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全日本実業団、男子はリコーが創部66年目で初の栄冠に輝く!

[男子]●準決勝
 〈リコー 3−0 クローバー歯科カスピッズ〉
◯山本 10、−20、−7、2、10 松下
◯小野寺 9、4、2 堀川
◯郡山/小野寺 −8、7、9 江藤/松下
 〈ファースト(千葉) 3−2 協和キリン〉
◯丹羽 9、−8、8、6 松平
◯松平 9、10、8 宮川
丹羽/神 −6、−6 渡辺/宇田◯
神 −9、−5、−4 宇田◯
◯高木和 −16、8、15、5 渡辺
●決勝
 〈リコー 3−2 ファースト(千葉)〉
中村 −9、−4、−9 丹羽◯
◯小野寺 8、9、5 松平
◯郡山/小野寺 10、10 丹羽/神
山本 −6、−7、7、−5 神◯
◯郡山 6、−11、5、−6、8 高木和

9月22日、第74回全日本実業団卓球選手権は大会最終日を迎え、男子は決勝でファーストとの大一番を制したリコーが大会初優勝。創部66年の歴史に新たな栄光を刻んだ。

準決勝のクローバー歯科カスピッズ戦で、1番・山本が最終ゲーム7−10からの逆転で相手エースの松下を破り、その勢いに乗って3−0で勝利。決勝へと駒を勧めたリコー。決勝の対戦相手は、準決勝で協和キリンとの熱戦を制したファースト。ラスト高木和が中陣で渡辺のキレのある両ハンド攻撃を受け止め、ドライブの引き合いで押し切る「横綱相撲」を見せた。

決勝のトップ、先制点を挙げたのはファースト。準決勝に続いてトップ起用の丹羽が、リコーの新人・中村に対し、ミドルへの軽打で足を止めて広角に両ハンド速攻を見舞う。バック面の表ソフトから快速強打を放つ中村だが、さすがに決勝の舞台ではやや緊張が感じられ、丹羽の緩急と巧みなコース取りに持ち味を封じられた。

巧みなコース取りと緩急が光った丹羽、経験の差を見せた

しかし、リコーは2番ですかさず1点を返す。団体戦で猛烈な頑張りを見せるファイター・小野寺が、松平にストレート勝ち。中・後陣での粘りが特徴の小野寺だが、鉄壁のブロックを誇る松平に対して打球点の落ちた連打では不利になると、台上の駆け引きから一発のフォアドライブで狙い打つ。松平の得意な展開に持ち込ませず、逆に独特の間合いで松平を自分のフィールドへ引きずり込み、ストレート勝ち。リコーの工藤一寛監督は「小野寺は決勝で今大会一番のプレーができた。2番での勝利でうちに流れが来た」と語った。

2番で快勝した小野寺が、失いかけた流れをリコーに引き戻す

ベンチに戻り、「みんなで奇跡を起こそう!」と連呼した小野寺。さらに3番でも郡山とのペアで、丹羽/神に競り合いながらも2−0で勝利。2ゲーム目は8−10で先にゲームポイントを奪われたが、ファーストペアは神にややミスが多く、リコーペアが逆転で勝利を決めた。

2ゲーム目は8−10からの逆転で、リコーペアがストレート勝ち!

リコーが2−1とリードし、決勝の4・5番は2台進行。先に勝負が決まったのは4番の山本対神。準決勝で宇田にストレートで敗れるなど、今大会はプレーの波が激しかった神だが、山本戦では変化の激しいサービスと相手を圧倒するフォアドライブ連打で、粘る山本を3−1で押し切った。

4番で山本を下した神。写真の飛びつきからフォアストレートへ、圧巻の「横入れ」を決めた

5番ラストは郡山対高木和。左腕・郡山の豪快に振り抜くパワードライブとカウンター、高木和の絶対的な安定感を誇る両ハンドドライブ連打が激突し、両者一歩も引かないシーソーゲーム。勝負の決着は最終ゲームへと持ち込まれる。

最終ゲームは中盤まで競り合ったが、最後の最後で強さを見せたのは郡山。「守りに入ったら絶対押されてしまうので、攻めていくことだけを意識した」という言葉どおり、高木和のフォアサイドへ切れ味鋭いカウンターを連発。バックサイドへの攻撃には懐の深い攻守を見せる高木和も、コースの厳しいフォアサイドへのカウンターにはさすがに粘り切れず。「守りに入ったら押されてしまうので、ベンチが話してくれた戦術を実行しながら、なおかつ攻めていくことだけを意識した」と、挑戦者として攻めの姿勢に徹した郡山がチームに栄冠をもたらした。

最後までミスを恐れず、両ハンドを振り抜いた郡山

決勝を振り返り、「日本リーグの代表として、絶対優勝したいという気持ちがあった」と率直な思いを語ったリコーの工藤監督。仕事と卓球を両立し、創部から66年目を迎えた実業団の古豪チームとして、譲れないプライドがあった。「うちはメンバーが5人しかいない。真面目な山本がいて、しっかりしてきた郡山がいて、高取もチームがまとまるうえでは欠かせない存在。それにとことん突き詰めてやる小野寺と中村が加わって、今大会では爆発力も証明できたと思います。中村も笑顔でチームを盛り上げてくれるし、1年目から日本一を経験できたことは大きいですね」(工藤監督)。今大会で得た自信を胸に、日本リーグ後期では前期7位からの躍進を狙う。

郡山に声援を送るリコーベンチ。新人・中村(右端)の加入はチームに活気をもたらした

歴史ある全日本実業団で、記念すべき初優勝を飾った

準優勝のファーストは、4回目の準決勝進出でついに決勝の舞台へ。丹羽の加入でさらに層が厚くなり、出場する4名中3名が世界代表経験者というまさに「ドリームチーム」。歴代最強チームとして限りなく優勝に近づいたが、要(かなめ)のダブルスで勝ち星が伸ばせなかったのが痛かった。

男子準優勝のファースト。今大会のチームは本当に強かった。来年は再び頂点へ挑戦する

準決勝ラストで勝利した高木和、吠えるかと思いきやこのパフォーマンス。決勝ラストも勝利まであと一歩

3位の協和キリンのダブルス、渡辺(右)/宇田は確実なチームの得点源になった

クローバー歯科カスピッズのエース・松下大星。準決勝トップで惜しい星を落としたが、充実のプレーを披露

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