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Tリーグ

琉球アスティーダ、悲願の初勝利をつかみ取る!!

琉球アスティーダ 3-1 岡山リベッツ
1勝3敗 2勝3敗

 

1 陳建安 11-8 8-11 7-11 上田仁
江宏傑 森薗政崇
2 丹羽孝希 11-8 4-11 16-14 11-8 林鐘勲
3 陳建安 12-10 18-16 6-11 11-8 吉村和弘
4 荘智淵 11-4 11-13 11-7 7-11 13-11 李尚洙
5

 

 岡山リベッツのホームで行われた琉球アスティーダとの一戦は、昨夜に続いて1000人を超す観客が集まった。

2日続けて1000人が訪れた岡山武道館

 

 前日にT.T彩たまを下して勢いに乗る岡山と、ここまで3戦してまだ勝ち星のない琉球。韓国選手2人の参戦でチーム力がアップしている岡山は、この試合で吉村和弘を初めて起用。対する琉球は丹羽孝希、荘智淵、陳建安の3人と、こちらも初めての出場となる江宏傑をダブルスに使ってきた。

 第1マッチのダブルス、岡山は上田仁・森薗の不動ペア。琉球は陳建安・江宏傑。この2人はリオ五輪の団体戦でペアを組んでおり、ドイツ戦で勝利するなど実力はお墨付き。「Tリーグではダブルスが重要です。琉球アスティーダはペアリングをいくつか試して、その中で最良のペアを見つけたいという考えがある」と外間政克監督。この試合では陳建安をダブルスとシングルスに起用することを決めていて、陳建安が「お互いのことをよく知っていて、組みやすい相手」と江宏傑を指名したという。

 その琉球ペアは出だしから好プレーを見せる。ドライブの打ち合いで岡山ペアから得点を奪うなど、息の合ったプレーで1ゲーム目を取った。しかし、ここまで負け無しの上田・森薗は慌てなかった。森薗のチキータレシーブを起点に上田がフォアドライブを打ち込むパターンを見つけると琉球ペアにラリー戦で負けなくなり、2、3ゲームと奪って逆転勝ち。岡山が先取点をあげた。

ここまで負けなしの強さを誇る上田と森薗のダブルス

 

 第2マッチに登場したのは前日勝利の立役者となった林鐘勲と丹羽。サウスポー同士の対決は丹羽がサービスで林鐘勲を崩して1ゲーム目を取ったが、2ゲーム目は林鐘勲のバックドライブがさく裂。予測能力が高く、カウンターやブロックがうまい丹羽だが、林鐘勲の居合い抜くような一撃のバックドライブは止まらない。

 勝負を分けたのは3ゲーム目だ。お互いのプレーに慣れたことでイージーなミスが減り、好プレーでなければ得点に繋がらなくなると、ワールド級のプレーが続出した。ジュースが続く僅差の中、丹羽が必殺のキル・カウンターを決めるなど強気のプレーで上回ってこのゲームを取ると、4ゲーム目も奪って試合を決めた。

 高い集中力をキープし、勝利後に小さく拳を固めた丹羽は試合をこう振り返った。

 「林鐘勲とはこれが初対決でした。彼は最近いい成績をあげていて強いと感じていましたが、今回勝つ事ができたことは自信になりました。ぼくはこれまでの3試合は相手がすべて日本選手で、また0ー3など勝負が決まってからの試合ということもあり、ややモチベーションに欠けてしまっていたことを反省し、4戦目からは日本選手とか外国選手ということではなく、勝つために全力でぶつかろうと思いました」(丹羽)。

高い集中力と研ぎ澄まされたプレーで勝利した丹羽

 

 第3マッチ。1対1のタイに戻した琉球はダブルスに出場した陳建安が登場。岡山は吉村和弘。吉村は2週間前のスウェーデンオープンで世界ランキング4位の林高遠(中国)を破っている。

 試合は強打者同士の戦いらしく前、中陣での強烈なドライブの打ち合いになった。1、2ゲーム目をジュースで陳建安が奪うと、そのまま一気に試合が決まるかと思われたが、吉村はあきらめずに逆に攻め手を強める。吉村はショートスイングで手首を振り降ろすようにして下回転と横回転がわかりづらいサービスを使うと、陳建安はレシーブミスを繰り返す。3ゲーム目を奪った吉村だったが、4ゲーム目になって陳建安が神がかったようなカウンターを連発。そのまま試合を決めた。

 「ホームでの試合に使ってもらって、たくさんの人が応援にきてくれて熱い声援をおくってくれた中で勝てなかったことが申し訳ないです。緊張しないようにと自分に言い聞かせていましたが、やはり初めてのTリーグでの試合ということで堅くなってしまった……。今日の試合は50点くらいの出来映えで、相手は100点だったのでそれではこのレベルの選手に勝つ事は難しい。シーズンはまだ長いので、この敗戦を生かして、次は勝利で応援にこたえたいです」と試合後の吉村。吉村に限らず、どの選手もTリーグでの初試合はプレッシャーに襲われると言うが、Tリーグのレベルの高さに加えて、これまでの国内大会にはない至高の雰囲気が、選手たちに重圧を与えているのだろう。

ハイレベルなTリーグの洗礼を受けた吉村

勝利を決めてガッツポーズの陳建安

 

 初勝利まであと1つになった琉球と追いつめられたホーム岡山。第4マッチは世界最高峰のリーグの名に相応しい、ハイレベルな戦いになった。李尚洙と荘智淵の世界トップ選手の戦いは、両者が一歩も譲らずに6オールからスタートの最終ゲームへ。ここで荘智淵が10ー8とマッチポイントを握るが、心臓の強い李尚洙はひるむことなく攻めて2ポイント連取すると、前日に続いてゲームオールジュースになった。緊迫感と熱狂が交錯する岡山武道館。最後は「ここで自分が勝って、チームの初勝利をつかむしかない」と腹をくくった荘智淵に軍配。琉球がアウェイで貴重な勝ち点3、そして4戦目にして初勝利をあげた。

最後はベテランの荘智淵が魂のプレーを見せた

 

 長かった初勝利を手にして、丹羽は最後にこう締めくくった。

 「ダブルスを取りたかったんですが、その後のシングルスでぼく、陳建安、荘智淵という主力で3勝という理想的な勝ち方ができた。チームは負けが続いていたので、そこからはい上がることは容易ではなかったんですが、3試合を終えてから少し時間が空いて、ぼくも外の選手たちもこの4戦目でなんとしても勝ちたいという気持ちになっていました。そういう中での勝利はうれしいですね。次からの戦いも厳しいと思いますが、がんばります」

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