教え子たちからは「邱(キュウ)さん」と呼ばれている邱建新(きゅう・けんしん)。日本での指導は30年以上前までさかのぼることになり、闘将・吉田安夫氏(故人)に招かれて、氏が監督を務める青森山田中・高らの選手たちを指導した。
関係者の間では邱建新の指導力は早くから高く評価されていたが、日本の卓球ファンに一躍知られるようになったのはリオ五輪での水谷隼(木下グループ)の活躍。全日本選手権の決勝で2年続けて負けた水谷の「復活請負人」となるべくプライベートコーチになった邱建新は、水谷のプレースタイルを大きく変え、全日本での復活優勝、そして日本選手として五輪シングルスで初のメダル(銅メダル)をもたらした。
その後、石川佳純(全農)のプライベートコーチに就き、サービスやバックハンドの強化に成功。熾烈な東京五輪の代表争いに打ち勝ち、石川は五輪3大会続けて団体でメダルを獲得した。
指導者としての邱建新は、何が優れていて、他の指導者とは何が違うのか。その答えを、彼の指導を受けた教え子たちの言葉から解いていく。
「邱さんは試合前にはいつも、『自信を持ってやれよ、気持ちが大事だ』と言ってくる。他の人が言うのと、邱さんが言うのとでは言葉の重みが違う」(水谷隼)
「練習内容に新鮮さを感じましたし、やっていて強くなっているという充実感もありました」(石川佳純)
「練習メニューについては、プレースタイルや課題から判断していて、『こんな練習メニューもあったのか』と何度も感じました」(及川瑞基)
「練習中は緊張感もあって、とても厳しかったですね。それは吉田先生と親しかったから影響を受けていたのかもしれません」(森薗政崇)
「(昨年の)全日本前に課題であったフォアハンドを毎日、1球1球、細かく指導してくれたので短期間で良くなりました」(加藤美優)
「邱さんのメニューは試合の中で意識して使うというよりも、自然に使えるようになるんです」(芝田沙季)
本日発売の卓球王国2023年3月号では、水谷隼、石川佳純、及川瑞基(木下グループ)、森薗政崇(BOBSON)、加藤美優(吉祥寺卓球倶楽部)、芝田沙季(ミキハウス)というトップ選手たちの言葉を、過去のインタビューから最新のコメントを合せて紹介している。
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