卓球王国 2024年7月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

10度目の正直!TOP名古屋がKA神奈川に初勝利

木下アビエル神奈川 1-3 トップおとめピンポンズ名古屋
4勝3敗 3勝4敗
1 ポルカノバ 5-11 11-6 7-11 森薗美咲
曾尖 鈴木李茄
2 浜本由惟 5-11 11-7 6-11 2-11 ハン・イン
3 杜凱琹 11-7 11-10 11-5 森薗美咲
4 ポルカノバ 7-11 11-5 11-9 10-11 9-11 サマラ

 

Tリーグの横浜シリーズ第2戦は、女子の木下アビエル神奈川vsTOP名古屋。

実はTOP名古屋は昨年のTリーグ開幕以降、木下アビエルからは未勝利でまさかの9連敗中。毎度「今日こそは」という気持ちで戦い、そして敗れてきたのだが、ついについに待望の初勝利が横浜の地で叶った。

 

石川を欠く木下アビエルは、新加入のポルカノバをダブルスからさっそく起用。ポルカノバは、オーストリアのエースで長身から繰り出す両ハンドドライブが武器のサウスポーだ。

まずダブルスで順調なスタートを切りたかったのだが、「初のTリーグで緊張してしまい、前の晩もちゃんと寝ることができなかった」というポルカノバは、プレーが固くなり、曾尖とのコンビネーションはいまひとつ。

一方、高校の先輩・後輩でもある森薗・鈴木は息の合ったプレー。「(ポルカノバが)緊張しているなというはこちらにも伝わっていたので、私たちはやるべきことをやろうという感じで頑張りました」(森薗)。第2ゲームは相手のタイムアウトからの連続失点でゲームを失ったものの、第3ゲームはきっちりと締めて、TOP名古屋が先取点をあげた。

ほろ苦いデビューとなったポルカノバ(左)

ちなみに、159cmと180cmの身長差21cmのペアリングです

 

2番の浜本由惟対ハン・インは一方的な展開に。試合開始から8本連取で一気にリードしたハン・イン。変化の大きいカットとツッツキで浜本を翻弄し、弱気に返した相手のツッツキに対してはバックスマッシュを放ち、完全に試合の主導権を握った。

第2ゲームは浜本も冷静さを取り戻し、無理のないカット打ちからのスマッシュで得点を重ねてゲームを奪い返す。しかし、第3ゲームもスタートから6本連取、第4ゲームも10-1と突き放したハン・インが、危なげない試合運びで勝利。これでTOP名古屋が2-0と初勝利に王手をかけた。

ハン・イン、鉄壁のカットで浜本を寄せ付けず

ベンチで唇を噛み締める浜本

 

3番の杜凱琹vs森薗美咲は、実力に勝る杜凱琹がストレート勝ち。YGサービスからの両ハンド攻撃で森薗を攻め立て、ラリー戦でもミスを最小限におさえて試合を制した。しかし、敗れたとはいえ森薗も、前半の良い流れを簡単に断ち切らせてはいけない、と懸命なプレー。ロングサービスからの3球目攻撃などで反撃し、第2ゲームは10-11と肉薄。気迫あふれる戦いぶりで4番につなげた。

ひとり気を吐いた杜凱琹

 

そして4番は、ポルカノバvsサマラ、というヨーロッパを代表するサウスポー対決。

第1ゲームは、まだ固さが見られるポルカノバに対して、サマラがフォアドライブを打ち込んでゲームを奪った。第2ゲームも5-3とサマラがリードしたが、ようやく自分のプレーを取り戻してきたポルカノバが逆襲に出る。長い腕を存分に使った強烈なバックドライブ、対照的にコンパクトなスイングでの回り込みフォア強打で8本連取し、ゲームを奪い返す。

第3ゲームもポルカノバが取って、第4ゲームの序盤もポルカノバのペース。しかし、まだTリーグの空気に順応できていないのか中盤からポルカノバにミスが出始め、流れは再びサマラに傾いていき、終盤でサマラが4本連取で追いつくと11-10と逆転。

初勝利まであと少しとベンチも盛り上がる中、気持ちを切らさずに戦ったサマラ。最後はサマラのレシーブがネットインして試合終了。TOP名古屋の勝利が決まった。

「10度目の正直」でついに木下アビエル神奈川を下したTOP名古屋。試合後、サマラがスタッフ全員と熱い抱擁をかわして、嬉しい初勝利を祝った。

ネットインで激戦に終止符が打たれた

男子も女子も全員とハグ!!!

 

「ダブルスを取れたのが大きかったですね。うちとしては5番、ビクトリーマッチも入れてハン・インの2点取りが計算できていたので、ダブルスを取った時点で少し勝利がちらつきました(笑)」と試合後に笑顔で語ってくれた藤川監督。

「サマラの勝因は、気持ちが切れなかったことですね。最後の最後までベンチに向かってガッツポーズを見せたし、こっちにも気持ちが伝わってくるし、そういう信頼関係がチーム戦に生きた。海外選手は去年と変わっていないけど、去年よりも一段階上のパフォーマンスを見せてくれている。しっかり声を出して、団体戦特有の一番から勢いをつなげる試合ができているのが、今年のいいところ」と監督も語るように、ベンチ、応援団も含めて非常に良い雰囲気でTOP名古屋メンバーは戦っていた。

一方の木下アビエルは、1、2番で敗れてベンチも沈黙ムード。3番の杜凱琹が一矢報いたものの、チームとしての勢いは生まれなかった。本来ならば新メンバーのポルカノバをチーム全体で鼓舞したいところだったが・・・。

抜群のチーム力で重要な一戦を制したTOP名古屋。現在、チーム順位は最下位だが、4勝3敗が2チーム、3勝4敗が2チームと女子は混戦模様。昨年とは一味違うTOP名古屋が今年はTリーグをさらに盛り上げてくれそうだ。

関連する記事