世界ランキング4位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)がTリーグの「木下マイスター東京」と契約した。
昨シーズン(2021〜22)はロシアの「オレンブルグ」と契約していたカルデラノだが、ロシアのクラブはECL(ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ)には現在、参戦できない。その前までは、戸上隼輔(明治大)が契約した「オクセンハウゼン」でプレーしていた。
昨年の東京五輪では男子シングルスの準々決勝でオフチャロフ(ドイツ)に対し、リードを奪いながらも逆転負けを喫し、アメリカ大陸初の五輪のメダルを逃した。
ブラジルのリオデジャネイロ生まれのカルデラノが卓球を始めたのは9歳と遅い。12歳までは卓球とバレーボールの二足のわらじを履き、時に陸上競技大会にも駆り出されるほどの身体能力を持ち、13歳までは走り幅跳びのリオのチャンピオンだった。
13歳から卓球を本格的にやるようになるが、1回2時間の練習を週に4、5回程度だった。14歳の時に現在のコーチ、ジャンロネ・モウニー(フランス)と出会い、モウニーの勧めでサンパウロに移り、その2年後にはフランスのINSEP(ナショナルトレーニングセンター)で練習するようになる。さらに18歳からはドイツの「オクセンハウゼン」にあるLMC(リープヘル・マスターカレッジ)で訓練を重ね、そのまま同クラブでプレーを続けてきた。
卓球では高く投げ上げるハイトスサービスからの両ハンド攻撃が武器で、かつてITTFグランドファイナルで樊振東(現世界チャンピオン・中国)を破るほどの破壊力を持っている。
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昨年の東京五輪前にインタビューをしたときにはTリーグについてはこう語っている。
●─日本の卓球ファンは君がTリーグに来ることを望んでいるんだけど、将来的に可能性はあるよね。
カルデラノ もちろん、Tリーグは強くて、素晴らしいリーグだから、Tリーグに行かないという理由はない。Tリーグでプレーしたいね。TリーグはストリーミングやYouTubeでよく見ているよ。
(卓球王国2021年7月号より)
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来シーズンのTリーグ男子では最高位の世界ランキング4位の実力者、カルデラノ。パリ五輪を見据え、東京とオクセンハウゼンの2カ所を練習拠点とする。
9月からのTリーグには開幕戦から登場する予定だ。国際大会が日本ではまだ開催されない中、世界のトップ選手を見る数少ないチャンスがTリーグにある。
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倉嶋洋介・木下マイスター東京監督のコメント
「(契約の)話はずっとしてましたが、昨シーズンはコロナ禍ということで就労ビザのこともあり、実現できませんでした。やっとここまでたどりつけたという感じです。
ウーゴ・カルデラノと契約した理由は3つあります。
ひとつ目は、ウーゴ自身と彼の担当コーチであるジャンロネ・モウニーの人柄です。コート内外での振る舞い、クレバー(賢明)さ。これらは木下マイスター以前に私がNT監督をやっている時から見ていて、感じたことで、契約に際してもスムーズな話し合いに終始しました。ジャンロネは担当コーチとして帯同するようになるでしょう。彼らの卓球への真摯な姿勢が良い影響を与えることになります。
2つ目は、ウーゴの卓球です。日本選手の卓球とは違うダイナミックなプレーを日本の卓球ファンに見てほしいと思っています。
3つ目は、ウーゴがパリ五輪を目指す過程で、日本のスピードや緻密な卓球を取り入れ進化していけるという点です。同時に木下マイスターの練習の質も上がり、両者にとって良い影響しかありません。
チームとしてリーグ優勝を目指すのは彼がいてもいなくても同じですが、それ以上に日本の卓球界に良い影響を与えるに違いない。今から楽しみです。
ぜひ、卓球ファンの方には会場に足を運んでほしいと思います」
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ウーゴ・カルデラノからのメッセージ
「来シーズンのTリーグで、木下マイスター東京のメンバーとしてプレーできることを光栄に思います。チームメイト、そして、日本のファンの皆さんにお会いできることを楽しみにしています。みなさんに頼っていただけるように全力を尽くし、素晴らしいシーズンにします。すぐにお会いしましょう!」
●ウーゴ・カルデラノ
1996年6月22日、ブラジルのリオデジャネイロ生まれ。18歳でドイツのマスターカレッジで練習を始め、ブンデスリーガの『オクセンハウゼン』でプレー。2016年リオ五輪ベスト16、2021年東京五輪ベスト8、2019年パンアメリカンチャンピオン、世界ランキング4位(2022年7月現在)
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