5月14日、中国卓球協会はパリオリンピック・卓球競技への女子シングルス、男子団体、女子団体にエントリーする代表内定選手を正式に発表した。男子シングルスおよび混合ダブルスへのエントリーと代表内定選手は、5月7日にすでに発表されており、これでパリオリンピックを戦う中国代表(内定)の顔ぶれがすべて出揃った。
●5月7日発表
男子シングルス 王楚欽・樊振東
混合ダブルス 王楚欽/孫穎莎
●5月14日発表
女子シングルス 孫穎莎・陳夢
男子団体 王楚欽・樊振東・馬龍
(Pカード)梁靖崑
女子団体 孫穎莎・陳夢・王曼昱
(Pカード)王芸迪
本日発表された女子シングルスと男子団体の代表内定選手では、女子シングルス代表に孫穎莎と陳夢、そして男子団体の3番手に馬龍が選出された。
昨年の世界卓球ダーバン大会(個人戦)からスタートした、世界ランキングポイントに各大会の成績に応じて与えられるボーナスポイントを加算した「パリ五輪シングルス選考ポイント」による代表選考レース。女子の選考レースには最後の最後で大どんでん返しが待っていた。女子シングルスのひとり目の代表は、選考ポイントランキングで1位を独走した孫穎莎だが、ふたり目の代表は、5月11日に閉幕した『サウジスマッシュ2024』で王曼昱を逆転した陳夢となった。
本来は男女揃って5月7日に決定するはずだった、中国の五輪代表内定選手。しかし、3月16日に行われた中国チームの首脳陣による会議で、女子のみ代表の選考方法が一部改定。選考期間がサウジスマッシュ2024まで延長され、「海外選手に敗れた場合、優勝ポイントと同数のポイントを没収する」という新たな規定が加わったことが、陳夢と王曼昱の運命を分けた。
サウジスマッシュ2024では、女子シングルス2回戦で王曼昱がバトラ(インド)に敗戦。優勝ポイントと同数の3000ポイントを没収され、逆に陳夢が1445ポイントのリードを奪う形になった。そして陳夢は3回戦で平野美宇、準々決勝で張本美和、準決勝で早田ひなと五輪日本代表内定選手を三連破。準決勝で早田を破った時点で、外国選手に敗れる可能性はなくなり、決勝進出と同時にシングルスの2枚目の代表切符を手中に収めた。
陳夢は決勝でも孫穎莎に4−2で勝利して優勝。ワールドスマッシュ優勝のボーナスポイント「3000」、そして世界ランキングポイント「1650(※)」を加算し、最終的に「17960」ポイントに到達した。一方の王曼昱は3000ポイントを没収され、「11865」ポイントでランキング3位。追加されたサウジスマッシュ2024に、あまりに衝撃的な結末が待ち受けていた。
2月の世界卓球釜山大会(団体戦)では勝利していたバトラに、まさかの黒星を喫した王曼昱。一方、平野戦・張本(美)戦・早田戦と、どの試合で敗れても五輪シングルス代表の可能性がなくなっていた3連戦で抜群の強さを見せた陳夢。ちなみにふたりはペアを組み、サウジスマッシュ2024の女子ダブルスで優勝している。王曼昱の胸中、察するに余りあるところだ。
写真提供:WTT
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