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Tリーグ

琉球アスティーダ、彩たまを下して首位に!

T.T彩たま 1-3 琉球アスティーダ
4勝5敗 6勝3敗
1 松平健太 11-6 9-11 9-11 有延大夢
ピッチフォード 木造勇人
2 戸上隼輔 10-11 4-11 11-3 9-11 村松雄斗
3 神巧也 6-11 10-11 11-4 10-11 荘智淵
4 ピッチフォード 11-1 11-10 9-11 8-11 12-10 木造勇人

9月10、11日の埼玉ラウンドで連勝を飾り、首位に立ったT.T彩たまだったが、その後の11月23日の岡山戦、24日の木下戦でよもやの連敗を喫し、3位に後退。今日明日のホーム2連戦で地元ファンに勝利を届けることが出来るか。対する琉球アスティーダは11月24日に行われた岡山戦で新加入の李平が勝利するなど、ビクトリーマッチを制して現在2位。連勝決めて首位に立ちたいところだ。
第1マッチのダブルスは彩たま・松平健太/ピッチフォードvs.琉球・有延大夢/木造勇人。どちらも初めてのペアリング同士の対戦だ。第1ゲームはピッチフォードのコース取りと松平の打点の早さが光り、彩たまペアが4-1,8-2と大きくリード。8-5と連続ポイントを許すと彩たま・坂本監督がタイムアウト。このゲームを11-6で奪い、大事なダブルスの第1ゲームを奪った。このまま押し切りたい彩たまペアだったが、第2ゲームの1本目で木造がロングサービス。意表をつかれたピッチフォードはチキータの構えからフォアに切り替えるも間に合わずにミスをした。このあとも木造のサービスが良く効き、彩たまペアは6-10から9-10まで追いすがるも、第2ゲームは11-10で琉球ペアが取り返す。一度失った流れを取り戻すのは難しく、6-6スタートの最終第3ゲームは琉球ペアが6-7から10-7と一気に王手。木造のドライブ速攻と有延の強打で最後まで攻めきった琉球ペアが第3ゲーム11-9で取り、アウェイの琉球が先勝した。

勝利した木造/有延


「ピッチフォードがいるだけでプレッシャーになるだろう(坂本監督)」と起用された彩たまペアだったが…


第2マッチ、彩たまは世界ジュニア3位の戸上隼輔を起用。対する琉球はカットマン村松雄斗だ。「日本リーグで怪我(肉離れ)をしてから初めての試合」という村松は「相手は年下だけど実績も上げているので挑戦者の気持ちで戦った」と高い集中力を見せる。リードされても慌てず、第1ゲームは5-9のビハインドからの逆転。第2ゲームは、焦りが見える戸上を尻目にミスをしない村松。3-1、8-2と見る見るリードを広げて10-4のゲームポイントではフォアドライブを決めて11-4。村松が2ゲーム連取した。あとがなくなった戸上は逆に力が抜けたか、村松のミドルやバックサイドを的確に攻めて得点を重ねる。4-3からは圧巻の7点連取でゲームカウント1-2とした。第4ゲームはシーソーゲームの展開。戸上が強打で得点をあげれば、村松はYGサービスやドライブなどカット+オールラウンドプレーで応戦。見応えのある試合を制したのは村松。最後はぶつ切りのバックカットを放つと戸上のドライブがネットを越えず。第4ゲーム11-9、ゲームカウント3-1で村松が勝利。琉球が2-0とした。敗れた戸上は「昨年もTリーグは経験したが、今回また試合に出てみてやはりプロの舞台は緊張した。1ゲーム目を取りたかったが取れずに、立て直すまでに時間がかかってしまった」とコメント。

勝利の瞬間、村松が大きくガッツポーズ!


