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Tリーグ

アビエル、長崎、木原の世界ジュニア王者の2人で3得点。殊勲は15歳の木原美悠!!

トップおとめピンポンズ名古屋 2-3 木下アビエル神奈川
3勝6敗 5勝4敗
1 梅村優香 11-7 6-11 11-9 浜本由惟
森田彩音 長崎美柚
2 ハン・イン 5-11 11-10 10-11 7-11 木原美悠
3 サマラ 10-11 11-9 11-9 11-8 曾尖
4 笹尾明日香 5-11 8-11 6-11 長崎美柚
5 ハン・イン 10-12 木原美悠

 

 トップおとめピンポンズ名古屋と木下アビエル神奈川との一戦。

 ホームのトップ名古屋はハン・イン(ドイツ)、サマラ(ルーマニア)の外国選手と梅村、森田、笹尾の大学生3人がメンバー。

 対する木下アビエルは、一週間前のタイで閉幕した世界ジュニアで女子シングルスと女子ダブルスで優勝した長崎、長崎と組んだ女子ダブルスで優勝し、混合ダブルスでも優勝した木原の2人が参戦。試合はこの2人がシングルスで3得点を挙げ、木下アビエルが激戦を制した。

 第1マッチのダブルス。トップ名古屋は梅村/森田の中央大ペアが長崎/浜本ペアを下し、名古屋が先取点。木下アビエルは長崎と木原の2人をシングルスで起用したいため固定ペアの2人のダブルスを崩すオーダーを選んだが、わずかなコンビネーションの差でトップ名古屋ペアに軍配が上がった。


梅村(左)/森田の中央大ペアは息の合ったプレーで先取点を挙げる


即席ペアに近い長崎(左)と浜本だったが随所に好プレーを見せて善戦した
 

 第2マッチはハン・インと木原。ベテランで実力者のハン・インに対して、木原は15歳とは思えない堂々としたプレーを見せる。木原はハン・インのブツ切りフォアカットには無理せずにツッツキでコースをつき、変化のある表ソフトのバックカットを狙うというカット攻略で3-1で勝利。カットの変化を見極める目を持った木原が世界トップのカットマン、ハン・インを打ち抜いた。


フォアドライブとスマッシュで得点を量産。ハン・インのカットを打ち抜いた木原

想定していたよりも木原の攻撃に威力があり、ハン・インはカットで抑えられなかった
 

 1対1のタイになり、両チームにとって重要になる第3マッチ。サマラと曾尖の戦いは前~中陣での激しいドライブの打ち合いになった。1ゲーム目に先にゲームポイントを取ったサマラは逆転されてこのゲームを落としたが、2、3、4ゲームを僅差で奪い、3-1で曾尖を下す。サマラは曾尖のドライブを中陣から何本もロビングでしのいで得点を奪うなど、男子顔負けのプレーを見せて会場を沸かせた。



見応えのある打ち合いで曾尖を下したサマラ(左)
 

 第4ゲームの笹尾と長崎の戦いは、長崎は両ハンドのパワープレーで笹尾を圧倒。一方的な展開が最後まで続き、ストレート勝ちでラストにつないだ。世界ジュニアで日本女子として女子シングルスで初の栄冠を手にした長崎。今日の試合でもその強さが際立った。


世界ジュニア王者の長崎は両ハンドのパワードライブで快勝

笹尾は防戦が多くなり、得意のフォアドライブを封じられた
 

 ビクトリーマッチのカードは、第2マッチで対戦したハン・インと木原が再び対決。第3マッチで勝利したサマラではなく、ハン・インをビクトリーマッチに起用した采配について、トップ名古屋の藤川監督は「うちのエースはハン・インです。彼女はこれまでもビクトリーマッチに起用することが多く、結果も出している。彼女自身も『(ビクトリーマッチに向けて)しっかりと準備していて、やれるという意気込みがあったので迷わずに起用しました』と話した。

 試合が始まると木原は第2マッチの時よりもツッツキを多用し、やや慎重なプレーをしたが、狙い澄ましたフォアドライブに威力があり、ハン・インはカットにミスが出る。7-2と木原が一気に離し、このまま試合が終わるかと思われたが、ロンドン五輪団体で銀メダルの獲得の立役者の称号を持つハン・インがここから驚異的な挽回を見せる。

 木原リードで8-4、9-5と進み、9-7まで追いつかれたところで木下アビエルベンチが動いてタイムアウト。10-8で木原がマッチポイントを奪ったが、必死のプレーでハン・インがジュースに追いつくと、900人超えの会場はこの日一番の歓声が上がる。だが、ハン・インの追い上げもここまでで、ジュースから木原が2得点してゲームセット。最後の1点はハン・インのスマッシュをカウンターで打ち返すという離れ業だった。



15歳の木原がシングルス2得点の活躍で木下アビエルが激闘を制す
 

 木下アビエルは長崎、木原の2人の3得点で連敗を脱出。世界に名を轟かせた若手がチームのツイン女神になった。

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