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Tリーグ

無茶な開幕を実現させる松下チェアマンの意地

 いよいよ卓球の新リーグ「Tリーグ」が10月24・25日に東京の両国国技館で開幕する。男女合わせて、現世界ランキングでトップ10の選手が7人も参戦する、文字通り世界最高峰のリーグの誕生だ。
 9月23日に水谷隼が自ら監修したDVDの発売記念サイン会にTリーグの松下浩二チェアマンも参加し、70名ほどのお客さんにTリーグをアピールした。このように地道なプロモーションにもチェアマン自ら足を運んでいた。
 五輪メダリストの水谷隼はこのTリーグを代表する「選手の顔」である。「日本でのプロリーグは楽しみにしていた。心待ちにしていたリーグの誕生です。ようやく実現されることがうれしいですね」と期待に胸を膨らませている。
 一方、Tリーグの「組織の顔」は松下浩二である。
 2017年3月に組織ができたが、その前のインタビューで、「18年秋のスタートは時間がなさ過ぎではないか」と質問をぶつけると、当時の松下はこう答えた。
 「スタートする時期を延ばしても同じです。人間、明日必ずやらなければいけないと思えば、今日始めるじゃないですか。あえてスケジュールをタイトにして優先順位を一番に持ってこなければいけない。だから、ゴールを決めて、そこに到達するためのスケジュールを決めたいと思っています」
 しかし、現実的に、テレビでの放映やネットでのストリーミングの権利問題、スポンサー獲得の問題、そして参加チームの募集は難航を極めた。途中でこのプロジェクトを投げ出したくなる衝動に襲われたのは一度や二度ではないだろう。
 Bリーグなどと違うのは、女子の日本生命レッドエルフ以外は、既存のクラブチームもなく、ほぼゼロからのチーム作りが始まったことだ。
 
 泣いても笑っても無茶な開幕と言われた10月24日はやってくる。松下浩二は「卓球新リーグ」を告げ、水谷隼がコート上で舞い、観客を魅了するだろう。
 だが、それは卓球の新しい時代の最初の一歩にしか過ぎない。本格的なリーグ作りはこれから始まるのだ。 
(卓球王国編集長・今野)

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