木下アビエル神奈川 | 3–2 | 日本生命レッドエルフ |
1 | 森薗美月 | 11-7 | 7-11 | 6-11 | 常晨晨 | ◯ | |||
張本美和 | 蒋慧 | ||||||||
2 | ◯ | 石川佳純 | 11-5 | 11-9 | 11-3 | 平野美宇 | |||
3 | 木原美悠 | 7-11 | 11-7 | 11-13 | 6-11 | 森さくら | ◯ | ||
4 | ◯ | 袁雪嬌 | 11-8 | 11-9 | 11-9 | 常晨晨 | |||
5 | ◯ | 石川佳純 | 11-5 | 森さくら |
男子の北海道シリーズが盛り上がりを見せる中、女子は宮城・ゼビオアリーナ仙台で木下アビエル神奈川vs.日本生命レッドエルフの首位攻防戦が行われた。ここまでの対戦は日本生命の2勝1敗で、11月21日を最後に対戦がなかったが、ともに連勝街道を突き進んできた両チーム。東北では初開催のTリーグということもあり、1700人を越える観客が詰めかけ、大いに盛り上がりを見せた一戦は木下アビエルがビクトリーマッチまでもつれた末に勝利。プレイオフファイナル1番乗りを決めた。
まずはダブルス出場選手の発表で、会場が大歓声につつまれる。木下アビエルは地元・仙台出身の小学4年生・張本美和を初めて起用。もちろん、10歳でのTリーグデビューは最年少記録。今後しばらくは破られそうにない記録だ。
森薗美月とのペアで、このところ安定して勝利をあげている日本生命の常晨晨/蒋慧に挑んだ張本。1ゲーム目はスタートからいきなり5本連取を決める。前陣ですばやく動き、押し込むようなブロックで得点を奪い、森薗も好プレーを見せて木下アビエルペアが第1ゲームを奪う。しかし、相手も強敵の日本生命ペア。2ゲーム目からはサービス・レシーブで翻弄。早いテンポに押されていた1ゲーム目とは違い、落ち着いて2ゲーム目を取り返す。6-6から始まった3ゲーム目は1点も与えずに押し切って日本生命がダブルスを奪った。
敗れたとはいえ、大観衆の中で1ゲーム目から堂々のプレーを見せた張本の強心臓ぶりは見事。大健闘といえるデビュー戦だ。木下アビエル・劉燕軍監督は張本の起用を「彼女はポテンシャルも高く、将来有望な選手。Tリーグの舞台で良い経験をして欲しかった」とコメント。石川も「すごく良いプレーをしていたし、将来は日本を代表する選手になると思う。美和ちゃんが良いプレーをしてくれて会場も盛り上がった」とデビュー戦の10歳をたたえた。
そして2番の対戦カードは石川佳純と平野美宇のエース対決。11月18日の対戦では平野が勝利していたが、今日は石川のワンサイドゲームだった。全日本後に取り組んできたというサービス・レシーブが面白いようにはまり、1ゲーム目を5点で奪うと、2ゲーム目以降も石川ペース。厳しい台上だけでなく、前陣の打ち合いも次々に制しストレートでリベンジ。頼れるエースが勝敗をタイに戻した。
敗れた平野はフォアのフリックでミスを繰り返し、フォアからミドルをバックで処理した後に両サイドを突かれる展開が続き、完敗の内容。ここ最近、以前のような爆発力が影を潜め、消化不良の試合が続いている。
3番は全日本の準決勝でも対戦した木原美悠と森さくらの対戦。全日本で敗れたリベンジとばかりに、森が気合いの猛攻を見せた。ロングサービスからバックの連続強打で木原を攻め立てる。ミスが出ても、攻めの姿勢を貫き通し意地の勝利をあげた。
王手をかけた日本生命は4番に仕事人・常晨晨を起用。対する木下アビエルは袁雪嬌。シングルスの出場こそ少ないが、起用された試合ではきっちりと勝利を収めている実力者の常晨晨に対し、袁雪嬌もその実力を見せる。常晨晨の緩急、厳しいコース取りにもしっかり対応、逆に常晨晨はその粘りに対してミスが出る。3ゲームともに終盤まで競り合ったものの、勝負所の1本が明暗を分け、ストレート勝ちで袁雪嬌がビクトリーマッチに持ち込んだ。
勝敗が託されたビクトリーマッチ、木下アビエルはエースの石川、日本生命は3番で勝利の森をコール。「(ビクトリーマッチは)本当は平野を使いたかったけど、2番の負け方が悪かったので森にした」(日本生命・村上総監督)と初のビクトリーマッチ出場となった森が、序盤でリードを奪うが「3度目のビクトリーマッチでようやく慣れてきた」という石川が落ち着いて巻き返し、逆転勝利。さすがの勝負強さを見せた石川がチームにプレイオフ進出を決める勝利をもたらした。
2番、ビクトリーマッチで勝利した石川は「今年最初のTリーグで、ビクトリーマッチで勝てたのですごくうれしい」と試合を振り返った。
「とりあえずホッとしています。(2番は)まずは自分のプレーをすることと、サービス・レシーブから自分の展開に持っていくことを考えていた。勝ったことも良かったけど、内容もすごく良くて、そこがうれしい。ビクトリーマッチは3回目ですけど、ようやく雰囲気というか戦い方がわかってきて、今回が一番リラックスして臨めた。1ゲームだからといって、特別意識することなくプレーするほうが良いのかなって最近は思っています。(プレイオフ進出は)国技館でやれるのはうれしい。たくさんの方に見てもらいたいです(※木下アビエルの開幕戦はアリーナ立川立飛)」(石川)
最年少デビューの張本は試合同様、落ち着いた様子で地元での試合を語った。
「とにかく自分の持ってるものを全部出したかった。1球目から緊張していたけど、やり切れたと思う。すごく強い選手とやって、勉強になりました。仙台ジュニアのみんなが声を出しくれて、他のファンの方も応援してくれてすごくうれしかった。これからもっと強くなってシングルスでも出られるように頑張りたいし、次は良いプレーをして勝ちたいです」(張本)
木下アビエルは明日もゼビオアリーナ仙台でトップおとめピンポンズ名古屋と対戦。プレイオフ進出を決め、どのような戦いを見せるか楽しみだ。
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