●Tリーグ男子開幕戦 7月29日/アリーナ立川立飛
〈琉球アスティーダ 3−2 木下マイスター東京〉
◯有延大夢/周雨 −8、8、8 林昀儒/大島祐哉
◯張本智和 10、7、8 篠塚大登
吉村真晴 −9、9、7、−5、−9 及川瑞基◯
周雨 −5、−6、10、−8 林昀儒◯
◯張本智和 5 及川瑞基
※周雨のTリーグ表記は「シュウ ユウ」
Tリーグの2023−2024シーズンが開幕!
3月のプレーオフファイナルで激闘を演じた琉球アスティーダと木下マイスター東京の一戦は、エース張本智和が再びビクトリーマッチを制した琉球が劇的勝利!
琉球は張本、木下は林昀儒というスーパーエースを擁する両チーム。ともにシングルスでは勝利する確率が髙いだけに、1番ダブルスを取れれば大きく勝利に近づく。琉球は開幕直前にチームに合流した元中国代表の周雨を有延とのダブルスで起用。現世界王者の樊振東とペアを組み、15年世界選手権2位の実績を持つダブルスのスペシャリストにチームの命運を託した。一方、木下の林昀儒は1週間前に来日し、ダブルスでの実績十分な大島とのペアリングをしっかり調整してきた。
どちらが勝っても全くおかしくなかった1番ダブルス。勝利をつかんだのは有延/周雨ペア。有延が強力なチキータと正確なバックストップを織り交ぜ、周雨は台から距離を取った時に巧みな球さばきを見せた。林昀儒/大島ペアも1ゲーム目を取り、ストレート勝ちの可能性もあったが、有延/周雨ペアの気迫が上回った。
琉球は続く2番で、エース張本が昨季のプレーオフファイナルで完敗した篠塚に鮮やかなリベンジ。1ゲーム目の張本9−8リードの場面で、張本が早くもタイムアウトを取り、このゲームを11−10で奪うと一気に突っ走った。篠塚のロングサービスに冷静に対応し、バックの回転をかけたブロックからの攻守の切り替えがより早くなった張本。フォアやミドルに回されたボールにも、ショートスイングのフォアドライブで冷静に対応し、プレーが崩れなかった。一方の篠塚は腰の故障から復調の兆しを見せるも、まだ中陣での豊富な運動量が戻り切っていなかった。
こうなると試合は一気に琉球ペース。3番で「お祭り男」吉村真晴が出陣するが、その前に立ちはだかったのが木下のポイントゲッター・及川瑞基だ。吉村にゲームカウント1−2とリードを許しながら、得意のバックストレートへのバックハンドと、電光石火の回り込みからのカウンターを連発する。
この開幕戦の終了後、すぐにエントリーしているWTTコンテンダー・リマに出場するため、ペルーへと旅立った及川。慌ただしいスケジュールの中でも、吉村の猛攻をしのぎ切ってゲームオールで勝利を収めた。
ちなみに試合の終盤、5ゲーム目には隣接する昭和記念公園での花火大会が始まり、大玉が打ち上げられると会場には大音響がこだました。しかし、さすがはトップクラス、コートに立つ選手たちは気にする素振りも見せない。
続く4番も勝利したのは木下。林昀儒の「予定どおり」の1点ではあるが、試合内容を見れば周雨の健闘が光った。林昀儒の高速チキータとフォアカウンターの猛攻を浴び、出足の2ゲーム目まではノーチャンスだった周雨。ロングサービスからのバックカウンター、台から距離を取っての巧みなボールさばきで3ゲーム目を奪い返し、4ゲーム目も接戦を演じた。不慣れなプレー環境の中でも「さすが元中国代表」というプレーだった。
ビクトリーマッチの出場選手は、琉球は満を持して張本。一方の木下は何度もビクトリーマッチで勝利を収めてきた及川を送り込んだ。1ゲームマッチのこの試合は4−4まで拮抗していたが、6−4と張本がリードして及川がタイムアウト。しかし、張本に傾いた流れは止められず、選考会優勝から好調をキープする張本が自信満々のプレーで勝利を収めた。
「電車道」の突進で一気に勝利を決めるかと思われた琉球と、土俵際で組み止めて中央まで押し返した木下。最後は琉球が「横綱相撲」で寄り切ったが、開幕戦にふさわしい熱戦に、酷暑にも負けずアリーナ立川立飛に集結した1378名の観客は盛大な拍手を送った。
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