卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

揺るぎないアビエルの強さ、名古屋を4−0で下す

木下アビエル神奈川 40 トップおとめピンポンズ名古屋
1 長﨑美柚 11-4 11-8 田志希
木原美悠 鄭怡静
2 石川佳純 11-5 11-5 11-8 森薗美咲
3 長﨑美柚 4-11 12-10 9-11 11-9 11-7 鄭怡静
4 袁雪嬌 10-12 11-7 11-5 10-12 12-10 徐孝元
5

木下アビエル神奈川、トップ名古屋を4-0で撃破!

これで12月は無傷の5連勝、ガッチリ首位をキープした!

この試合で勝敗のカギを握ったのは、1番のダブルスだ。アビエルは3試合連続で起用された長﨑と木原が、ともにレシーブからバックハンドで仕掛け、特に長﨑のチキータと「逆チキータ」で田志希/鄭怡静を手玉に取った。田志希は世界ランキング16位、鄭怡静は世界ランキング8位。ランキングでは長﨑(37位)/木原(87位)よりもはるかに上なのだが、田志希/鄭怡静のプレーは明らかに精細を欠いていた。「ダブルスが今日の試合のすべてじゃないかと思います。負けられないというプレッシャーから、慎重なプレーになってしまった」と名古屋の新井監督はコメントした。

ちなみに木原は高砂市出身の「ご当地選手」。「懐かしいなと思いながら、思い切りプレーできたと思います。半分以上が木下アビエルの応援で,試合中ももっと頑張ろうと思えました」と試合を振り返った。

故郷に錦を飾った木原(右)、長﨑と息の合ったプレーを披露

2番石川が森薗との同期対決をストレートで制し、2-0と完全に主導権を握った木下。3番長﨑が相手エースの鄭怡静を沈め、さらに4番袁雪嬌が徐孝元との大熱戦を制した。

光っていたのは、木下の選手たちのサービス・レシーブからの緩急とコース取りのうまさ。左腕の石川と長﨑は、フォアサイドから相手のミドルに出す横回転サービスを持ち上げさせ、それを狙い打ったり、バックハンドで両サイドを突いてからフォアの決定打を決めるなど、多彩なパターンで得点を重ねた。この「戦術力」の源は、やはりベンチに入った劉燕軍監督、邱建新コーチの智略か。

多彩なコース取りで同期対決を制した石川(奥)


長﨑の逆チキータ。「彼女は技術面の先進性がある」と劉燕軍監督も賞賛

4番で勝利した袁雪ジャオも、もともとはあまりカット打ちの得意な選手ではないが、これで徐孝元に3連勝。徐孝元をフォア前に寄せて早いタイミングでバックを攻めたり、ロングサービスからミドルを突くなど、必死の粘りを見せる徐孝元の急所を攻めた。「(徐孝元戦の)1回目は結構簡単に勝ちましたが、2回目は粘られてなんとか勝って、今日の試合が一番苦しかった。前回の試合(マレッツ戦)は0-3で加藤さんに負けて、あまり調子が良くなかったので、今日は何とか頑張って最後まで粘って、勝利をつかむことができて良かった」(袁雪嬌)。

4ゲーム目のマッチポイントを逆転され、5ゲーム目は逆に9−10から逆転勝ちした袁雪嬌(右)

 これで名古屋はアビエル戦に6連敗。そのうち3試合が0-4で敗れており、「お得意様」状態になっている。左腕・田志希の補強は的確で、本来の実力を発揮すれば首位争いに絡んでもおかしくないチームなのだが、なかなか勝ち星を伸ばすことができない。3番が終わった後、敗れて意気消沈する鄭怡静をチームメイトたちがそっとなぐさめる光景を目にした。各選手とも責任感の強さゆえに、勝利へのプレッシャーがプレーの足かせとなっているのか。名古屋の春が待ち遠しい。

3番で長﨑に敗れ、意気消沈の鄭怡静を励ますチームメイトたち


勝敗が決した4番でも全力投球のプレーで、会場を大いに沸かせた徐孝元


下写真は、試合前に登場したCHEMISTRY(ケミストリー)の堂珍嘉邦さん。QUEENの『We Will Rock You』や『WE ARE THE CHAMPIONS』を高らかに歌い上げた。CHEMISTRYの往年の名曲を期待した人もいたかもしれないが、試合の雰囲気と期待感を高めるという点では効果的だった。

関連する記事