今日、関東学生リーグ(秋季)が終わった。注目されたのは女子の東京富士大だ。3人の全日本チャンピオンと世界代表を17人輩出した名門卓球部。55年という卓球部の歴史に幕が閉じられ、勇将・西村卓二が51年目の指導にピリオドを打つ最終戦だった。しかし、リーグ7位の東京富士大は10月7日の入れ替え戦に回ることになり、その「最後の団体戦」のための訓練に入る。
試合後に、西村卓二監督に話を聞いた。
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●リーグ戦としては今日が最後でした。
西村 最終戦を迎える前に7位は決まっていたので、今日が終戦ではないし、10月7日に入れ替え戦がある。そんな心境でベンチに入りました。51年間やってきたから涙のひとつも出るのかなと思ったら、入れ替え戦があるので、そうはならなかった。あと3週間鍛え直していきます。1部残留で終わりたい。そこに向けて練習をしていきます。
●ベンチでの心境は?
西村 心が震えることはなかったね。10月7日のことを考えていたから。その日はぼくも倒れるかもしれないし、一世一代の采配をしたい・・・こういうことを言っておけば誰かが来るかもしれないしね(笑)。Tリーグもいいけど、学生リーグも教育的な意義はあるから注目してほしいね。
ぼくが大学(当時富士短大)のベンチに入った頃には他の大学にはぼくより10歳以上も上の人がコーチをしていたけど、今はもちろん違う。
当時はそういう関東の学生には世界で活躍している人がいた。組織の強化をもっとやっていかなければならない。(関東学生リーグから)世界に代表選手を送り込んでほしい。そういう意気込みで大学の監督さんも頑張ってほしいね。リーグを消化しているだけじゃだめだよ。
●このリーグ戦に向けて九十九里で合宿もやってきましたね? そして迎えたリーグ戦でした。
西村 この秋のリーグ戦、初戦はものすごく出来が悪かった。それに2日目に70人くらい応援団が来て、選手がビビってしまった。選手のほうが緊張してたし、気負ってしまった。今日(最終戦)が一番良かったね。
入れ替え戦があるから、うちだけが8試合できるし、これから3週間、鍛えますよ。
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感傷に浸るでもなく、西村節は健在だった。「もうひとつ大きな仕事があるんだよ」。最後まで気を抜かず、最後までこの男は戦う姿勢を崩さない。
入れ替え戦があることで、その「終わり」が今日でなくてよかったとどこかホッとしたのは、東京富士大と西村卓二という男への惜別の思いかもしれない。
10月7日、勝っても負けても名門卓球部のチームの戦いにピリオドが打たれる。消えない卓球部の栄光を背負う西村卓二は、その日、何を語るのだろうか。
消える名門卓球部
https://www.youtube.com/watch?v=yiI2dpTq_qk
https://www.youtube.com/watch?v=07L4v4w9PYM
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