11月26日に大会を終えた全農カップ(パリ五輪代表選考会)大阪大会。女子シングルスで見事に初優勝を飾った張本美和(木下アカデミー)。6月のWTTコンテンダー・チュニス大会での優勝から加速を付け、出場する国際大会でも上位に食い込み、世界ランキングを14位まで上げ、日本人3番手となっている。
最終選考会では橋本帆乃香(ミキハウス)、伊藤美誠(スターツ)、長﨑美柚(木下グループ)、そして決勝で早田ひな(日本生命)を破り、選考会で初優勝を飾り、選考ポイントの順位でも5番手となった。現実的に、獲得ポイントの可能性のあるWTTファイナルズ名古屋大会と全日本選手権で優勝したとしても、自力で2番手(シングルス枠)につけるのは難しいが、この15歳の張本美和のこの1年間の成長速度を考えると、五輪代表3番手に推す人は少なくない。
最終選考会でのミックスゾーン(取材ゾーン)での彼女のコメントを紹介しよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<全農カップ(最終選考会)1日目の張本美和のコメント>
●ー準々決勝では伊藤美誠さんに勝ちました。
張本 Tリーグとかでも負けてしまっていたので、今日は気持ちの面でも負けないようにしようと、戦術も試合の中で切り替えた。今は勝つことができてすごく嬉しいです。1、3ゲーム目を取られて、リードされている状態だったけど、やっていることは間違ってないし、最後にうまく調整できました。最後の選考会なので、一番上まで行きたい。目の前の試合を頑張って自分の納得の行く試合ができて、成績につながったら嬉しい。
●ー明日に試合はどうでしょう?
張本 準決勝は同士討ち(長崎戦)なのでベンチコーチのいない中で、自分の考える力を発揮できるように頑張りたい。
●ー今、世界ランキングでも日本人3番手です。この1年間で成長した部分はどこでしょうか?
張本 経験をたくさん積むことができましたし、練習でミスしないことを意識しています。オール系の練習をする時は簡単にミスをしないようにする。緊張した時には練習した部分が出ると思うので、練習の時からミスを減らすように意識しています。
●ー自分の立ち位置はどう考えていますか?
張本 強い人にも勝つことができるようになっていて、ただ選考会の最初のほうであまり選考ポイントが伸びなかったけど、手応えはありました。平野選手、伊藤選手、早田選手にも毎回勝てるわけではないし、早田選手には一度も勝ったことがない。まだ自分は下のほうなので向かっていく気持ちを持ちたいです。
●ー伊藤選手との試合をもう少し説明してください。
張本 朝の1試合目(橋本戦)で時間を使ってしまって、伊藤さんの研究をすることはできなかった。でも、直近の大会で一緒だったりして、特徴はある程度知っていたので、勝てるか負けるかわからなかったけど、伊藤選手の変化に対応できるかどうか、そこがポイントの試合でした。
1ゲーム目は自分が有利に立ててなくて、あとからしっかり調整できて、戦術につながり得点できたのが良かった。最初は相手のボールを自分のものにすることができなくて、食らいついて得点している感じだったけど、4ゲーム目からは自分の攻めるプレーと、相手に打たせてから反撃するプレーがうまくできました。
●ーパリ五輪の代表3番目というのは意識しますか?
張本 (残りのWTTファイナルズと全日本選手権)全部優勝しない限り可能性はないのはわかっているし、考えるとプレッシャーになってしまうので、あまり考えずに今の自分を試すぞという気持ちでプレーしています。
●ー選考ポイント(5番手)に関しては?
張本 選考ポイントで追いつくのは難しいし、可能性というのはほとんどないけれど、毎大会自分のベストを尽くして、行けるところまで行きたいとは思っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<全農カップ(最終選考会)2日目の張本美和のコメント>
●ー優勝おめでとうございます。今の気持ちは?
張本 今は本当に嬉しいです。最後の選考会で初優勝できて本当に本当に嬉しいです。
●ーずっと勝てなかった早田さんに勝ったことは?
張本 嬉しいし、今後の自信にもなった試合でした。試合の戦術の組み立てが良かったかな。今日は1ゲーム目を負けて、最近は早田選手とやって競って負けることが多くて、今回も負けちゃったなと1ゲーム目終わって思ったけど、あきらめずに、どうすべきかと考えました。
●ーどんなところが成長したのでしょうか?
張本 5ゲーム目は重要だったし、そのゲームを取ったのが勝因のひとつだと思います。気持ちの面で成長したと思います。
●ーチキータを途中で狙われて、ストップを使うなど、レシーブでなにかを変えたのですか?
張本 早田選手のサービスも(今までと)変わっていたし、チキータしたら狙われていたので、ストップレシーブだと相手に強いボールは打たれないし、ストップも使いながら対応しました。早田選手のドライブの質はすごく高いし、ボールが伸びてきたりとか、いろいろあって、調整が本当に難しい。最後はチキータで上回転にしてラリーに持ち込もうとしました。
●ー選考会決勝で早田さんに勝った意味は?
張本 今まで全日本や国際大会、選考会といろいろな場所で対戦して、その度に負けていました。選考会の決勝という舞台で早田選手に勝てたことも自信になりましたし、決勝で勝ち、優勝することは少ないので、そこを乗り越えることができたのはすごく良かったですね。
●ー早田選手がいつもと違うと思った部分は?
張本 巻き込みサービスとか、いつもと違うサービスを出されました。コースが厳しいのはいつもすごいところ。
やったことのある選手で、早田選手は唯一勝ったことのなかった選手だったので、逆に言うと、早田選手と当たるまでは負けないという気持ちでした。早田選手とやったらその時に全力で頑張ろうと。
早田選手とは今年は7回目で、去年1回、小学生の時に1回で、全部負けています。チームメイトとは、10回行くまで(早田選手に)1回勝ちたいと言ってました(笑)。
●ー越えるべき存在に勝ったということですね。
張本 本当に今日の試合は自信になったし、戦術の部分はうまくいったと思う部分もあるけど、実力は早田選手のほうが本当に上です。1本1本の質をもっと上げて、戦術がちょっと悪くてもラリーに持ちこめて、そこで戦える、どんな状況でも得点につながるようなものをこれから見つけていけたらいい。
1回勝ったから次も勝てるわけではない。もちろん自信になったけど、相手によって準備するものも違うので、気持ちの面でも誰にでも負けないように頑張ります。
(パリ五輪について)現状を見ると、平野選手か伊藤選手が可能性があるので、私自身はそんなに意識していなくて、何番手を狙うというのはなくて、一個ずつランキングを上げていき、行けるとこまでいけたらいいです。
<11月25・26日>
ツイート