卓球王国 2024年11月21日 発売
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インタビュー

「好きなことのためなら頑張れる」。活力あふれる若きオーナー・松田尚樹

ーー高校卒業後は駒澤大学に進まれました。他の大学からも声がかかっていたと思いますが、駒澤に進んだ理由は?

松田:ひとつは自分が必要とされているところで活躍したかった。EAの時は怪我などもあり試合にあまり出れていなかったので、大学では試合にたくさん出て頑張ってみたいという思いがありました。

もうひとつは、駒澤は学部を自分で選ぶことができた。ぼくは将来的に卓球場の経営をしてみたいと思っていたので、経営学部に入りたかったんです。

 

ーー大学ではEAの時よりも団体戦をやる機会が増えたと思います。

松田:チームプレーは今まであまり経験がなかったので楽しかったです。団体戦は個人戦に比べて責任感があります。大学時代の戦績はインカレでベスト8、関東学生リーグでは結構頑張っていて、特別賞も取りました。

1年時から駒澤大の主軸として活躍し、関東学生リーグでは敢闘賞、優秀選手賞、特別賞を受賞した

 

ーー駒澤大の魅力はなんですか?

松田:OBや監督のサポートが手厚くて、トレーニング施設もしっかりあるし、練習もたくさんできるので、強くなりたい人が強くなれる環境が揃っているのが魅力です。ぼくは全く不満はなかったです。

EAの時は厳しくて、門限もあった。大学に入ってからはみんなとBBQをしたり、卓球以外でも楽しいことが多かったですね。

 

ーー大学卒業後は実業団に進みませんでした。

松田:実業団からも声はかかっていたけど、大学生の頃に自分が納得行くまで頑張れた。実業団に行くよりも、卓球場を建てたいという目標のために動いていったほうが自分の幸せにつながるのかなと思いました。

 

ーーいきなり卓球界から姿を消したイメージがありました。

松田:大学卒業後は、卓球場経営の資金を貯めるために大学職員として働きました。節約のためにびっくりするくらい貧相なご飯を食べてましたね(笑)。目標のためならストイックに我慢することができるのがぼくの強みでもあります。

ある程度の資金が貯まったタイミングで、「卓トレ 中央林間店」をオープンしました。初めての卓球場経営だったけど、めちゃくちゃ楽しかったですね。夢がかなってるっていう実感はありました。

 

ーー今はなんの事業をされているんですか?

松田:今は「卓トレ 中央林間店」と「卓トレ 八王子店」、そして「マイダス」です。

経営はやっぱり難しいですね。いろんなことをやりすぎちゃって、自分がもうひとりいれば良いのにと思います。マイダスの経営を始める前に、キャンピングカーのレンタル事業もやっていた。でも、マイダスの経営に力を入れたいと思い、やめてしまいました。結構良いところまでいってたんですけどね(笑)

 

ーーマイダスのオーナーにはどのような経緯で就かれたんですか?

松田:大学時代にマイダスでアルバイトをしていたこともあり、オーナーさんとも知り合いでした。ありがたいことに「オーナーをやってみないか」というお声がけを頂いて、大きなチャレンジだと思ってやることにしました。

もともとは金町に卓球場があったんですけど、ビルの老朽化が進んでいたこともあり馬橋に移転しました。松戸は乗降車数も多く、生徒さんも多い。都心だと家賃が高いこともあり、総合的に見てこの場所に決めました。

馬橋に移転した卓球場は清潔感があり、安心して練習をすることができる

 

ーーしっかり考えての移転だったんですね。

松田:危ない橋は渡らないようにしているんですけど、どうなんですかね(笑)

 

ーーマイダスは関東でも名門です。経営をするプレッシャーもやはりありますか?

松田:プレッシャーはあります。今年の全日本ホカバでは、カブの部で鈴木希華が2位、ホープスの部で瓜生日咲が3位に入っているので、親御さんからの期待も大きいです。今は女子選手が強いけど、その強さを維持しながらも、さらに良い成績を残せるようにしたい。もっといい環境にしたいという思いはあるんですけど、経営を維持するのと選手を強くするのはまた別の話なので、そこが難しいです。

全日本カブ準優勝の鈴木希華

全日本ホープス3位の瓜生日咲

 

ーー松田さん自身はティバーと契約されましたね。

松田:同じチーム(Infinity)のわった(池田亘通)に紹介してもらいました。勢いのあるメーカーでもあるので、一緒に成長できたらなと思って契約しました。大学まではメーカーと契約をしたことがなかったのでうれしいです。特に、ユニフォームに自分の名前が入るのが良いですね。

 

ーー卓球場を経営することで繋がりも増えましたか?

松田:卓球場を経営して良かったなってすごく思います。卓球だけのコミュニティで生きてきたのに、大学職員になって一気にそのコミュニティがなくなった。そこからまた卓球界に戻ってきて、少し視野が広がったように感じます。

ぼくはSNSとかも苦手で、卓球界から離れていた時期は周りの目を気にしてしまっていました。でも、今は夢もかなってきて、自分自身を露出する機会も増えてきた。そうなると、昔仲良かった人とお話できる機会も増えてきて、うれしいですね。卓球場で自己実現できている気がしています。

あとは、いろんな人から連絡がくるようになりました。動画撮影もそうですし、「私も卓球場経営をしてみたいです」っていう相談も来たりする。今は必要とされている感じがします。

 

ーーお話を聞いていると行動力があるように感じます。

松田:行動力がついてきたのは大学卒業してからだと思います。大学卒業間近にマイダスでコーチをやっていた時に「これは天職だな」と思って、すべてそのために頑張れているっていうのはあります。もともとはあまりアクティブではないですが、自分の好きなことなら頑張れますね。

 

ーーこれからの目標を教えて下さい。

松田:まずは、日本一のチームを作りたいと思っています。日本代表の選手を輩出できるようになればいいですね。そして、卓球での雇用を増やしていきたい。最終的にはマイダスの卒業生が卓球で自立して、好きなことで生活ができるようになれば良いなと思います。

インタビューの2週間後に行われた全国ホープス大会では、女子でマイダスが悲願の初優勝を果たした

ーー本日はありがとうございました。

 

●PROFILE まつだ・なおき

1995年6月30日生まれ、愛知県出身。JOCエリートアカデミー/帝京高、駒澤大卒。10年ITTFジュニアサーキット香港・男子ダブルス優勝、13年東京国体・少年男子の部2位。現在は卓球場を3店舗経営

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