世界ジュニア3位の戸上、凱旋を飾れず


窮地に立たされた彩たまは第3マッチでキャプテン神が登場。荘智淵と対戦した。荘智淵のバックハンドにうまく対応できなかった神はミスを重ねて第1ゲーム6-11と落とす。第2ゲームは無理をせずに荘智淵がミスをするまでラリーを続けてやろうと言わんばかりにボールに食らいつくラリー戦やサービスも良く効いて、7-1と大量リード。一気に押し切りたい神だったが、ベテラン荘智淵は全く動じない。バックハンドでチャンスを作り、甘いボールが来たらしっかりフォアで決める。7-7に追いつき、試合を振り出しに。10-9と先にゲームポイントを奪った荘智淵。打ったボールがオーバーしたと思われ10-10と判定されたが、荘智淵はエッジで入ったと主張。ビデオ判定を求めるシーンもあったが、この試合ではビデオ判定は導入されておらず、10-10と得点は変わらず。苛立ちを隠せない荘智淵だったが、このポイントを回り込んでフォアドライブを決めて11-10と2ゲーム先取した。続く第3ゲームは、先ほどの判定がまだ納得いかない様子の荘智淵のレシーブがうまくいかない。サービスで優位に立てる神は落ち着いて3球目攻撃をしかけ、しっかり荘智淵のバックハンドを潰して11-4でゲームを取り返した。「自分が勝てばチームの勝利が決まるが考えないようにした」という荘智淵。ホームの大声援を受けて華のあるプレーを魅せる神と1本1本しっかり打っていき、第4ゲームも接戦を演じたが、10-10のラスト1本勝負でYGサービスを選択すると、神のチキータがオーバー。荘智淵の咆哮が轟き、琉球が3-0で勝利を決めた。

頼れるベテラン荘智淵


神も会場を沸かせたが及ばず


勝利を決め、首位に立つことが決まった琉球は先日の全日本学生選抜を優勝したばかりの木造勇人が登場。彩たまのポイントゲッター・ピッチフォードと対戦した。「ダブルスは良かったけどシングルスになったら緊張した」という木造。第1ゲームはピッチフォードの広角バックハンドに対応できず1-11で第1ゲームをあっさり献上。第2ゲームはピッチフォードにフォアサイドにボールを集めて活路を見出し、10-9で先にゲームポイントを奪うも逆転され、ゲームカウント0-2に。第3ゲーム、徐々に本来のドライブ速攻が見え始め、4-0とリード。リードされても慌てないクレバーなピッチフォードは6-6と追いついてフォアカウンターをストレートに抜きさるスーパープレーも飛び出し、一気に試合を決めそうな雰囲気もあったが、木造が攻めの姿勢を貫き、8-9から3本連取しゲームカウント1-2とする。第4ゲーム、速いボールを打つとカウンターされるピッチフォードはゆるいボールを織り交ぜて立て直す。木造はバックストレートでピッチフォードのバックを追い込んでから仕掛ける戦法。わずかに攻め手に勝った木造が11-8で第4ゲームを奪い、最終第5ゲームへ。ここでもより攻撃的な木造が優位に立ち、10-9マッチポイントを握ったが「いけると思って力が入ってしまった」とクロスへの回り込みドライブをミス。このチャンスを逃してしまった木造。最後はバックドライブをミスしてしまい、ゲームカウント2-3の10-12で終戦となった。途中、木造の攻撃に押される場面もあったがピッチフォードは苦しみながらも勝利。ホームでのストレート負けを避ける貴重な1点を挙げた。

守備範囲の広いピッチフォードのバックハンド



わずかのところで勝利を逃した木造


この勝利で勝ち点20とした琉球アスティーダが首位に立った。昨シーズン最下位からの大躍進ともいえるが、張一博監督は「昨年もチームの雰囲気はよかったが、今年はさらによかったが、みんな勝ちたいという気持ちが前面に出ている」と分析。また、順位表は見ていないそうで「首位だろうと最下位だろうと、一戦一戦しっかり戦っていくという気持ちは同じ」とこれからの戦いに向けての意気込みを語った。勝利を決めた荘智淵は「昨年よりメンバーが増えて、オーダーを組みやすくなった」と好調の要因を挙げた上で、「一戦一戦しっかり戦うだけ」と張監督と同じコメント。まさにチーム一丸の琉球アスティーダが堂々と首位街道を歩んでいく。

首位に立った琉球アスティーダ


対する彩たまはホームで痛い敗戦。坂本監督は「ダブルスで負けると精神的にもダメージが大きい。2番も敗れたときにロッカールームで円陣を組んだが…」と意気消沈の様子だったが、「今日は今日、明日は明日」と明日行われる木下戦へと前を向いた。

会場のサイデン化学アリーナ

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