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Tリーグ

壮絶なファイナル前哨戦は、水谷が決めて、木下が歓喜!

木下マイスター東京 32 岡山リベッツ
13勝7敗 12勝9敗
1 張本智和 7-11 9-11 森薗政崇
大島祐哉 三部航平
2 水谷隼 7-11 5-11 12-10 11-7 11-9 林昀儒
3 英超 6-11 11-13 7-11 林鐘勲
4 張本智和 11-6 11-3 11-6 吉村和弘
5 水谷隼 15-13 林鐘勲

  東京の立川・立飛で行われたノジマTリーグ男子の木下マイスター東京対岡山リベッツ。3月17日のファイナル進出を決めた岡山にとって、シーズンのリーグマッチの最終戦であり、木下とのファイナル前哨戦となった。

 トップのダブルスは、両者が予想外のペアリング。木下は張本智和と大島祐哉が組み、岡山はエースダブルスの上田仁・森薗政崇を崩し、元全日本チャンピオンの森薗・三部航平ペアを出してきた。完全に、両チームがファイナルを見据えて、手の内を見せない作戦をとった。

 ダブルスの1ゲーム目の主導権を奪ったのはダブルスのスペシャリスト森薗が組む岡山。10-4から10-7と追い上げられたところでタイムアウト。このブレイクが功を奏し、11-7で岡山が先取した。

 2ゲーム目、岡山は6-4から三部が張本に対し2本連続ロングサービスを出し、レシーブミスを誘い、8-4と離す。トップ選手同士のダブルスでは相手のチキータを封じるために下回転、横下回転のスピードのあるロングサービスを出すことが定石となっている。8-7と木下ペアは食い下がるも、最後は11-9と岡山ペアが押し切った。

 ペアは変わっても、岡山の強さはやはりダブルスの強さだ。「三部とは4年ぶりに組んだけど、良いコンビネーションを出すことができた」と森薗。

トップで登場した張本と大島のダブルス


元全日本ダブルスチャンピオンの森薗と三部のダブルスは強い

 2番は木下が全日本チャンピオンの水谷隼、岡山はタイペイの気鋭の若手、17歳の林昀儒で、前回の木下戦では張本を3-0で破っている。2月から参加した林は試合ごとに力をつけている。出足から水谷が飛ばしたが、林がすぐにまくり、8-6とリード。水谷の動きは決して悪くはないが、林はミスがなく、的確にフォアドライブを入れていく

 2ゲーム目も林が主導権を奪いながら、試合が進んでいく。水谷は一度もリードを奪うことなく、林がゲームを連取。ミスがないのは「的確な目」を持っている証拠。加えてバックのカウンターとフォアのドライブは力がある。

 3ゲーム目、背水の陣の水谷が出足から飛ばし、5-0。巧妙に林のバックをつぶしにかかる。一気に10-2と離し、誰もが次のゲームを考えたが、そこから林が5本連取し10-7となり、木下がタイムアウト。しかし、林の勢いは止まらず、なんと8本連取して10-10に追いついた。ここで水谷が捨て身の両ハンドを放ち、12-10でかろうじてゲームを取り返したが、試合は完全に林のペースとなった。

 その流れを絶ちきるように4ゲーム目の出足から水谷が強引に攻めていき、4-0とするも、林が盛り返し、6-5まで詰め寄る。お互いが斬り合うようなラリー戦、9-7から水谷が回り込んでドライブを決める。最後は林のドライブミスで11-7、水谷がゲーム連取し、最終ゲームに持ち込んだ。

 5ゲーム目は6-6からのスタート。水谷が7-6から目の覚めるようなカウンターのフォアドライブを放ち、8-6とするも9-9となる。ここで水谷の強烈な横下回転サービスを林が持ち上げ、それをカウンターで水谷が決め、最後はバックのカウンターで、見事な逆転勝ち。水谷の老練な試合運びと、積極攻撃で試合を1-1に戻した。

 それにしてもタイペイの林昀儒は強い。岡山ベンチにはこの試合でタイペイのナショナルチーム監督の蒋澎龍が専属コーチとして入り、林への期待の大きさがうかがえる。

老練な試合運びと、アグレッシブなプレーの両面を見せた水谷


試合ごとに力をつけている林昀儒は水谷を追い詰めた

 3番は木下のカット侯英超対韓国のサウスポー、林鐘勲。林は侯のカットの変化にミスがなく、強烈なカーブロングも苦にせずに圧勝。岡山が2-1とリードした。

 4番には張本が登場し、今までビクトリーマッチで2連敗している吉村和弘を6、3、6で圧倒した。張本は先にチキータとカウンターのバックハンドで攻めこみ、吉村の得意のバックドライブを使わせないラリー展開に持ち込んだ。「今日は勝利への執念を出すことができた。毎週、試合があるのははじめてだが、今日は良い試合ができた」と張本が言えば、完敗した吉村は「ミドルに深いツッツキを持ってこられて、苦しんだ。張本が自分の弱いところを引き出してくれたので、これからそこを課題として練習していく」と吉村は前向きなコメントを残した。

侯英超の変化カットとカーブロングを苦もなく料理した岡山の林鐘勲


 

連敗していた吉村和弘に完勝した張本智和

 試合はついに5番のビクトリーマッチにもつれこんだ。木下は水谷、岡山は林鐘勲が登場。出足から林のバックドライブが水谷を苦しめ、4-0でリード。1ゲーム勝負のビクトリーマッチでこれは大きい。水谷は大ピンチ。さらにリードは広がり、7-2と林がリード。しかし、ここから水谷が本領を発揮。相手のミスを誘いながらも要所では思い切りの良い攻撃を見せ、6本連取で8-7と逆転。

 マッチポイントは林が先に取ったが、水谷がジュースに持ち込む。13オールからは水谷が3球目で渾身の回り込みで得点を決め、最後はナックルレシーブからの攻撃でチームを勝利に導いた。

「今日やった二人ははじめてやる相手。序盤はリードされたが、中盤からは自分の試合ができた。タイペイの林には3ゲーム目からギアを上げた。ミスが少なく、コース取りのうまい選手だった。ラストの韓国の林は厳しい試合だった。最後は気持ちで勝てた。攻めていかないと負けると思った。だからすべて自分から仕掛けた。ファイナルはダブルスが勝ったほうが優勝すると思う。この2週間でダブルスを重点的にやっていく」と水谷。

ビクトリーマッチで2-7からの逆転勝利を決めた水谷


ベンチに返り、喜ぶ水谷

 試合後に岡山の白神監督は「今日は惜しかった。ファイナルが決まったのでダブルスも変えてみた。ファイナルでは岡山はダブルスを取ってはじめて勝負できる。ダブルスともう1点の2点取り、ビクトリーマッチで勝負したい」と語った。

 一方、木下の邱監督は「レギュラーシーズン1位はうれしいね。ファイナルではルール上、岡山のタイペイの林と、韓国の林は出られない。李尚洙と日本選手が出てくる。ダブルスが勝負になる。ダブルスを取ったら90%勝つよ」と力強くコメントした。

レギュラーシーズンの1位を決め、喜ぶ木下マイスター東京


 

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