、加藤戦でもしゃがみ込みサービスに苦しみながら、見事に勝ち切った石川。初めてビクトリーマッチに出場した12月5日の日本生命レッドエルフ戦で、早田にゲームオールジュースで敗れた悔しさを払拭する勝利だ。

石川、安堵の表情。前回のビクトリーマッチで敗れた雪辱を果たした


「皆さんの応援が力になりました。明けましておめでとうございますと皆さんに言いたいですね(笑)。相手もとても強かったし、袁さんの調子もあまり良くなかったですが、石川さんとダブルスが頑張ってくれて勝利をつかむことができた。今年の締めくくりを勝つことができてとてもうれしいです。2月の試合も一生懸命頑張って、ファイナルまでしっかり戦っていきたい」(木下・劉燕軍監督)。
6連勝の立役者となった石川は、勝利者インタビューで「ビクトリーマッチは2回目で、前回は負けていたので今日は必ず勝ちたいと思っていましたし、ホームなので良い勝ち方で2018年を締めくくりたかった。応援が本当に力になりました。ありがとうございました」と語り、応援団の大歓声を浴びた。誰かが負けても、しっかり誰かがカバーする木下アビエル神奈川。この強さは簡単には揺るぎそうにないが、今日の一戦は日本ペイントマレッツの健闘を讃えたい。見応え満点の大熱戦、2019年もTリーグからは目が離せない。

試合後にインタビューに応える劉燕軍監督。現オーストリア女子NT監督の彼の手腕も見逃せない


選手全員で、観客席の応援団の声援に応えた木下のメンバー


下写真は、昨日の堂珍嘉邦さんに続き、会場で歌声を披露してくれた土屋飛鳥さん。木下の劉燕軍監督は「Tリーグは、試合の前や合間に行われる歌やダンスなどの演出が良い。会場の雰囲気も良くて、観客のレベルも非常に高いと思いますね」と語っていた。

関連する記事