木下マイスター東京 | 4–0 | T.T彩たま |
14勝7敗 | 10勝11敗 |
1 | ◯ | 水谷隼 | 9-11 | 11-6 | 12-10 | 平野友樹 | |||
大島祐哉 | 吉村真晴 | ||||||||
2 | ◯ | 侯英超 | 11-9 | 12-10 | 10-12 | 13-11 | 神巧也 | ||
3 | ◯ | 水谷隼 | 14-12 | 11-4 | 11-5 | 吉村真晴 | |||
4 | ◯ | 張本智和 | 17-15 | 12-10 | 11-8 | 鄭栄植 | |||
首位でレギュラーシーズンを終えた木下マイスター東京と3位で終えるT.T彩たまの対戦。これがノジマTリーグ男子の最終戦である。1346人の観客を集めた立川・立飛。
トップのダブルスではファイナルをにらんで、水谷隼と大島祐哉が組んだ。対する彩たまは吉村真晴と平野友樹の野田学園OBペア。水谷は前日までかけていなかったサングラスをかけて登場した。LEDや卓球台の光に過剰反応する「目の問題」を抱えている水谷は、前日、観客がすべて帰ったあとに、何種類ものサングラスを試して、会場で練習していた。(水谷の目の問題に関しては、卓球王国最新号を参照)
試合は一進一退の展開で、3ゲーム目にもつれ込んだ。6-6からのスタートで、そのままジュースになった。最後は大島のバックドライブが決まり、12-10で木下ペアが勝った。
敗れた彩たまの平野は試合後にTリーグ参戦を振り返って、「今は緊張感がほぐれた状態。これから世界選手権の選考会もあるのでこの経験を生かしたい。Tリーグでは技術以外に学ぶことは多かったし、一つひとつの技術の質も上がり、バックハンドの技術も成長した。トップ選手とやることで勝負勘も磨かれたと思う」と語った。
2番は変化カットの侯英超対初出場の神巧也。侯の変化ツッツキに面食らう神だが、徐々に球質に慣れ、4-0から7-6と追い上げていく。そして7-7と追いつく神。しかし、最後は侯のぶつ切りバックサービスを空振りして、11-9で侯がゲームを先取した。長いカットのラリーに持ち込めば神は得点できるのだが、その前の前陣でのツッツキとバックカットへのネットミスで失点を重ねた。
2ゲーム目、神は侯をカットに追い込み、6-2とリードするも8-8と侯が追いつき、神は10-9とゲームポイントを握るも10-10のジュースになった。最後は侯のバックツッツキを神が2本連続でミスし、侯がゲームを連取した。
3ゲーム目は接戦となったが侯が10-9とマッチポイント取る。そこから神が3本連取し、ゲームを取り返した。
4ゲーム目、出足から神ペースで試合は進む。7-3と神がリード。9-5から変化ツッツキとバックのカットで9-9に侯が追いつく。次の神のドライブがエッジで10-9になったが、10-10のジュースとなり、最後は侯のバックカットを神がネットミスして、木下が2点を先取した。
1月末にシチズンを退社した初出場の神は試合後にこう語った。「今までずっとベンチだったので、今日は緊張はしたけど楽しかった。腹をくくってサラリーマンをやめてTリーグに来たので、万感の思いはあります。でも勝てなかったことはとても悔しい。会社員と違って、安定はないけど、卓球でメシを食っているので、新鮮で、今とても充実しています」
3番は水谷対吉村の対戦。水谷は昨夜の岡山戦で2勝している。手の内を知っている吉村に対しては出足からあまり飛ばしていかない様子でジュースとなり、13-12から最後はドライブがネットインとなり、水谷がゲームを先取した。
昨夜の林昀儒と林鐘勲という初対戦の二人には決めに行くタイミングが相当に早かったが、吉村に対してはボールを見極め、ラリーの中で確実に点を取りに行っている水谷は2ゲーム目も11-4で連取した。
