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Tリーグ

上田が水谷を追いつめるも、木下マイスターが岡山を振り切る

岡山リベッツ 1-3 木下マイスター東京
3勝5敗 8勝1敗
1 上田仁 7-11 11-9 11-7 水谷隼
森薗政崇 松平健太
2 李尚洙 8-11 2-11 14-16 張本智和
3 吉村和弘 6-11 8-11 9-11 大島祐哉
4 上田仁 11-7 6-11 11-8 12-14 9-11 水谷隼
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  岡山リベッツがホームに、首位・木下マイスター東京を迎えた1戦は、木下マイスターが3-1で勝利。初黒星を喫した前回のリベンジを果たした。岡山にとってホームでの3試合目となった今日の試合。チケットは完売、寒空の下にも関わらず、開場の2時間以上前から入場口には長蛇の列ができ、開場時間を予定より早める盛況ぶりとなった。

 ダブルスは岡山が上田/森薗。木下マイスターは水谷/松平ペア。前回の対戦では上田/森薗が勝利しているが、1ゲーム目は台上でうまく攻めを封じた水谷/松平が先取。しかし2ゲーム目以降は、高い集中力でボールをねじ込んでいった岡山ペアが気合の勝利。ダブルスの個人成績12位を争う実力派ペア同士の対戦を制して、会場を大いに沸かせた。

接戦を制し、岡山ペアが吼えた


 

 2番は岡山が李尚洙、木下マイスターが張本。ともに世界ランキングトップ10位内のまさにワールドレベルの対戦となる。1ゲーム目序盤は李尚洙が張本のお株を奪うような打点の早いバック連打で先行するも、張本もしっかりアジャスト。逆転でこのゲームを奪う。2ゲーム目は精細を欠いた李尚洙がミスを連発、最後は張本が8本連取で一気に王手。3ゲーム目は終盤に李尚洙がサービスと台上でチャンスを作ってフォアドライブを打ち込むも、最後まで集中力を切らさなかった張本がストレートで勝利をあげた。

世界トップランカー同士の一戦は張本が圧倒

 タイで迎えた3番は吉村対大島のイケメン対決。まずは大島がサービスを効かせて吉村得意のチキータを封じる。2ゲーム目は大島が攻め込む展開が続き、このゲームもう大島が奪う。3ゲーム目に入り、吉村らしい鋭いカウンター、下がった位置からのバックハンドが炸裂し、見せ場はつくったが大島が気合のプレーで逃げ切った。吉村はネットやエッジなどアンラッキーなポイントも多く、ペースをつかみきれなかったか。

ストレートで勝利した大島。気合いが入っていた


見せ場を作った吉村だが、アンラッキーな失点が続いた


 

 そしてこの日、最も会場が沸いたのが4番の上田と水谷の一戦。サービス・レシーブ、台上、ラリーにコース取り、いかなる場面でも両者腹の探り合いのような緻密な頭脳戦を展開。序盤は上田がやや押す展開でゲームを2-1とリードし、4ゲーム目には2度マッチポイントを握るも、ここで決めきれず。逆にこれで開き直ったか水谷。最終ゲームはサービスで優勢に立ち、最後はダイナミックな引き合いの末に上田を振り切り、前回のリベンジ、そして首位を独走する8勝目をチームにもたらした。

最後は勝負師・水谷らしさを見せて勝利を決めた

 珠玉の攻防となったこの試合を水谷は「内容は終始押され気味だったけど、4ゲーム目のジュースの場面でラッキーなポイントもあって、そこから流れが来たと思う。上田は戦術の幅が広くて、なんでもできる。今日はだんだんサービスが効いてきて、最後はそれがはまったと思う」と振り返った。

 一方、勝利まで後一歩に届きながら敗れた上田は、ベンチで悔しさをにじませた。「水谷さんは日本のトップをずっと走っている選手で対戦できるのは光栄。ここで勝つことでリベッツとしてもそうですけど、自分自身の今後にもつながるゲームだったので、非常に悔しい。簡単に得点を取った場面もあるけど、競った場面で徹底してイヤなところをついてくる。自分が決めにいったボールでも、他の選手より1本、2本多く返ってきて、そこで焦ってしまった」(上田)

好プレーを見せた上田だが、最後の1本が奪えず

 1月の全日本選手権では同じブロックに入った水谷と上田。両者が勝ち上がるとベスト8決定戦で対戦となるが、今回同様、それ以上の好ゲームが期待できるかもしれない。

 第1戦、第2戦はビクトリーマッチまでもつれる接戦で11敗、そして今日の3試合目もわずかの差で勝敗が決した岡山リベッツ対木下マイスター東京。スター軍団と呼べるメンバーが揃う木下マイスターに対し、総力戦で挑む岡山のカードは実に面白い。試合後の会見で岡山の白神監督が「うちにはビクトリーマッチ向けの選手(吉村)もいるし、ダブルスを取って、あと1点を全員でなんとか取れれば、ビクトリーマッチで勝負できるという気持ちがある」とコメント。勝利した木下マイスターの邱建新総監督も「リベンジできるように準備してきた。岡山はいつも高い集中力を持っているし、私たちもそれだけの集中力がないと勝てない。ダブルスを落としてプレッシャーもある中で勝てたのは大きい」と岡山を評した。

 首都・東京のチームに、地方都市・岡山のチームが全員でぶつかって勝利を奪う。今日会場に詰めかけた岡山のファンは、きっとそんな勝利にカタルシスを感じずにはいられないはず。岡山vs.木下マイスターの次の対戦は1227日、再び岡山で。次戦こそはホームで強敵撃破なるか。

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