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Tリーグ

首位奪還を狙うT.T彩たまが勝ち点4。岡山はホームで連敗

岡山リベッツ 0-4 T.T彩たま
2勝10敗 5勝6敗
1 森薗政崇 10-11 11-9 7-11 松平健太
町飛鳥 戸上隼輔
2 吉田雅己 7-11 11-6 10-11 11-8 8-11 ピッチフォード
3 町飛鳥 8-11 8-11 9-11 神巧也
4 ワン・ヤン 5-11 8-11 9-11 戸上隼輔
5

 
連敗を止めたい岡山リベッツ。対するT.T彩たまも現在3位と甘んじている中、簡単に負けるわけにはいかない。T.T彩たまは黄鎮廷をケガで欠いているので、ダブルスの勝率が落ちているが、試行錯誤をしながらペアを変えている。今回は松平健太、戸上隼輔で挑んだ。
ダブルスは、岡山リベッツ側が1ゲーム目をタイムアウトを使いながらも競り落としたのが痛かった。逆に2ゲーム目はT.T彩たまがタイムアウトを取ったが、岡山リベッツが踏ん張り、ゲームをタイに戻す。ラリーになると攻撃力の高いT.T彩たまがやや有利なので、岡山リベッツ側はサービス・レシーブの序盤で点数がほしいところだ。
勝負の3ゲーム目に入ると途端に戸上のギアが上がる。他の選手とは違う直線的で鋭く刺さるボールが炸裂。速く、深い、そして距離の短いストレートに打てる戸上のチキータはもはや恐怖だ。ゲームの流れを決めるダブルスはT.T彩たまが勝ち取った。

黄鎮廷不在の中、ダブルスでの点がどうしてもほしかった


T.T彩たまが勝ち切る


2番はピッチフォードのキレのあるバックハンドが炸裂する中、吉田は少しずつサービスを変えて、リズムを崩していく。わざと台から出るサービスを出し、ピッチフォードに打たせてからバック対バックの展開に持ち込んだり、多様なロングサービスを出すなど揺さぶった。

吉田は見事なサービス術


ピッチフォードもレシーブにミスが多く、なかなか1本目から強打を打ちにいけなくなっている。入れるだけだと吉田に上から叩かれるので、強気にいきたいがミスも怖い。
しかし、世界のトップランカーはすぐに修正。やや球速を上げた吉田に攻められないようなレシーブで対応。決めるとつなぐの中間のボールで威力と安定感を両立させていく、この修正力はさすがだ。安定感がぐっと増し、3ゲーム目の3-10から逆転に成功するという離れ業をやってのけた。

鋭いピッチフォードの打球。入れば決まる!


一進一退の状況の中、試合はファイナルゲームへ。
ここにきてピッチフォードが台上のフリック、そして必殺のバックストレートへのドライブを決めにいき、吉田を引き離した。
頼りになるイングランドの英雄が大ガッツポーズ、T.T彩たまが白星を2つ重ねた。前回は3-0のストレートで負けていた吉田にリベンジを果たした。
「10-3から負けて、痛い試合でした。昨日は4-10から自分が逆転していたので、卓球の怖さを感じました。10点取っていて、自分に言い聞かせていたんですが、どうしても固くなって、戦術を考えても最終的には弱気になってしまった。今年は沖縄戦で朱世赫にも10-3から逆転されていたので、どうしてもナーバスになってしまった」(吉田)
 

ピッチフォードが苦手の吉田に勝利!


 
あとがなくなった岡山リベッツは町飛鳥、対するT.T彩たまは神巧也が登場。
神の両面粘着ラバーの打球に、タイミングとラケット角度が合わない町。カウンターミス、ブロックミスなど、町らしくないミスがあり、それをわかっている神もとにかく連続攻撃で攻める。
最後まで弱気にならず打ち切った神がストレートで勝利。岡山リベッツは踏ん張れず、ホーム3連戦でまさかの3連敗となった。

打ちも打ったり神巧也


最近は負け続けていた神。やっときた勝利を噛みしめる


T.T彩たまとしては、このチャンスを逃したくはない。4番も勝利して、勝ち点4を獲得する絶好の機会だ。インターハイチャンピオンの戸上がワン・ヤンのカットをどう攻略するのか注目が集まったが、スピード違反の豪打でまともにカットをさせなかった。

超高速のフォアでワンヤンをねじ伏せた戸上


「首位だったのが4連敗で3位に落ちていた。その原因はダブルスを落としていたことなので、今日はダブルスを取ることにかけていました」とT.T彩たまの坂本監督は勝ち点4にニンマリの表情。「誰を2点起用するかを考えていたが、健太が肩を痛めて、戸上を思い切って2点起用しました。ダブルスを取れたのが大きい。ダブルス勝てないとチームが勝つのは本当に難しい。ダブルスの重要性を感じます。戸上はペアが誰だろうと、相手が誰だろうと自分のプレーができる。前回の村松戦で負けましたが、カット打ちを経験しておいて良かったです」
最下位、そして1勝が遠い岡山リベッツ。この暗雲立ち込める状況を変えるためには何が必要なのか。選手たちも「たくさんの応援の人たちの前で結果で返したい。それができなくて申し訳ない」と肩を落としていた。
「厳しい戦いでした。勝ちきれるところで勝ちきれなかった試合が多かったのが痛い。ダブルスはなんとかゲームをとって勢いを抑えたかったところで、凡ミスも出て、競った場面で取れなかった。吉田も本人としても『頭が真っ白になった』と言っていて、そういう時は追いつかれると体が動かなくなってしまう。
森薗はVM(ヴィクトリーマッチ)に使いたかったので、シングルスに出しませんでした。ワン・ヤンをピッチフォードに当てたかった。なんとかVMまでつなぎたかった。ワン・ヤンはカット打ちの上手い選手に当たってしまっているので、調子が悪いわけではない。もう今後は全部勝つしかない。全力でやるしかない。チームはメンバーが固定されすぎていたので、後半は趙大成や林ユン儒が加わって、駒数を増やしたい」(白神監督)

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