●女子シングルス決勝
石川佳純(全農) -4、7、-7、-7、10、5、9 伊藤美誠(スターツ)
東京五輪代表同士の対戦となった女子決勝は、劣勢を跳ね返した石川が逆転で勝利。激闘を制し、5年ぶりの王座奪還となった。
1ゲーム目のスタートから、2本連続で3球目で得点するなど、序盤は伊藤ペースで試合が進む。バック強打で石川のフォアサイドを鋭く突き、サービスも効果的。ラリーになれば両サイドを厳しくえぐり、スマッシュも面白いように決まり得点を重ねていく。
2ゲーム目こそミスが目立ち石川に奪われたが、それも伊藤が先手を取って攻めていた中でのもの。石川は決め手を欠いている印象で、伊藤が3-1とし、2年ぶりの優勝に王手をかけた。
追い込まれた石川は5ゲーム目、3-4の場面でタイムアウト。ここから逆転し、追い上げられながらも何とかこのゲームを奪う。伊藤の攻めに対し、間合いをはかってラリーを進めていくうちに、伊藤もそれまでのようにラリーで厳しくコースを突けなくなり、スマッシュのミスも増えていく。フォアドライブを放つチャンスも多くなり、6ゲーム目も石川が奪取。日本一の行方は、最終ゲームにゆだねられた。
勝負の第7ゲームは両者ともエンジン全開。伊藤が驚異的な連打で攻め立てれば、石川もしのいでしのいで逆襲に転じる。伊藤のミドルへのスマッシュを何とかブロックして石川が9-5と優勝にあと少しに迫るも、伊藤が4本連取で猛追。9-9となったが、最後に笑ったのは石川だった。次の1本を石川が奪い、最後はミドルへの3球目ドライブから渾身のスマッシュを叩き込んでゲームセット。両手を高く突き上げた石川、通算5度目の栄冠を劇的な逆転勝利でつかみ取った。
優勝インタビューでは涙を浮かべ、言葉につまる場面もあった石川。「相手は強い選手なので、リードされてもあきらめないで戦おうと思っていました。試合の途中、『強気で楽しんでやろう』と自分に声をかけて戦った」との言葉どおり、終盤にかけて精度を高めていったプレーは見事だった。5度目の優勝は平野早矢香と並ぶ歴代3位タイの記録となった。
一方、痛恨の逆転負けを喫した伊藤は涙。優勝インタビューが終わり、石川がコートを出た後もベンチにしゃがみ込み、しばらく動けなかった。
ツイート