木下マイスター東京と琉球アスティーダの今シーズン初戦、先制したのは木下だった。「組むのは3月のファイナル以来」(水谷)という水谷・大島ペアが、李平・木造ペアを完封。水谷のバックハンドのカウンター、大島のフォアのパワードライブが次々に決まった。コミュニケーションの問題もあり、李平・木造は最後まで守勢に回っていた。今後はペアの組み替えも考えていくだろう。
水谷・大島は、久々のペアとは思えないコンビネーションを見せた
李平・木造は、クールな李平に合わせて、木造もプレーがおとなしくなった感あり
そして勝負の行方を左右する2番シングルス。荘智淵は基本的にドライブを侯英超のフォアに集めながら、慎重にカットを攻めたが、それでもなおネットミスが出る侯のカットは驚異。「全中国選手権で優勝して、その調子の良さをキープしてTリーグに入ることができた」という侯英超。勝利を決めた4ゲーム目にはバックのナックルカットも有効に使いながら、フォアドライブの引き合いでも荘智淵を上回った。まさに「第二の春」を迎えている。
昨季の後半は慣れられた感もある侯英超だが、全中国選手権Vで自信をつけたか
荘智淵、最後はやや集中力が切れてしまった
しかし、昨日は惜しくも勝利を逃し、初勝利を狙う琉球も1点を返す。昨日、神に大激戦の末に敗れた朱世赫が、木下のエース水谷から会心の勝利。2−0とゲームをリードした3ゲーム目、9-7とリードしながら水谷が4点連取で逆転。意地を見せたが、長く続くドライブ対カットのラリーも、最後は水谷のミスで終わる展開。朱世赫はドライブの手数を増やし、それも一発で打ち抜くのではなく、コースと弧線の高さに変化をつけながら連打し、水谷のブロックミスを誘った。
鉄壁のカットに加え、フォアドライブの連打で得点を重ねた朱世赫
「水谷選手とは2016年のスロベニアオープンで試合をして負けている。今日の勝因は、普段よりも攻撃的なプレーを増やしたことです。今39歳になりましたが、これからも頑張っていきたい。Tリーグは1日1試合、韓国の団体戦はトーナメントで1日何試合もあるので、体力的には問題ない」。試合後にそう語った朱世赫が鉄人ぶりを見せつけた。琉球の張一博監督は「朱さんの勝因は、隼がナックルカットに対してミスが多かったこと。そして粘り強かったですね」とコメントした。
今日はベンチ入りせず、観客席から応援した吉村や江宏傑が朱世赫とハイタッチ
木下が3−1で決めるか、琉球がビクトリーマッチに持ち込むか。4番に登場したのは、昨季までのチームメイト同士。木下の丹羽孝希と、琉球の陳建安。試合の主導権は、常に丹羽が握っていた。「巻き込みサービスを相手のフォア側に集めると長いレシーブしかこないので、それを狙っていきました。相手のサービスは非常に切れていて、チキータしにくいサービスだったんですけど、なんとかレシーブで1本は取ろうと粘り強く戦えたと思います」(丹羽)。1ゲーム目を6−9から5点連取で逆転すると、一気に勝利に突っ走った。
今日の丹羽は強かった。1ゲーム目の逆転から勢いに乗り、陳建安を完封
「Tリーグはワールドツアーより楽しいですね。2000人の観客の前でプレーできて、すごく伸び伸びプレーできます。ワールドツアーはプレッシャーの中で戦っているので、早く選考レースが終わればいいと思います」。試合後のミックスゾーンで、ちらりと本音ものぞかせた丹羽。昨季までのチームメイトとの対戦については、「琉球のみんなも、チームを移籍したあともすごく良くしてくれるし、自分にとっては全く関係ない」とコメント。木下マイスター東京のポイントゲッターとして、一気に白星を積み重ねそうな勢い。今年も王者は強い。
「ビクトリーマッチになるとどちらが勝つかわからない。自分で決めるつもりだった」と丹羽
観客に「東京ばな奈」を配る侯英超と大島。試合中は怖い侯さん、普段はジェントルマンです