ノジマTリーグ女子のファイナルが東京・代々木第二体育館で行われ、日本生命レッドエルフが3-0のストレートで、レギュラーシーズン1位(昨シーズン優勝)の木下アビエル神奈川を破って、2年ぶりの優勝を飾った。
<Tリーグ女子ファイナル>
日本生命レッドエルフ 3-0 木下アビエル神奈川
◯笹尾/麻生 -5、12、8 木原/長﨑
◯ソン・メイヨウ 7、9、-7、7 張本美和
◯早田ひな 8、11、-3、6 平野美宇
ハン・シキ ーー チャン・ルイ
*観客数2624人
トップのダブルスで全日本チャンピオンの木原/長﨑を日本生命の笹尾/麻生がアグレッシブな攻撃で破り、貴重な勝利をあげた。「全日本チャンピオン、世界チャンピオン(グランドファイナル)の二人のペアにこの舞台で勝てて本当にうれしい」(笹尾)。これでチームは完全に勢いに乗った。
2番はパリ五輪代表の張本美和対ソン・メイヨウ。出足から張本がソンの異質の両ハンドのボールに合わずに、ミスが出て、得意のラリー戦に持っていけない展開。3ゲーム目は張本が取り返したものの、4ゲーム目もソンの両ハンドが鋭く張本を襲う。最後まで張本は本来のプレーが発揮できずにゲームセットとなった。「日本生命の代表として1点取ることができてうれしかった。今日の会場のみなさんの応援が力になりました」(ソン・メイヨウ)。
2-0と日本生命がリード、ファイナルは予想外の展開となった。明らかにダブルスの勝利で、試合の流れが変わってしまった。
3番はエース対決の早田対平野。1ゲーム目から早田の回転量の多いチキータと両ハンドのドライブに平野はミスが出てしまう。2ゲーム目、8-10から11-10と逆転した早田、バックドライブで強く攻め13-11でゲームを連取した。
前陣での平野の速攻ドライブに対し、早田は距離を取りながらのドライブで攻め返す展開だ。このままでは終われない平野。3ゲーム目、スタートから激しく攻め込む。11-3で取り返す。4ゲーム目、3-1で早田がリードするも、すぐに平野が4本連取して3-5。そこから早田のフォア強打とサービスエースで6本連取して再び9-5とリード。10-6からの最後の1本はバックドライブでのレシーブを平野がブロックでオーバーミス。早田が勝利し、日本生命レッドエルフが2年ぶりの優勝を飾った。
強い日本生命レッドエルフ。すべてはダブルスの勝利から始まり、最後はエースの早田が世界レベルの強さを示した優勝だった。そしてそのダブルスがプレーオフのMVPを受賞した。
●木下アビエル神奈川の中澤監督のコメント
「3-0で負けたけど、良い内容もあったし、次につなげていけると思います。オーダーが強気すぎたかもしれない。ダブルスは試合前、よい準備はできていたし、日生ペアは予想通り。2ゲーム目のレシーブミスで動揺した。
張本はソンにシーズンでも負けていたけれども、もう一度ぶつけたかった。平野はシンガポールで早田に勝っていたが、0-2で回ってきたのはちょっと大変だった。早田と平野はエース対決で、これからどうなるのか期待したい」
●木下アビエル・平野美宇のコメント
「すごく悔しいです。シンガポールでは3-0で勝っていて、同じように勝てないのはわかっていたけど、やっていて足りない部分があった。早田戦の準備はしていたが、試合の中での考え方が足りなかった。3ゲーム目はレシーブが良かった点でした。今日は負けてしまったけど、オリンピックまでさほど時間はないので、今日の敗戦はその過程として糧にしなければならない」
●日本生命レッドエルフの村上総監督のコメント
「アドバンテージとして3、4番のオーダーを開示しなければならないので、不利のはずなんですが、ダブルスが勝ったことでこういう結果になりました。笹尾/麻生には木下の時には使うと言っていた。ただ木下は木原/張本のペアで来ると思っていました。リーグの中で笹尾/麻生がダブルスの練習を一番したのではないか。ダブルスはトップなので非常に重要です。
張本はソンに一度負けているので、よくぶつけてきたと思いました。早田は平野にシンガポールで負けているので、逆に今日は挑戦する立場でやりやすかったと思う。笹尾、麻生、森さくらでもTリーグに向けて頑張ろうと思っている選手です。その気持ちが強いし、チームの強さです。
早田は戦う時の心の持ち方が成長した。チャレンジャーとして出るという気持ちの持ち方が特別なものがある」
●日本生命の笹尾と麻生のコメント
麻生「ファイナルに出場させてもらえて、相手は強いので思い切って向かっていこう、楽しく試合をしようと心がけていました。1ゲーム目は負けたけど、結果勝てて、MVPももらえてとてもうれしいです」「2年間ダブルスを組んでうまくいく時もいかない時もあった。自分たちがどうやって得点できて失点するかわかってきた。笹尾さんはとても頼りになる。緊張しても笹尾さんが声をかけてくれた」「(木下ペアは)想定したペアと違って、びっくりしたけど、2回くらい対戦しているので、強いペアなので向かっていけた。優勝した瞬間は感動しました」
笹尾「ファイナルの出場は初めての経験。最初は緊張したけど、自分たちらしくプレーしよう、相手は強いので向かっていこうと思って戦った結果、勝利できた。今まで支えてくれた人たちに感謝したい」「麻生さんはびっくりするような得点もするし、とても努力を重ねる人なのでとても信頼しています。木下は五輪代表が2人いる最強チームですが、みんなの力を集結させて頑張りました。ベンチに入れない選手もいたけど、みんなの気持ちが伝わってきて、みんなの優勝だと思いました」
●日本生命レッドエルフの早田のコメント
「結果的に3-0で優勝を果たせましたが、0-3で負けていてもおかしくない。実力が拮抗している中で勝ち切れたのは団体戦ならではのレッドエルフの強さだと思う。WTTシンガポールで平野選手に負けていたのでリベンジする機会を得たと思ったけど、同時に勝ち負けを忘れて試合に集中しようと思いました。今日の試合は2-2に追いつかれてもおかしくなかった。私がフッと力が抜けた時にチームメイトの応援が聞こえてきて、私ひとりで戦っているのではない。自分のためというよりもチームのため、他の人のために戦えた。
3番で自分が締めなきゃという緊張感があって、良い状態で試合ができた。オリンピックの代表、同期の二人、シンガポールで対戦していた二人と見ている人もいたと思う。切磋琢磨してレベルは高めていく。観客の人がもっと卓球を見たくなるようになれば良いと思います。
この2年間のパリ五輪の選考レースは試合数も多くて、一回優勝しただけではポイントが小さい。常に気持ちを切り替えてやっていかないといけなかった。選考レースが自分を強くしてくれたけど、同時に過密スケジュールで体調不良もあったし、世界ランキングも上げなければいけなかったですね。日本のレベルも高いのでうかうかしていられない。さらに自分が頑張れたらいいと思います」
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