東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた、パリ五輪・卓球競技の日本代表選手の公開練習。日本女子代表の3選手が練習後の囲み会見でコメントした。
「混合ダブルスの第2シードは、1%でも可能性があるなら最後まで挑戦しようという思いだった」(早田ひな)
女子は早田ひなは公開練習には参加せず、練習後の囲み会見のみ。7月7日に終了したWTTスターコンテンダー バンコクでは混合ダブルスのみエントリーし、張本智和とのペアでWTT4大会連続優勝。第2シードの座を争っていた林鐘勲/申裕斌(韓国)を最後の最後で逆転し、第2シードの獲得が決定的となった。大逆転劇の要因を、早田は次のように語った。
「混合ダブルスについては自分たちがすべての大会で優勝することが絶対条件でしたけど、1%でも可能性があるなら最後まで挑戦しようという思いで遠征に入っていった。
張本選手はシングルスでもどんどん好成績を残していって、シングルスで自信をつけていったと思います。今まではこちらからどうする、こうするというのを提案していく感じだったんですけど、今回はお互いに提案していった。張本選手からも「男子選手のここのボールを待って」というように、試合での駆け引きを話すことが多かった。
ダブルスはひとりではどうにもならないし、コーチと3人で話してもやっぱり最後はふたりで戦うので、ふたりのコミュニケーションがすごく取れていたのが一番の勝因かなと思います。
中国に対してはシングルスでもミックスでも、勝てる可能性のパーセンテージはかなり低いとは思うんですけど、何かが起こるとしたらミックスダブルスかもしれない。シングルスでの1対1の怖さに比べて、張本選手との2対2なら中国選手もそれほど怖くはない。そういう種目からオリンピックに入れることで勢いがつけられると思う。最初から楽しく、元気良くプレーできると思います」(早田)
女子シングルスでもメダル獲得が有力視される早田。「最後の壁はやはり中国選手になる。今は新しいことにもひとつ、ふたつトライしていて、それがどこまで間に合うかわからないけど、技術の精度を高める練習にずっと取り組んできた。オリンピックに行ったら、その時の状態の100%を出して戦っていきたい」と語った。
「私は特に準備が大切なタイプなので、オリンピックの前に準備期間を作りました」(平野美宇)
前回の東京五輪では団体代表、パリ五輪では念願のシングルス代表となる平野美宇は、WTTスターコンテンダー リュブリャナで左ひざに不安を感じ、その後の国際大会には出場せずに調整してきた。以下は平野のコメント。
「ひざはスロベニアの大会でちょっと試合数が多くて、気になっていたんですけど、そこからは大会に出ずに調整できて、かなり良くなってきました。
もともとオリンピック前は練習したいと思っていたので、結果的に国際大会には出ないという選択をした。実戦感覚も大事ですけど、大きな大会の前は練習をやり込むことも大事だと思う。私は特に準備が大切なタイプなので、オリンピックの前に準備期間を作りました。
最後のWTTスターコンテンダー バンコクは8シードがかかっていて、行くかどうか結構迷ったんですけど、行かないという選択をした。結果的に私と競っている選手がベスト8に入らなかったので、8シードも獲得することができた。ちょっと他力にはなってしまっていたけど、ここで8シードを獲得できたのは『風向きが良い』と思います。
シングルスの準備については、もちろん中国選手は強いですけど、今の時代は他の国の選手でも強い選手が多い。私は8シードなので、自分よりランキングが上の選手が7人もいるということだし、16シードの選手も強いので、まずはそこにしっかり勝てるようにしたい。そのためにも準備が必要だなと思いました。
女子団体のダブルス(張本美和とのペア)については、私が大会に出なかったのでまだふたりでは練習できていないですけど、もっと良い状態で自信を持って臨めるようにしたい。私が年上ですけど、引っ張るタイプの性格ではないし、美和ちゃんはすごくしっかりしているので、一緒に頑張っていけたらいいなと思います」(平野)
「中国選手に焦点を当てることも大事ですけど、オリンピックの緊張した場面でもいつもどおりのプレーができるようにしたい」(張本美和)
3人目の団体代表としてパリに臨む張本美和は表情も明るく、元気いっぱい。4月に高校生になってからも、学校は大会がない期間しか通うことができず、ハードな日々を送るが、「普段から遊ぶこともないし、オリンピックに向けてより卓球に打ち込めるので良いな、という感じです」と語った。以下は張本のコメント。
「WTTスターコンテンダー バンコクでは橋本(帆乃香)選手に負けたんですけど、プレー自体は良い状態を保っている。悔しいですけど状態としては悪くない、今もとっても元気です。
五輪代表が決まってから一番成長した部分は、基礎的なものなんですけど、凡ミスが試合の中で減ったのが自分の中では大きい。競った場面では日頃練習していることが出るので、大事なところで簡単なミスをしなくなったのは自分にとって大きい。トップの選手との試合では簡単なミスは許されないので。
(平野との)ダブルスは今のところ、成績でいうと結果がすごく良いわけではないですけど、1試合ごとに自分たちの感覚としては良くなっているし、課題も明確になっている。そこをしっかりこの期間で練習すれば、必ずオリンピックの団体戦のトップとして自信を持って戦えると思う。もっともっと練習したいです。
ここからの練習は、もちろん中国選手に焦点を当てることも大事ですけど、オリンピックの緊張した場面でも、しっかりいつもどおりのプレーができるようにしたい。それができたうえで、中国選手や韓国選手などの対策もできればいい。最近は外国選手にはあまり負けていないと思いますけど、やはりオリンピックは違うと思います。
ここ1カ月半くらい、中国選手とは試合をしていないので、中国との距離が近くなったかどうかは正直わからない。まずは自分の実力を上げるのが一番大事かなと思います」
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