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インタビュー

全日本マスターズ女子サーティ女王・片上知代さんに聞く「なんで、そんなに卓球が楽しいんですか?」

■元日本代表のマスターズ参戦で「もっと上を目指さなきゃ」

―お子さんが2人いる中で、普段はどれくらい練習しているんですか?

片上 基本は週3回です。子どもをお風呂に入れて、寝かしつけてから、遅れてチームの練習に参加したりしています。自宅にも卓球台があるので、試合の前はそこでサービス練習をしたり、できるだけボールに触れる時間は作るようにしていますね。

 

―学生時代とは環境面だったり時間の面だったり、自分自身の体も変わってきたと思いますが、練習の中で意識していることってありますか?

片上 学生の頃みたいに、時間をかけていろんな練習ができるわけではないので、必ずやる練習を2、3種類決めて、それをやるようにしています。私の場合は足が止まったら負けだと思っているので、練習の最初にフットワークは必ずやります。社会人だと、少し乱打してすぐにゲーム練習、オールで練習みたいなことも多いのかもしれないですけど、私は基本練習をしっかりやって、時間があったらゲーム練習とかオールで練習する感じです。

 

―今回、マスターズで初めて優勝されたわけですけども、これまでも何度か出場はされていましたよね?

片上 そうですね。今回が4回目かな?

 

―年齢が上がるほど、優勝のチャンスは少なくなってくると考えるのが一般的かと思います。その中で38歳にして優勝って、スゴいことだと思っていて。

片上 4年前に高知でマスターズがあった時に、かなり優勝を狙っていたんですけど、実力が足らずに準々決勝で負けてしまいました。去年も優勝を目指していたんですけど、森薗(美咲)さんに負けて準優勝でした。森薗さんがマスターズに出るというのは知っていたし、勝つつもりで準備もして向かっていったんですけど、勝てませんでした。

 そこから「今年は森薗さんに勝つ!」っていう気持ちで1年間やってきました。結果的に森薗さんは出場しなかったので少し残念な気持ちもあるんですけど、優勝はすごくうれしかったですね。組み合わせが出る前から森薗さんが出場しないのは知っていたけど、それでも、もっともっと上を目指して頑張ろうと思えたのが良かった。森薗さんを倒そうと思ったら大変ですからね(笑)。

今年12月の全日本マスターズでは念願の初優勝

 

―「森薗さんに勝つ」っていう目標とモチベーションで毎日やっていたら、それは強くなりますよね(笑)。

片上 森薗さんの存在が自分の中で大きかったのかなと思います。年齢が上がってくると、実力を落とさないように「キープしよう」って考えてしまうものかもしれないんですけど、森薗さんがマスターズに出てくれたおかげで「もっと上を目指さなきゃ」っていう気持ちが生まれて、チャレンジすることができました。

 それまでも「まだまだ強くなりたい」と思っていたけど、明確な目標ができて、そこに向かって頑張れたのが大きかったのかなと。体感ですけど、1年前よりも強くなっていると思います。チームメイトも「4年前に高知で優勝を狙っていた時よりも強くなってる」と言ってくれていて、年齢を重ねて衰えた部分もあるとは思うんですけど、反対にできることもちょっとずつ増えた気がします。

 

―ここ最近はラージボールもやられていますよね。

片上 去年の全国ラージが香川だったんですよね。その前の数年、コロナで全国大会がなくて、ストレスがあまりにも溜まっていたので、「何か全国大会に出たい!」と思っていた時にちょうど香川で全国ラージがあって。子どももまだ1歳ちょっとで小さかったんですけど、香川なら実家に預けることもできるし、これなら出られると思って出場しました。そこで優勝できて、やってみたら楽しくてハマりました。

 

―初めて出た全国ラージで単複2冠でしたね。

片上 両面表ソフトで卓球を20年くらいやっていたので(※現在はフォア面は裏ソフト)、表の感覚もあるし、硬式でも入れていくような卓球なので、そういう意味でもラージに向いていたのかなと思います。でも、あの優勝もかなり奇跡的でした。始めて数カ月だったし、愛媛の予選もギリギリでの通過だったので。

 

―ラージの楽しさって、どういう部分ですか?

片上 やっぱり、ラージの方が雰囲気がフレンドリーなんですよね。試合が終わってからも話してくれる人が多かったり、そういう楽しさですね。ラージをやって、知り合いがだいぶ増えたと思います。

初めて出場した2022年全国ラージでは単複二冠に輝く

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