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「吉村真晴」を支える男、時吉佑一コーチ。「真晴はまだまだトップでやれる」

「真晴はチャレンジャーの

気持ちを持っているし、

日本代表として

また復帰したいと思っています」

 

ーー次の試合は3月のライオンカップだった。
時吉 全部ベンチに入りました。ぼく自身が強い相手だけの試合をする真晴のベンチは初めてで、ぼくが失敗したなと感じたこともありました。その大会後に、ぼくも真晴と一緒に話し合って、ぼくがベンチでこう言ったけど、真晴ができない理由はこうだったとか、負けたことによって深く話せた部分はありました。
選手は試合中に不安になることが結構あるので、それをどうポジティブな気持ちに変えることができるのか、戦術面でもどれくらいまで言えばいいのかとか。ぼくも情報収集して、真晴へのアドバイスをさらに考えるようになりました。
ーーそれが4月のアジア競技大会選考会で生きたのかな。
時吉 今回は気持ちの面でもどのように彼のメンタルを高めようか考えました。ぼくは今回、ベンチで元気を出して応援しようと決めていたので、本人が盛り上がるようにもっていこうとしたし、彼もそれに応えてくれた。
ーーこれから本格的に吉村真晴のコーチングが始まるね。
時吉 彼は相手が年下だからとか、あまり気にするタイプじゃないし、自分はまだ若い、まだまだ行けると思っているし、チャレンジャーの気持ちを持っているし、日本代表としてまた復帰したいと思っています。今回の選考会もリザーブとして協会推薦で拾ってもらったという運もあるので、「今回は絶対優勝しかない」とチーム・マハルとして全員がそう思って、優勝に向かって進めましたね。
ーーリオ五輪の時でも最後のギリギリのところで日本代表に入って、五輪でメダルを獲るとか、世界選手権の混合ダブルスの優勝でも、何か「持っている」男なんだよな。
時吉 そうなんですよね。彼は本当に持っているんですよね。追い詰められたり、危ない状況になった時の気持ちが、普通の人と違うんですよね。選考会の決勝、戸上戦の最終ゲーム、1−4になっても自信を持ってプレーできる。最終ゲームになったら自分は負けないという自信がある。その時点で、フォアからサービスを出すというひらめきもいいですね。
ーー時吉君は何歳になったんだろう? 昔はヤンチャだったけど(笑)。
時吉 36歳です。若い時はヤンチャでしたね。
ーー真晴も「時吉さんとぼくはお互い一匹狼、アウトローですから」と言っていた。
時吉 そうなんですよ(笑)。(一匹狼にならないため)彼とは一緒にいる時間を増やそうとしてます。
ーーイオタ君を含めて、みんなのコミュニケーションはいい感じだね。
時吉 ジメッとした感じはないですね。卓球以外の話もたくさんするし、みんなでたくさん話をしてます。
ーー時吉君自身もコーチ経験は長いけど、トップ選手を教えるのは初めてだよね。
時吉 負けたらはずされるという危機感をぼくは持っています。データや動画を見て研究したり、今までの練習はこうしたから、これからはこうしようとか、今までの自分のテリトリー以上のことを求めてやっています。説明する時には明確にアドバイスできるように日頃から考えています。
とても良い経験をしているし、自分のスキルアップのためにも一緒に頑張っていきたい。
ーーまだまだ吉村真晴のポテンシャルは眠っているのかも。まだまだ伸びていける選手ですね。
時吉 まだまだトップでやれるだけのものは持っていると思います。環境作りが選手にとって一番大事だと思うし、いろんなスペシャリストがそばで見てくれる状況が選手にとって一番良い状況です。まだまだ課題も多いし、もっと強くなります。
(聞き手 今野昇)

時吉佑一/ときよし・ゆういち
東山高校から早稲田大に進み、住友金属物流を経て、現在は千葉県で卓球場をTable Tennis GYM LaVIESを経営。36歳・2014年に全日本社会人選手権で準優勝、全日本選手権でもベスト8に入るなどの実績を残している

 

マネージャーの立石イオタ良二(右)は専修大卓球部OBである

 

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