卓球王国 2021年9月21日 発売 vol.294
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

魅せてくれるぜ、Tリーグ。男子の開幕戦、早くも最高潮

創設から4シーズン目を迎えるTリーグの2021-2022シーズンの男子開幕戦、昨季1位の琉球アスティーダと昨季2位の木下マイスター東京の一戦が、東京・大田区総合体育館で行われ、ビクトリーマッチ(5番)がジュースにもつれ込むほどの熱戦となった。結果は下記のとおり。

●Tリーグ男子開幕戦
〈木下マイスター東京 3-2 琉球アスティーダ〉
吉田雅己/田添健汰 −9、−10 木造勇人/平野友樹○
○及川瑞基 2、7、8 村松雄斗
吉田雅己 −4、7、10、−9、−9 宇田幸矢○
○大島祐哉 −9、6、9、10 木造勇人
○大島祐哉 13 宇田幸矢

木下マイスター東京との契約更新が発表されたばかりの東京五輪・男子団体銅メダリスト、水谷隼は五輪閉幕後は十分に練習できていないこともあり、開幕戦はベンチ入りはしたものの出場機会はなし。しかし、選手入場では誰よりも大きい歓声で迎えられ、東京五輪でメダルを獲得したTリーグプレーヤーに対する「Tリーグ特別表彰」を、Tリーグの坂井一也理事長から授与された。

その授与式後の会場インタビューで、「今日は木下マイスター東京の選手と琉球アスティーダの選手が、本当に素晴らしい試合を見せてくれると思うので、ぜひ皆さん応援宜しくお願いします」と語った水谷。その「予言」どおり、試合は熱戦の連続となった。

トップのダブルスで木造/平野が巧みな緩急を見せ、ダブルス巧者の吉田/田添を下したかと思えば、2番では木下のポイントゲッター・及川が、ミドル攻めからのフォアサイドを中心とした連続強打で、カットの村松に反撃の機会を与えない。

及川にカット攻略の策を授けたのは、ベンチに入った水谷だった。木下は渡邊隆司・監督代行がまだチームに合流して日が浅く、「男子選手を知り尽くしている水谷くんに協力をお願いした」という渡邊監督代行の依頼で、偉大な戦術マスターがチームメイトにアドバイスを送った。及川も「五輪でも金メダルを取っているし、みなさん知っているとおりレジェンドなので、そういう人がベンチにいると自分もプレッシャーもなく、思い切り戦えた」と水谷効果を語っている。

トップで先制した琉球ペア。難しい3ゲームズマッチの要所を抑えた

ベンチでの水谷のアドバイスにも支えられ、巧みなカット攻略を見せた及川

そしてこの試合随一の名勝負は、3番の吉田対宇田。宇田のチキータからのパワフルな両ハンドに苦しみながら、「後の先」のカウンターと粘り強いプレーで丁寧に点を拾った吉田。ゲームカウント2−2の8−9で、宇田の打球点を落としたループドライブを、回り込みざまにネットの横からバックストレートへ「横入れ」したカウンタードライブは、観客をあ然とさせた。しかし、勝利をつかんだのは最後まで強打を打ち切った宇田。琉球ベンチの興奮は最高潮に達する。

3番で吉田との大激戦を制した宇田

1−2と劣勢に陥った木下。開幕戦では過去3戦3勝のチームを、今季も勝利へと導いたのは大島祐哉だった。今日の出場選手の中では最年長の27歳。かつてのような「イケイケ」のパワードライブ連打は陰を潜めたが、時折見せるパワードライブを「撒き餌」にしながら、丁寧な台上プレーとバックハンドの緩急で得点する。まるで五輪シングルス2連覇の馬龍(中国)のように、プレーを進化させていた。

巧みに自分の待ちに相手を誘い込み、バックのカウンターを見舞う木造を4番で下した大島は、「勢いそのままにビクトリーマッチにいくほうが大島くんには合っている」(渡邊監督代行)という木下の起用法で、そのままラストに登場。3番で激戦を制した宇田との大一番となる。

4番で勝利を決め、吠える大島祐哉

雌雄を決するビクトリーマッチ。4-1とリードしながら、競り合いに持ち込まれて7−9と劣勢に陥った大島だが、ここで上回転系のサービスで宇田のレシーブを大きく浮かせ、サービスエース。続く下回転サービスを宇田がネットミス。「サービスが少し下回転に偏っているということで、水谷さんから『上回転を出してみたら?』ということで、7-9で宇田選手がレシーブミスをした。あの1本が、勝負を分ける1本だったと思います」と試合後に大島は語った。

それでも宇田は9-9から10-9とマッチポイントを握り、琉球が勝利まであと1点だったが、ここでバックストレートへのロングサービスをオーバーミス。ここからのジュースは大島のマッチポイントを宇田がしのぐ展開になったが、11−12でミスをしたばかりのロングサービスを使い、12−12に追いついた宇田のプレーにも意地を感じた。しかし、最後は大島が15−13で、チームの4季連続での開幕戦勝利を決めた。

宇田とのジュースの連続を制した大島(奥)、勝利のガッツポーズ!

「木下マイスター東京は去年2位で悔しい思いをしたので、今年は絶対優勝しようという強い思いを持って開幕戦に臨みました。これから応援よろしくお願いします」。試合終了後、涙をにじませながら語った大島。あたたかい拍手が会場を包んだ。

いやはや、開幕戦からこれほどの熱戦を見せつけられようとは……。 会場での演出も少しずつ洗練され、見やすく、面白くなっている。明日の女子開幕戦も楽しみだ。

開幕戦4季連続勝利の木下、プレーオフファイナルで敗れた昨季の雪辱を期す

試合前にTリーグ特別表彰を受けた水谷隼。試合出場はならなかったが、ベンチでチームを支えた