3ゲーム目も水谷が5-2とリード、要所でフォアストレートとバックストレートのフォアドライブが決まり、リードを広げ、8-4として、最後は11-5で水谷がストレートで吉村を下し、木下は3点目を取り、この試合のチーム勝利を決めた。
試合後にはじめてかけたサングラスのことを記者団に聞かれ、「悪くはなかった。もともと視力には問題ないけど、ライトアップされる試合だと、LEDの看板や台の反射でボールが見えない。特にLEDの白い文字とボールが重なると見づらい。夜の車のヘッドライトからボールが急に出てくるような感覚です。それはぼくだけじゃなく、選手はみんな言っている。サングラスをしたら視界からボールが消えることはなくなった」と語った。
過去に卓球の試合中にメガネではなく、サングラスをした選手はいない。会場がショーアップされ、照明や広告が選手に影響を与えることを運営側は考慮しなければいけないだろう。誰よりも用具や体に繊細な水谷にとって、相手と戦う前に会場と戦わなければいけないようだ。
4番は木下の若きエース張本智和と、彩たまの「ヨン様」こと、鄭栄植(チョン・ヨンシク)の試合。これがTリーグレギュラーシーズンの最終試合である。鄭はTリーグで13勝7敗だが、張本には2連敗している。
1ゲーム目、スコアはほとんどタイスコアのまま進み、終盤で張本が10-8とリードしたが、10-10に鄭が追いつく。ジュースになり、お互いがバックドライブで点を取り合う展開となり、15-15から張本がバックドライブで得点したところで、自らタイムアウトを取って、ひと呼吸入れた。次を鄭が3球目の台上ドライブをミスして、17-15で張本がゲームを先取した。
2ゲーム目、6-4と中盤まで鄭がリード。8-6、9-7、9-8で鄭がタイムアウト。次のボール、張本のドライブがオーバーし、10-8となったが、そこから張本が4本連取し、ゲームを連取した。
3ゲーム目、7-7と中盤までは互角の戦い。そこから張本が両ハンドで一気に決めに行き、10-7とマッチポイント。10-8からフォアドライブを決め、最終戦を勝利で飾った。
勝った張本はレギュラーシーズンを振り返り、「技術と言うよりも、Tリーグではいろいろな場面で回ってくるので、いろいろな場面で試合ができたことが良い経験になった。今日の鄭も世界選手権で負けたけど、Tリーグで3回勝って、借りを返したけど、次は大事なところでもしっかり勝ちたい」と言い、来週のジャパントップ12を聞かれると、「全日本での敗戦の借りを返したい。地元の仙台でリベンジしたい」と力強くコメントした。
T.T彩たまの坂本監督のコメント。
「最後だったので神とキャプテンの吉村をだしたかった。神の良いところも出たし、Tリーグで勝つことの難しさも実感したと思う。プロチームは勝つことが前提だけども、彩たまはどのチームよりも地元という地域が応援してくれたと思っている。平野の成長を見てくれればわかるけど、選手にとって収穫は多かった。
これからすぐに来シーズンに向けての選手選考に入る。残る人、移る人が出てくる。冷静に判断して勝てるチームを作りたい」
木下マイスター東京の邱監督のコメント。
「今日はダブルスが勝った時点で絶対勝てると思った。昨日は張本と大島のダブルスでテストした。今日は一番自信のあるペア、水谷と大島のダブルスを使った。張本はまだまだ。あと20%は調子が上がる。スタートが悪いから、相手にリードされる。次は最初から試合をリードしていかないといけないね」
木下の水谷はTリーグのレギュラーシーズンを振り返り、「Tリーグは想像以上に良いリーグだった。運営も応援も1年目にしてはとても良かった。あとはチーム数を増やしてほしいですね。海外リーグも経験したけど、結構適当です。Tリーグのほうが圧倒的にプロ的なリーグです」とコメントした。
ノジマTリーグのレギュラーシーズンは終わった。決戦は3月17日の東京・国技館で行われ、Tリーグの初代王者が決まる。
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